善悪を揺れるヒロイン|2.映画《Are you here》キャラクター考察①
※筆者の考察ミスのため、1/28に大幅にリライトしました。
先日あらすじをご紹介した《Are you here》。しかし、この映画の真のテーマはストーリーを紹介するだけでは足りません。
2.アンジェラは善悪に揺れるヒロイン(本記事)
ワイナー監督はスクリーンの中にセリフで語られないヒントを多く忍ばせ、観客に探させます。何度も観てやっと気づくものもあるし、「1度観て終わり」ではもったいない映画。
私も記事を書きながら4度目の鑑賞をして、考えが完全にひっくり返った部分もありました…。
この映画の隠れたテーマは「金銭欲と愛の対立」。お金のためなら殺人も厭わない悪のコミュニティがバックにあり、主人公のスティーブ(オーウェン)は純真な愛情でこれに立ち向かいます。
スティーブ(オーウェン)
Photo by ©Gilbert Films
作品を解説するには、スクリーンのヒントを拾いながら、まず登場人物を善と悪に分けなければなりません。
結論を先に言うと、完全な善人はスティーブ(オーウェン)とベン(ザック・ガリフィアナキス)だけ。
スティーブ(左)とベン
Photo by ©Gilbert Films, berlinere
端役のレッドもシロと思いますが、残りはほぼ犯罪者!
ただしスティーブの恋人役となるヒロイン、アンジェラだけは善悪の中間的な存在です。今回は彼女にスポットを当てて、観察してみましょう。
🌿アンジェラは悪であり善でもある🌿
アンジェラ(ローラ・ラムジー)
Photo by ©Gilbert Films, fanpop
ベンの父サムの未亡人アンジェラ(ローラ・ラムジー)。彼女は悪のコミュニティの手先です。サムと結婚したのは、遺産を狙う強欲なテリー(エイミー・ポーラー)とテリーが属する犯罪集団の命令。つまり、アンジェラはサムを殺した実行犯です。
しかし彼女にはまだ良心も残っていて、善悪混ざったところがあります。
1.汚れた鏡とマルチカラーのドレス
アンジェラの善悪の混在をハッキリと観客に示すのが鏡。
彼女はまめまめしく家事をこなす女性で、料理・掃除・洗濯など、何でもキチンとしています。が、食器を洗う彼女を映し出す鏡は曇って汚れています。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
アンジェラの性質に悪が潜んでいることの象徴ですね。
いっぽうで、もっと細かく見ると、この鏡はまだ完全に曇ってはいません。クリアに映し出せる面も残っていて、彼女の心が完全には濁りきっていないことも示しています。
象徴性を大切にする本作では、服装も見逃せないヒント。洗い物をするアンジェラが着ているのは、何色もの糸が織り合わされた細かいチェック柄のドレスです。
マルチカラー=複雑
細かいチェック柄=自信がない
このシーンでアンジェラは恋い焦がれるスティーブにどっちつかずの態度をとり、少し後にベンと一夜を過ごしてしまいます。
半分汚れた鏡とマルチカラーのドレスは、彼女の心に迷いがある証。
Photo by ©Gilbert Films
アンジェラは犯罪集団に従わないといけない立場ながら、純真なスティーブの愛に惹かれていて、ジレンマに陥っています。
2.純白のドレスとブルドーザーの音
Photo by ©Gilbert Films, LAtimes
夫サムの葬儀で白いドレスをまとって佇むアンジェラ。ここが彼女の初登場ですが、セリフはありません。
しかし、アンジェラの立場を浮かび上がらせる非常に重要シーンです。
葬儀にネグリジェのような白いドレスを着ていることにはびっくりしますが、これは彼女の純潔さの象徴。
参列者が去った後も、彼女はひとり残り、一掴みの土に口づけして墓に撒きます。すると、突然アンジェラの背後からブルドーザーの音! 彼女はギョッとしたように振り返り、警戒の色を浮かべます。
ブルドーザーの音に怯えるアンジェラ
Photo by ©Gilbert Films
おそらく、このブルドーザーはアンジェラへの脅しでしょう。夫殺しの罪に怯える彼女に「言うことを聞かないと、バラバラにして殺すぞ」と警告を発しているわけです。
ちなみに、このブルドーザーなどの作業車による脅しは’19〜’21年、帯広でも多発していました。オーウェンが殺されかけた、あの頃のことです。
・関連記事➡オーウェンが帯広で殺害されかけた事件
3.「この世には善人だっているのよ!」
テリーの侮辱に耐えかねて叫ぶアンジェラのセリフ。基本的におとなしいアンジェラが映画中、最も激昂するシーンです。
強欲なテリー(エイミー・ポーラー)
Photo by ©Gilbert Films
テリーとアンジェラの関係性が読み取れるところで、それぞれの考え方も浮き彫りになります。
ちょっと長いですが、会話を見てみましょう。
テリー:あんたは新米なのよ。それを采配ふって、余計なことばかりして!(中略)父のビジネスを縮小させて、「もっとゆっくりしなきゃ。人生はまだまだ楽しめるのよ」とか言ってさ。年寄りにヨガやギターを習わせるなんて、愚の骨頂よ。
アンジェラ:学ぶのに遅すぎることはないわ!
テリー:あんたこそ少しは学びなさい!あんたは必要な男のところに行って、役目をこなすだけのロボットなのよ。
アンジェラ:そんなのイヤ。もうしたくないわ!
テリー:どうせ偽善者だらけだから平気よ。
アンジェラ:世の中には善人だっているわ!
激昂するアンジェラ
Photo by ©Gilbert Films
2人とも早口でまくし立てるので、字幕では核心が掴めないところもあるのですが、こうしてみるとアンジェラはテリーに利用されているだけ。アンジェラは手先に使われながらも、強い反発心を抱いていることが分かりますね。
アンジェラは同じシーンの始め、店の女主人と話している時には「ずっとこんなじゃないわよね?」と不安げに聞いていて、良心が痛んでいる様子を見せています。あいにく、この女主人はテリーとグルみたいですが・・・。
女主人:バカね、アンジェラ。あんな老人と結婚したのは、理由あってのことだったでしょ。今度は若い男にしたらいいわ。
実はアンジェラはサムと5年間結婚生活を送っています。遺産目当てに結婚したわりには、なかなか長い年月です。
彼女は殺害のために送り込まれたにも関わらず、老人のサムを大事にし、何とか殺さずに済ませようと時間稼ぎをしていた節があります。強欲なテリーはこれが気に入らなかったようですが・・・。
4.遺産を継がないのはなぜか?
これはアンジェラの防衛か作戦か、判別のつきにくいところです。遺産を取らないことで、彼女は万一の場合にも殺人の罪から逃れられます。
もともとサムを殺したくなかった彼女の心境を考えれば、防衛のつもりで遺産を断った可能性もありますね。いっぽうで後々ベンを狙うつもりがあるのなら、ここで疑いをそらしておく作戦だったとも思えます。
このあたりの解釈は難しいですね…。
Photo by ©Gilbert Films, slate
テリーは「義母に全部取られるかもしれない」と騒いだわりには、アンジェラが何も受け取らないことが分かっても喜びません。それどころか「(遺産を取らないのは)何かウラがあるのよ」と言い募り、愚直な夫レッドを呆れさせます。
あるいは、テリーは万一サムの死因がバレた時のことを懸念したのかもしれませんね・・・。
5.恋とお金の選択に揺れる
恋に落ちたスティーブは愛らしいしぐさでアンジェラを求めますが、彼女は思わせぶりな態度を取りつつ、やんわりと退けます。
スティーブはアンジェラに想いを打ち明けるが…
Photo by ©Gilbert Films
しかし、ストーリー後半になってアンジェラは観客を仰天させる行動に!
何と、落ち込んでいるベンにキスをして、自分から身体を任せてしまうのです!
この意図は金銭欲か、コミュニティの命令か、あるいはベンとの結婚で安定を望んだのか・・・。
彼女が農場に愛着を持っているらしいことは言葉の端々から分かります。「普通の暮らしがしたい」とベンにも語っているので、犯罪組織から足を洗うきっかけにしたい気持ちもあったかもしれません。
が、農場について彼女は見込み違いをしています。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
ベンは早い段階で、「家と広大な土地はスティーブに譲る」と決めていました。この会話はベンとスティーブの間だけで交わされ、アンジェラはこの取り決めを知りません。
彼女がこのことを知るのは、スティーブを退け、ベンと情を交わしたあと。不動産を受け継ぐのがベンではなくスティーブと知ったアンジェラはショックを受けています。
いずれにしても、アンジェラがベンと一夜を共にするのは軽率としか言いようがありませんね。
事の次第を知ったスティーブがベンとアンジェラの両方に怒るのは当然です。
6.犯罪に囲まれた生い立ち?
Photo by ©Gilbert Films
電話でスティーブと会話した時、アンジェラはふいに「私の父は保険会社に勤めていたの。デスクで亡くなったわ。死に目には会えなかった」と話します。しかし、亡くなった年齢を聞かれると濁し、以後この話題には触れません。
アンジェラが急にこの話を持ち出すのは何か暗示的。スティーブの優しさに心を開いて、自分の犯罪に囲まれた環境を伝えたかったのかもしれません。
Photo by ©Gilbert Films
さて、アンジェラはストーリーの最後にはどうなるのでしょう? 悪に転がり落ちるのか、善の道を進んでいくのか・・・。
ここは他のキャラクターとの関わり・様子も鑑みないと結論が出せないので、今回は保留。
映画の悪人をピックアップし、次にスティーブの状況を観察したあと、映画のラストを解明するつもりです。
この映画の解説はちょっと長くなりそう・・・。
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つづく➡
オーウェンの知られざる映画《Are you here》|1.あらすじと登場人物(キャスト)
2022年、最初にご紹介する映画は《Are you here》! 2013年公開の作品で、『Xメン』などの脚本で知られるマシュー・ワイナーが監督を務めました。
といっても、ピンとこないでしょう。かなりオーウェンの映画を知っていても、この作品は知らない方がほとんど。それも無理はありません。
《Are you here》は日本では公開すらされず、ディスク販売もなし。「唯一アマゾンプライムがストリーミング配信を行っているのみ」という状況です!
これでは知らない人のほうが多くて当然です。日本語で「アー・ユ・ーヒア」と検索しても、あらすじすら見つかりません。
ということで、今日はまずストーリーをご紹介しましょう。
🌿あらすじ🌿
この映画は日本語で読めるあらすじがどこにもないので、例外的に私が書いていきます。
結末を含むので、苦手な方はご注意ください。
起:人生に疲れたスティーブと精神病のベン
お天気キャスターのスティーブ(オーウェン・ウィルソン)は虚しい人生に疲れきって、ドラッグと売春婦に溺れる日々。
Photo by ©Gilbert Films, dvdizzy
スティーブは親友のベン(ザック・ガリフィアナキス)が精神不安定であることにも悩まされていました。
Photo by ©Gilbert Films, dvdizzy
ベンは躁うつ病な上に地に足がつかない性格。働きもせず、誇大妄想の中に遊んで暮らしています。生活費を稼ごうとしないので、ベンはほとんどスティーブに養われている状態。
Photo by ©Gilbert Films, yahoomovie
スティーブが職場で上司から遅刻を咎められているところに、ベンが飛び込んできて「俺の父親が亡くなった!」と騒ぎ立てます。ベンの父親は資産家でしたが、ベンとはいざこざがあり、疎遠になっていたのでした。しかし、父の死はベンにとってもショック。
スティーブは仕事を休み、ベンを葬式に連れて行ってやります。
Photo by ©Gilbert Films, LAtimes
ベンの父ベーカー氏は大農場に住んでいた大富豪。葬儀にはベンの姉テリー(エミー・ポーラー)とその夫レッド(ジョエル・グレッチ)、そして亡くなったベンの父の後妻アンジェラ(ローラ・ラムジー)が参列していました。
Photo by ©Gilbert Films, fanpop
アンジェラは故人の妻とはいえ、孫ほどにも歳が離れた若い女性。テリーはアンジェラを嫌い、ことあるごとにイヤミを言います。
Photo by ©Gilbert Films, dvdizzy
テリーはベンのことは温かく迎えますが、スティーブには冷たく、「弟がこんなにだらしなくなってしまったのは、あなたが悪いのよ!」と不当に責め立てる始末。
一方スティーブは、物静かでいじらしいアンジェラに魅力を感じ始めます。
Photo by ©Gilbert Films,dvdizzy
承:葬儀と遺産問題
遺言書発表の日。「愛情と財産分与を混同してはならない。アンジェラには共に眺めた幾多の星々を思い出に残そう。テリーとレッドの夫婦には定められた現金を。残りの動産と広大な農場・店を含む不動産はベンに残す」と書かれていました。大部分の財産を期待していたテリーはショックを受け、逆にベンは仰天して呆然としてしまいます。
Photo by ©Gilbert Films, nydaily
テリーとアンジェラの諍い、遺産をめぐる問題で気まずくなったベンとテリー、一族の不和は広がっていきます。スティーブはベンに対する心配とアンジェラへのほのかな憧れを後に残し、ひとりで家に帰っていきました。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
数日後、売春婦とワインを飲んでいたスティーブに電話がかかってきました。電話の主はアンジェラで、「テリーが遺産分与に不満で、ベンを相手に訴訟を起こした」と伝えます。スティーブは驚きますが、話すうちにますますアンジェラに惹かれていくのを感じました。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
テリーは、ベンが遺産管理できるかどうかの判断のために、精神科医の検査を受けさせました。
転:裁判の逆転勝利、スティーブのアンジェラへの恋愛感情
裁判の日。ベンを検査した医者は「ベンは重度の躁うつ病で、かなり危険な精神状態」と証言。しかし、裁判官は「故人の遺志は変えられない」と、ベンに勝利を言い渡しました。
Photo by ©Gilbert Films, CBS
喜んだベンはハイになって酒場で大盤振る舞い。しかし酔っぱらいから侮辱され、相手を殴り倒してしまいます。
一方、スティーブはアンジェラに会いに行き、恋心を打ち明けてキスをします。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
「僕はケチじゃないし、人生を楽しんでいる男だよ」と言うスティーブ。しかし、アンジェラは「でも、あなたは楽しんでいないわ。もし今の生活が最高と思うなら、なぜあなたは逃げようとしているの?」と指摘。スティーブは初めて自分の心の闇を自覚しました。
酒場で暴行を起こしたベンは再び医者の診察を受け、ついに躁うつ病の治療に取り組み始めます。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
スティーブはますますアンジェラに熱を上げ、彼女の言うことなら何でも従うありさま。アンジェラが「夕食用のニワトリをつぶしてきて」と斧を渡すと、恐怖に慄きながらも何とかニワトリを殺して持っていきます。アンジェラ、スティーブ、ベンの3人は仲睦まじく夕食を囲みました。
Photo by ©Gilbert Films, NYtimes
しかし、夕食後ベンは突然スティーブに、「これまでは一緒に人生を歩んできたが、これからは別々に生きよう」と言い出します。2人は喧嘩になり、スティーブはアンジェラに未練を残したまま農場を後にしました。
お天気キャスターの仕事に戻ったスティーブはアンジェラにふさわしい男になろうと決心し、悪癖をすべてやめて上司にも驚かれます。
一方、ベンは精神の治療に励みながら過去の生き方を思い返し、「バカだった」と落ち込んでいました。
Photo by ©Gilbert Films, fanpop
アンジェラは彼を慰め、雰囲気に流されて2人は情をかわします。
結:恋と友情、3人の感情のもつれ
アンジェラと一夜を過ごした翌朝、ベンは思い立ってヒッピー風にたくわえていた髭を剃りました。そして、気持ちも新たに財産整理に取りかかり、店を姉のテリーに渡すことで和解します。家と農場はスティーブに譲ることにして、ベンは電話で詫びを入れてスティーブを呼びます。
Photo by ©Gilbert Films, imdb
ベンに追い出されたことを怒っていたスティーブですが、携帯電話に何度も留守電が入っているのを聞いて心を和らげ、再び農場へ向かいました。
道すがら、テリーに会ったスティーブはまた口論になりますが、その時テリーが「弟はちゃんとやっていくわよ。アンジェラと一緒にね。あの2人、くっついたのよ」と言うのを聞いて激しく動揺。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
ベンは明るくスティーブを迎えますが、スティーブは逆上して、「いつアンジェラとできたんだ?!」と詰めよるばかり。アンジェラを「マグダラのマリア」と罵倒し、「2人とも最悪だ! 僕の気持ちをわかっていたくせに!」と怒鳴ります。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
アンジェラは「私はあなたと何の約束もしてないわ。あなただって不動産目当てでわたしを口説いたんでしょう!」と言い返し、スティーブは深く傷つきました。一方、事情を知らなかったベンはびっくりし、どう言っていいか分からないままスティーブに不動産譲渡の書類を渡すしかありませんでした。
スティーブは傷心のあまり一晩中車の上で酒を飲んで過ごし、自暴自棄になってまた悪癖が戻りだします。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
ベンは引っ越し、同じマンションに住むシングルマザーと親しくなっていきました。
数日後、スティーブはベンの新しい家を訪ね、「いつアンジェラを愛するようになったのか」と、心に巣食う疑問をぶつけます。しかし、ベンは「愛してなどいない。ただ成り行きだ」と答えました。子どもの頃から親友だったにも関わらず、彼らはもはや互いを理解できません。どうしょうもない絶望に襲われて泣きじゃくるスティーブ。
Photo by ©Gilbert Films, fzmovies
スティーブはその足で、農場を去ろうとしているアンジェラに会いに行きます。アンジェラは荷物を詰め終わっていて、「明日には出ていくから」と言いますが、スティーブはゆっくりと「きみは農場に詳しいの?」と尋ねます。「あなたよりはね」と答えるアンジェラ。
Photo by ©Gilbert Films, bioguiden
雨が降り出し、スティーブは黙ってアンジェラを抱き寄せてキスをします。
同じ頃、ベンはスーパーマーケットで買い物をしていて、隣人のシングルマザーとばったり顔を合わせました。
Photo by ©Gilbert Films,insider
男の子を交えて、親しい挨拶を交わす2人。男の子が馬のおもちゃで遊びはじめ、馬がゆっくりと動く様子がアップになったところで映画は終わります。
🌿ひとこと感想🌿
かなり曖昧なラストです。ラストだけでなく、この映画は全体が抽象的に表現されていて、一筋縄では行きません。「観ているとハッとする仕掛けが忍ばせてある」作品ですね。
オーウェンファンなら観るべき1作!
ほとんど知られていないために、かなりコアな映画ファンでも見落としがちな作品。
でも、オーウェンが好きな映画ファンなら、ぜひオススメします! オーウェンの優しさや哀しさが活きた名作です。
《Are you here》解説
1.あらすじと登場人物(キャスト)(本記事)
「鼻が折れた」エピソードのPVが1位! 2021年度の運用報告も
2022年になりました。皆さん、良い年になりますように!
私はブログもTwitterも事件が終わりしだい辞めるつもりです。もともとオーウェンの名誉を守り、世界の凶悪事件を解決するために始めたのですが、それらはもう片づきつつあります。
まもなく大きく生活環境が変わり、オーウェンの情報は別の方法で発信していくつもりです。
いずれ最後の挨拶記事を書くことになると思いますが、それまではよろしくお願いします。
では、【2021年 よく読まれた記事ランキング】の続きです。今回はオーウェンの性格・人生篇。
・オーウェンの人生エピソード記事一覧
オーウェンの性格やエピソードに関するものは嘘が多く、ネットで検索して出てくる情報の95%は信用できません。
オーウェンファンの方には、ぜひ私のブログで彼のことを知っていただきたいと思います。
💙オーウェン・ウィルソンの人生エピソード💙
映画篇と同じく、こちらも10位までリストアップします。
1位︰オーウェンの鼻が折れてしまったエピソード
1位になったのは、オーウェンが高校時代にイジメを受けたエピソード。この記事はブログ全体でもトップのアクセス数を誇っていて、合計1500PV!
「オーウェン・ウィルソン 鼻」のキーワードで1位をキープしていて、検索流入がほとんどです。
2位:大量逮捕リストのデマと世界規模の犯罪についての記事
続いてはショッキングな世界規模の事件についての記事。なぜこんなものが私のブログにあるかというと、「オーウェンがこの事件の犠牲になったから」です。
信じるかどうかはあなた次第ですが、「世の中に恐ろしいことがある」という認識は持ってほしいと思います。
3位︰オーウェンが自殺を図った理由
オーウェンは2007年に自殺未遂を起こしています。その理由について、多くのメディアは「ケイト・ハドソンへの失恋のため」と伝えていますが、これは誤り。実際にはもっと複雑で繊細な理由がありました。
この記事が読まれたのは、専ら⬇このピンのおかげ。
検索からもいくらか流入があります。
4位︰ニュースで流れた合成家族写真
オーウェンには子供がいません。ニュースで「子供が3人」と書かれているのはデマ。
この記事は、子供に関するデマを払拭するために書いたシリーズの1つで、ニュースに使われた写真がすべて合成であることを指摘したものです。
「何コマ進んでも表情と角度が変わらない謎のおじさん」には笑わされます。これらの写真をでっち上げたのは、よっぽどバカだったのでしょう。
5位:オーウェンの自殺未遂の現場状況
3位にランクインした記事の第2弾です。こちらはオーウェンが自殺を図った事件そのものを取り上げています。命が助かったのはまさに奇跡でした。
この記事もピンタレストのおかげで伸びました。
6位:オーウェンが現実で英雄的行為をした時のエピソード
2位の大量逮捕に関する記事の続編。2020年、オーウェンが日本に囚われて殺害されかけた事件についてです。
ちなみに、この時オーウェンが「狙われているから気をつけろ!」と警告した相手は私の母です。
7位:子どもロバート・フォードと遺伝学の矛盾
オーウェンの長男とされるロバート・フォード。が、遺伝学と照らし合わせてみれば、オーウェンの子ではないことが明らかになります。もしオーウェンとジェイドの子どもなら、この子はなぜ劣性遺伝子ばかり受け継いでいるのでしょうね?
8位:オーウェンとシェリル・クロウの合成写真
オーウェンの若い頃の恋人として知られるシェリル・クロウ。しかし、これもデマです。写真を見れば、いくつもの合成が明らかに・・・。ぜひ記事に飛んで、写真をじっくり眺めてみてください。よく見れば、あなたにも分かるはず!
9位:オーウェンが継母から受けたイジメ
オーウェンは実の母を小さい時に亡くして、継母から育てられています。彼の過酷な子供時代を紹介したのがこの記事。奴隷のようにこき使われ、遊ぶことも許されなかった幼少期です。
10位:オーウェンの血筋はルークやアンドリューと違う?
何と、子供時代のシリーズはすべてランクインしました! これはオーウェン自身の姿かたちを遺伝学的に観察して、結論を導き出しています。
💙2021年分 運営報告💙
最後にブログの成果を発表します。はてなブログに移行した4月~12月までの記録です。
総PV(ページビュー)数
14,171PV。私のような超特化ブログかつ1年未満の運用では、かなりいいデータらしいです。
訪問者数
7270ユーザー。海外からのアクセスも多少あり、こちらも個人的には満足です。
収益
およそ¥1,400。私は収益目的ではないので、まったくその方面の対策はしていません。それでも少し発生しているのは面白いですね。
💙ブログでお世話になった方への感謝💙
前回は被リンクプレゼントをしてくださったお2人を紹介しました。今度は、運用に当たってアドバイスをくださった2人と【大切なお友だち】2人に感謝を捧げたいと思います。
なべたろ(愛称︰くま)さん
「ブログをいかに検索上位に上げるか」について、懇切丁寧な発信をされている方。私にも適切なアドバイスをくださり、おかげで私のブログも劇的に伸びました。
ありがとうございます!
・Twitter&コンテンツ
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— なべたろ🌞半年で1000万PV【ブログとSEO】 (@seonabe) 2021年12月1日
ついに公開!🥳👏
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ヒナキラさん
ブログのSEOだけでなく、デザインにもこだわるオシャレなブロガーさん。ブログの色合いや文字の色の点で、ためになるアドバイスをいただきました。
ヒナキラさん主催のLINEブロガーチェーンにもお世話になり、PVアップに繋がりました。
ありがとうございます!
・ブログ
企画のブログ収入(210名)に関する記事が出来ました。
— ヒナキラ🚀企画好きマン【ぶろぐ学部】 (@OneokrockHomme) 2021年12月25日
よければ、見てみてくださいね😊✨
きっと、参考になるはず😎
しっかし、スゲエ人も参加してくれたなぁ…
オラ、ワクワクしたぞ!
ってことで、みなさんありがとうございました✨✨✨https://t.co/OxHKAeATtz
ぴよたんさん
ぴよっこ交流会(現在は休止中)・ピンタレスト仲間など大規模なグループを作って、ブロガーを応援してくださった方。
2021年は私にとってとても困難な1年でした。ぴよたんさんは私生活の面でも心配してくださり、いろいろと慰めてくださいました。
本当にありがとう!
・ブログ
2022年1月3日は山羊座の新月🌑🐐
— ぴよたん🐥 (@piyotanblog) 2021年12月22日
新月のパワー有効時間は
1月5日03時34分まで‼️
努力が実り人に認められ
成功を掴むチャンス🎶
新年最初の新月でなりたい自分を
紙に書いて願いを叶えましょう✨#ぴよたんブログ #山羊座の新月のアファメーション
やり方詳細はこちらから🍀https://t.co/Wh1A7LmNNu
NISUTAさん
この方は【特別読者】としてご紹介します。ジェイド・デュエルのデマ事件の記事をたった1時間弱で読破された超人!
NISUTAさんはTwitterでプライベートの面でも励ましてくださり、いろいろと相談に乗ってくださいました。
心からありがとう!
・ブログ
nisutamasutagames.hatenablog.com
自作PCはより慎重にPCパーツを決めるところから始まるがたいていが早すぎ。
— NISUTA (@jixema) 2022年1月1日
では、ブログ終了の日までよろしく! もっとも、終わるまでにはまだ何記事もアップすると思いますが・・・。
オーウェンの映画エピソードで最も読まれたのは?【2021年】
とうとう年末になりましたね。オーウェンについて綴ってきたこのブログも、来年の2月で2年めに入ります*1。
Photo by ©Lions Gate Entertainment
オーウェン・ウィルソンの特化ブログを珍しがる方も多く、「マニアックですね」と言われたこともあります。確かに普通の映画レビューと違って、ひとりの俳優に絞り込んでいるので、珍しいかもしれませんね。
現在、ブログの総記事は82。この数か月はややペースが落ちていたけど、自分では「10か月でこの記事数は悪くない」と思っています。
Photo by ©Warner Bros. Pictures
今回は1年の締めくくりに、よく読まれた記事のランキングでオーウェン・ウィルソンの魅力を端的にお伝えさせてください。
ランキングは、はてなブログに以降後(4月)からカウントし、カテゴリ別にしています。
せっかくなので2回に分けます。まずは映画記事のランキングから。
最後に、Twitterで「びっくりプレゼントしてくださった2名」を紹介しています。
💙オーウェン・ウィルソンの映画エピソード💙
映画の撮影エピソードを語った記事のランキング10位まで。
1位:『トラブル・マリッジ』のエピソードその②
1位になったのはびっくり、デュプリーちゃんの記事でした! 合計で628PV。この記事がこんなにも読まれたのは、ピンタレストで⬇このピンが大当たりしたおかげです。
ドアにかけられたネクタイの意味が気になってクリックした人が多かったようです。意味は「取り込み中なので、部屋に入らないでください」。ダイレクトに言うと、男女が愛し合っている時です。
2位︰マーベルのドラマ『ロキ』の不正を暴いた記事
マーベルが『ロキ』を公開したタイミングでアップしたこともあって、一気に読者数も増え、以後も継続的に読まれています。
「ロキ メビウス 俳優」のキーワードで1ページめに上がってきたおかげで検索からの流入もあります。
動画と画像を用いて、「ドラマにオーウェンが出演していない」ことを証明する内容。
このドラマがニセモノであることが一刻も早く証明されますように!
3位:『シャンハイ・ヌーン』オーウェンが生き埋めにされたエピソード
これは画像検索やピンタレストからの流入が多かったみたいですね。オーウェンが首から下を炎天下の砂漠に埋められて撮影したエピソードです。『シャンハイ・ヌーン』はいろいろと過酷なシーンが多くて・・・。
4位:『ライフ・アクアティック』ウェス・アンダーソンのオーウェンへの友情エピソード
リライト後、短期間ながらTwitterの固定ツイートにしていたことが読んでもらえた要因でしょう。
twitter.com【とても驚く話😳】
— Jane|映画のトリビア (@Jane_knowing) 2021年5月9日
今有名なスターでも、
新人の頃、ハリウッドから直々に手紙が来て、
「うちで働いてほしい❗❗❗」
と、ファーストクラスのチケットまで添えて招待された俳優って何人くらいいるでしょう?https://t.co/fN4cTeVXad#映画#ブログ仲間と繋がりたい
『ライフ・アクアティック』のネッドは、ウェスがオーウェンそっくりに描いた役柄。ネッドがそうであるように、オーウェンは優しくて誠実な人です。
この記事にはオーウェンがキャリアを掴んだ時の「羨ましいエピソード」も書いています。
5位:『アルマゲドン』オスカーの魅力
キャリア初期のオーウェンが演じた端役オスカーについての記事。オーウェンが大幅にイメージを変えて演じた役で、オリジナル脚本とオーウェンのアドリブを比較しています。あまりにも違うので、びっくりするかも・・・。
この記事は、はにわ博士さんが企画でスタエフ配信してくださいました。ありがとうございます。
6位︰『ナイト・ミュージアム』1作めはノーギャラ!
オーウェンの出演作で最も有名な作品は、やはり『ナイト・ミュージアム』! オーウェンはジオラマ人形のジェデダイアを演じています。
オーウェンが日本で今ひとつ名前が通っていないのは、1作めで名前が表記されなかったせいもあります。もったいない・・・。
7位:『ロキ』に関するもう1つの記事
アメーバブログからそのまま移行した記事で、『ロキ』公開前の予告編などから疑問を呈した内容のものです。
メビウス役の俳優がライナー・ホーネックに似ていることを指摘しています。
8位:『幸せの始まりは』リサとマティーの関係考察
「彼女が他の男を勝手に家に入れた場合、怒ってもよいか?」をテーマに、マティー(オーウェン)の魅力を語った記事です。
マティーは、恋人のリサが落ち込んで食欲がない時には自分も食べないようにするほど優しい性格。オーウェンらしい明るさと優しさが発揮された役柄です。
9位:オーウェンのおすすめ映画10選
はてなブログのお題で初めて書いてみた記事。30以上あるオーウェンの映画の中から厳選した10作品です。マイナーな映画も入っているので、映画選びの参考にどうぞ。
10位:『幸せの始まりは』マティーはまじめな恋人
『幸せの始まりは』からは2つもランクインしました! こちらは映画のシーンを振り返りながら、「マティー(オーウェン)がどんなによい恋人か」にスポットを当てた記事。
そういえば、アメブロ時代もマティーは人気でした。優しくてかわいいので好かれるのも当然かもしれませんね。
💙オーウェンブログを応援してくださった方への感謝①💙
ブログを始めてからはTwitterやピンタレストで拡散し、日々オーウェンについて発信する日々でした。
多くの方が私の方針を応援して、ブログを広めることに貢献してくださったこと、心から感謝します。
今回は、「企画でもないのに私のブログをリンクしてくださった2名の方」を取り上げます。
コアラさん
コアラさんはTwitterでとても仲の良い方。家事や育児について書かれています。子育てのコツなど、多くの方の参考になると思いますよ。
毎月【ブログ運営報告】をアップし、改善点を見つめ直すなど、コアラさんはとてもマメなブロガーさん。
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つづく➡
ブラッドリー・クーパーはストイックな完璧主義者!|オーウェンの共演者をクローズアップ
オーウェンに関する誤解を解き、彼についての真実をお伝えするために運営している、このブログ。
これまではポール・ラッドのコメディ性を紹介した『幸せの始まりは』おまけの解説を除いて、オーウェン以外の俳優について書いたことはありませんでした。
しかし今回、新たなフェイクの被害者を発見したので、その人物についてお話ししようと思います。
その被害者というのは・・・
Photo by Shutterstock, britanninca
ブラッドリー・クーパー!
『ウェディング・クラッシャーズ』でオーウェンの敵役を演じた俳優さんです。
オーウェンと共演したのは『クラッシャーズ』の時だけ。このブログでもキャスト欄で軽く名前を紹介しただけで、他はいっさい触れていませんでした。
Photo by New Line Cinema, zimbio
が、最近たまたまブラッドリーの画像を見つけた時、合成や顔が違うものを発見!
気になって調べていくと、オーウェンの二の舞いになりつつあるのが分かりました。
・オーウェンを巡るフェイクニュースを暴いた記事
ブラッドリーに関するフェイクが広まって、オーウェンのような悲劇が起きる前に、ここでニュースの矛盾を取り上げておきたいと思います。
しかしフェイクの話に行く前に、まずはブラッドリー・クーパーがどんな人なのか書いておきましょう。
☑ ブラッドリー・クーパーのプロフィール
☑ オーウェンとブラッドリーが共演した映画『ウェディング・クラッシャーズ』
☑ ブラッドリー主演のおすすめの映画『二ツ星の料理人』
ブラッドリーに関しては、間違っても『クラッシャーズ』だけで判断しないように。本当の彼は、あの映画のイメージとは真反対。ミステリアスで気品のある素敵な俳優さんです。
- 🌲ブラッドリー・クーパーの経歴🌲
- 🌲オーウェンと共演した『ウェディング・クラッシャーズ』🌲
- 🌲『二ツ星の料理人』はブラッドリーの性格にピッタリ!🌲
- 🌲その他のおすすめ映画🌲
- 🌲まとめ:オーウェンとブラッドリーは共通点も多い🌲
🌲ブラッドリー・クーパーの経歴🌲
ひとことで言うと、ブラッドリーは2009年頃からハリウッドで大人気の俳優さん。監督や製作も手がけ、音楽の才能もある多才な方です。
・1975年1月5日生まれ
・フィラデルフィア出身
・1999年、『SEX AND THE CITY』の端役でスクリーンデビュー。
・2009年、『ハングオーバー/史上最低の二日酔いと消えた花ムコ』のフィル役でブレイク
・以後『アメリカン・スナイパー』、『二ツ星の料理人』、『アリー/スター誕生』などヒット作に続々と出演。
『アリー/スター誕生』では監督および作曲とパフォーマンスも行い、レディー・ガガとの共演で大変な注目を浴びました。
幼少期には難聴の危険もあった
Photo by Bravo, timetoast
小さい時に耳の切開を何度もしたというブラッドリー。中耳炎だったらしいのですが、あまりに切開回数が多くて、聴力を失う危険もあったそうです。しかし、奇跡的に聴力を維持でき、ブラッドリーは音楽でも才能を発揮することになりました。
キャリア初期には自傷行為も
噂によればブラッドリーは若い時、パーティーの途中でコンクリートの床に頭を叩きつけるという奇行を起こしたことがありました。それも2回!
デビュー間もない頃のブラッドリーはほとんど相手にされず、ドラマでやっと得た役も出番をカットされたり、さんざんだったようです。
本人も当時のことを振り返って、「どんどん出番を減らされて、死にたかった」と吐露しているので、頭を打ちつけたのは自傷行為でしょう。
生真面目な完璧主義者
ブラッドリーはまじめで責任感が強く、必要以上に完璧を追求するストイックな性格。一方で優しいところもあって、貧しい通行人がブラッドリーのコートを羨むと、すぐに脱いで渡してあげたというエピソードを残しています。
🌲オーウェンと共演した『ウェディング・クラッシャーズ』🌲
2005年のロマコメ『ウェディング・クラッシャーズ』で、ブラッドリーは敵役のサックを演じています。
・関連記事
浮気性で暴力的、おまけに自惚れが強いサックはとにかくイヤな人物。私が最初にブラッドリーを観たのは、あいにく『クラッシャーズ』だったので、ファンになるにはちょっと時間がかかってしまいました。
オーウェン・ウィルソンのブラッドリー評
Photo by charlierose
オーウェンは音声解説で、ブラッドリーについてこう言っています。
オーウェン:サックはとにかくイヤな人物。本当にひどすぎる。でも、ブラッドリー本人はとてもいい人なんだ。イヤな奴を演じるのが上手なだけだよ。
後で他の映画を観ると、オーウェンの言うとおりだと分かりました。むしろサックはブラッドリー本人の性格とは大きく違うよう。
逆に言えば、「自分と大きくかけ離れた性格を演じることができる才能」があるということですね。
ブラッドリーもアドリブは得意?
サック役の時、ブラッドリーのアドリブは監督にも大ウケしています。
・ラッコ救出を自慢するセリフ。
・殴る前にネクタイを肩に上げる仕草。
サックは動物愛護に熱心な資産家という設定。いつも自分の功績を延々と語って、周囲をうんざりさせます。中でもラッコを助けた話は騒がしいことこの上なし!
・ラッコ救出自慢のシーン
くしゃみしたり、「キャウキャウ」と鳴きマネしたりするのはブラッドリーの即興。1度はサックに薬を盛ることに反対したジョン(オーウェン)が「キャウキャウ」の声に辟易して、「やっぱり薬を」と言うのも笑えます。
Photo by New Line Cinema, fanpop
暴力的なサックはジョンに何度も殴りかかります。殴る前にネクタイをさっと肩の後ろに放り投げるしぐさは現場でブラッドリーが思いついたもの。単純にネクタイがヒラヒラしていると殴りにくいという理由かもしれないけど、監督は大ウケしていました。
ブラッドリー・クーパーのオーウェン評
ブラッドリーにとって、『クラッシャーズ』は4番めの映画で、良くも悪くも初めて観客の注意を引くことができた作品でした。
サックはこれ以上ないほどイヤな役ですが、なかなか軌道に乗れずにつらい思いをしていたブラッドリーは演じられるだけでも嬉しかったそう。
彼はインタビューで、共演した時のオーウェンについても触れています。
ブラッドリー:オーウェンは完璧な人だった。彼は半端なことは絶対にしないよ。
短いながら、オーウェンの徹底した真面目さを表現した言い回しですね。
オーウェンとブラッドリーは「まじめで責任感が強い」ところが似ているので、共感できるのかもしれません。
🌲『二ツ星の料理人』はブラッドリーの性格にピッタリ!🌲
本当のブラッドリーは『クラッシャーズ』サックとは正反対。ブラッドリーに1番似ているのは『二ツ星の料理人』のアダムでしょう。
完璧を追求するシェフのアダム
Photo by 3 Arts Entertainment, indianexpress
ストイックで責任感の強すぎるアダムは何でも完璧でないとイライラしてしまう情熱的な料理人。
あまりの完璧主義が度を越して、トラブルを起こすことも。一度は自分を追い詰めすぎて自殺未遂を起こすシーンがありますが、この病んだ雰囲気もブラッドリーと共通しています。
ブラッドリーは脚本と製作にも関与
この映画にブラッドリーは初期段階から関わっていて、ストーリーにも彼の考えは大きく反映されています。そのおかげか、ブラッドリーはアダムに強い共感をもって演じることができたようです。
ブラッドリーは本当に料理が上手
Photo by 3 Arts Entertainment, nikikitchen
実は小さい時にはシェフになりたいと思っていたブラッドリー。
お祖母様がお料理上手だったらしく、彼は子供の時から料理は得意だったようです。アダムを演じるにあたっては三ツ星シェフの指導も受け、プロ並みの腕なのだとか。
🌲その他のおすすめ映画🌲
ブラッドリーも出演作は多く、リストを眺めていると、いい映画がたくさんあります。私が今まで観た中からいくつかご紹介しましょう。
『ハングオーバー』シリーズ(2009,2011,2013)
男たちが一夜のどんちゃん騒ぎをした翌朝、記憶がすっかり抜けていて、次々とトラブルに巻き込まれるストーリー。ブラッドリーが演じたのは、明るく豪快で親切なフィル。彼がブレイクした役でもあります。
ちなみに1作めの時、ブラッドリーのしぐさがオーウェンそっくりに見えるのは偶然でしょうか? それとも彼自身、充分に意識した上でのことだったのかしら。小さな動きにいたるまでオーウェンを参考にしているように見えました。
『特攻野郎Aチーム』(2010)
80年代に大人気だったテレビドラマシリーズのリメイク映画版。キャストはドラマとは異なります。ブラッドリーが演じているのはチームの伊達男フェイスの役。一見プレイボーイに思えて、実は純情で真摯なところが素敵です。
これは危険を伴う撮影で、ブラッドリーは足の腱を切る怪我をしてしまいました。確かにメイキングを見なくても、危険が伝わる映像。
ブラッドリーの素晴らしいアクションをぜひ堪能してください。監督から「こんなにうまい俳優はいない」と褒められた、プロ並みの銃の扱いもお見逃しなく!
『世界にひとつのプレイブック』(2012)
妻の浮気現場を見て精神のバランスを崩してしまったパット(ブラッドリー)が、やはり精神を病んだティファニー(ジェニファー・ローレンス)と寄り添っていく物語。
派手な展開はないけれど、人間の心理を細かく描いた深みのある作品です。ここでもブラッドリーはプロデューサーとして製作面にも携わっています。
🌲まとめ:オーウェンとブラッドリーは共通点も多い🌲
このブログの主人公オーウェンは、心優しくて人懐っこい性格。一方、今回取り上げたブラッドリーはストイックで徹底した完璧主義者。
でも面白いことに、オーウェンとブラッドリーはいくつかの点でよく似ているところがあります。
1.コメディからシリアスまで演じ分けることができる演技力
2.深みがあってよく通る声とディクションのハッキリした話し方
3.優しくて気品があり、まじめで勇敢な性格
4.即興に長け、ストーリーを生み出す才能がある。
2人ともめったにない優れた才能と好感のもてる性格の持ち主ですね。
しかし、あいにく彼らはどちらもフェイクを流される被害に遭う点でも共通しています。
ブラッドリーに関するフェイクは現在増えつつあるよう。嘘で遊ぶ連中に歯止めをかけるべく、次回はブラッドリーの不審なニュースを簡単に取り上げましょう。
つづく▶︎
字幕に出ない手紙の内容は?|『ライフ・アクアティック』解説④
※21年5月の記事をリライトしました。
『ライフ・アクアティック』第4弾です。いつもだいたい4回くらいまで行くものが多いですね。
いつも長い記事にお付き合いくださっているあなたに感謝します!
最終回は、
・字幕に出ない、ジェーンの手紙の内容
・撮影における、様々なエピソード
がテーマ。
※Amazonプライムのページに飛びます。
- 🌊映画『ライフ・アクアティック』あらすじ・予告編🌊
- 🌊字幕に出ない手紙の内容・撮影エピソード🌊
- 🌊『ライフ・アクアティック』総合評価 ①〜④のまとめ🌊
- 🌊『ライフ・アクアティック』を配信しているところは?🌊
🌊映画『ライフ・アクアティック』あらすじ・予告編🌊
ドキュメンタリー映画の製作者スティーブとその部下たち、スティーブの息子かどうか分からない海軍兵士のネッド(これをオーウェンが演じます)、不倫の子を身籠る若い新聞記者のジェーンらが織りなす人間ドラマ。
タイトルのアクアティックから連想できるように、常に海が背景に存在する作品で、様々な人間模様や感情が描かれる、かなり奥深いストーリーです。
あらすじ
予告編
キャストは第1回記事の、登場人物(キャスト)をご覧ください。
『ライフ・アクアティック』の解説
①
②
③
🌊字幕に出ない手紙の内容・撮影エピソード🌊
最終回の今日は、映画のトリビアを雑多にお話ししていきましょう。
ジェーンからの手紙には何と書いてある?
Photo by Touchstone Pictures,anadventure
ネッド(オーウェン)がヘリコプターで探索に出かける直前、恋人のジェーン(ケイト・ブランシェット)から受け取る手紙。
ネッドが用意周到に準備したレターセットで書いたジェーンの最初の便りです。
・参照➡ネッドが用意するレターセット
この内容はいちおうアップにはなるのですが、文章が長いので字幕がついていません。
アンダーソン監督は「ちょうど読んでしまえるタイミングだ」と、音声解説で述べていますが、これはあくまでもネイティブの話ですからね・・・。
しかし、画像でじっと観察すると、多少の意味は分かりましたので、意訳を載せておきますね。
ネッドへ。今更と思うかもしれないけど、貝殻のネックレスのお礼を言わせてね。あれは私にとって何より大事な宝物、とても愛おしく思っています。でも貝殻から漂うペパーミントの香りを吸い込んだ時、感じたことがあるの。ネッド・プリンプトン、あなたはいったい誰なの? 私はこの疑問が頭から離れません。あなたのことをもっと知りたいの。私があなたの素性を明らかにしてもあなたは怒らないでくださるかしら。愛を込めて、ジェーン。
貝殻のネックレスというのは、二人が知り合った最初の頃、ネッドが海辺で見つけた貝殻に糸を通してジェーンに贈ったもの。
Photo by Touchstone Pictures,sundayswithcate
結局、これがジェーンからの最初で最後の手紙になります。
ヘリコプターに乗り込む時にネッドがジェーンに向かって手を振るのが永遠の別れ。ジェーンは葬儀の時、涙ぐみながら残りのレターセットを棺にそっと差し入れるのです。
オーウェンの父ロバートも出演
Photo by Eric Charbonneau/REX/Shutterstock, varietynews
ネッドの母は自殺してまとまった遺産を残すという設定。
これはオーウェンの幼少期の体験が元になっています。オーウェンの母親は自殺ではなかったものの、自然死だったかどうかは不明。何の話かさっぱり分からない方は⬇こちらの記事をどうぞ。
この映画のテーマの1つは、「スティーブがネッドの実の父なのかどうか」。
アンダーソン監督:ネッドがスティーブの子かどうか、というのは僕らにも分からないんだ。可能性はあるけど、違うかもしれない。エレノア(スティーブの妻)は「スティーブは子供を作れない身体」と話すが、ネッドが生まれたのはスティーブとエレノアが知り合うずっと前だからこのセリフを鵜呑みにはできない。
Photo by Shutterstock, indiewire
まるで他人の作品を批評するような口ぶりですね! しかし、ネッドの生い立ちは現実のオーウェンの素性をアレンジしたもの。もしかしたら、親友のアンダーソンさえ(あるいオーウェン自身も)分からない部分があるのかもしれません・・・。
この映画にはオーウェンの父親も出演しています。ネッドの葬儀の場面で、海軍の制服を着た3人の人物のうち、真ん中がお父さま。
Photo by Touchstone Pictures,
「オーウェンが演じる役の葬儀だから、ぜひウィルソン氏に出演してほしかったんだ」と、アンダーソン監督は語っています。
エンドクレジットにネッドの姿
Photo by Touchstone Pictures, medium
この映画を先入観なしに初見した時、最もショックを受けるのが、ネッドがあっけなく死んでしまうシーン。
アンダーソンの最初の映画『アンソニーのハッピーモーテル』の製作を手伝ったジェームズ・L・ブルックス(『幸せの始まりは』の監督)も、ネッドの死に衝撃を受けていたそう。
面白いのは、ストーリーを書いた張本人であるアンダーソン監督その人もこの設定を惜しんでいること。
まるで「ネッドの死は自分が手出しできる類の出来事ではない」とでも言いたげな様子です。
ちょっと調べたところ、スティーブのモデルになったのは、ジャック=イヴ・クストーという実在の探検家のようですが(赤い帽子がトレードマーク)、それでもネッドに当たる人物が実在するようには見えません。
では、「なぜ死なせるのか」? 理由は1つ浮かびました。
・ネッドの死は残された者たちを結びつける役割を果たしているから。
スティーブとエレノアの結婚生活は破綻寸前。しかしネッドの死後、2人は親としての感情を持っていたことで響き合い、ふたたび絆を取り戻します。
Photo by Touchstone Pictures, altfg
スティーブの宿敵だったヘネシー船長もネッドの死を分かち合ったことで和み、やはり和解しました。
Photo by Touchstone Pictures, girlsdofilm
スティーブ自身にも変化が見られます。傲慢さが消え、他人と誠実に向き合うようになるのです。
圧巻はエンドクレジットの映像。ネッドの出演した映画が10年ぶりのヒットを出し、スティーブは妻と仲間に囲まれて新たな航海に出ます。彼らが船に乗り込む時、マストには海軍の制服を着たネッドの姿が・・・。
Photo by Touchstone Pictures, reddit
遠くからシルエットが映るだけですが、亡くなったネッドが船の守護神であることを示す素敵なショットです。
ビル・マーレイのピストルハプニング
Photo by Touchstone Pictures,
海賊を追い払うシーンで、ビル・マーレイはうっかり海にピストルを落としてしまいました!
映画のロケ地はイタリアのローマ。海に銃器類を捨てることは法律で禁止されており、かなり大騒ぎになってしまいました。「警察も乗り込んできて、誰か逮捕者が出るかと心配したくらいだったよ」と、アンダーソンは回想しています。
結局ピストルは無事に見つかったのですが、かなりハラハラした一件でした。
本編中、スティーブが海賊に発砲した後、弾の切れたピストルを海中に投げ捨てるシーンがありますが、あれはいったんピストルを服に隠しこみ、早業で別の物体を投げ込むというトリックが使われています。
本当にヘリコプターが墜落?!
Photo by Touchstone Pictures, listal
もう1つのアクシデントもかなりショッキング。何と、
ヘリコプターが本当に墜落したのです!!!
ネッドとスティーブがヘリコプターに乗るシーンは2回ありますが、使われたヘリは安全保障外のもの。
すでに実用としては使えなくなったヘリを映画のために借りることができたらしいのですが、もちろん安全性は自己責任。
アンダーソン監督:機体にも、〈安全性は保証できない〉と書かれたラベルが貼ってあるよ。映画でも機体がアップになった時映るけどね。
そんな機体を使うなんて心配じゃないのかしら・・・。
ビル・マーレイとオーウェン・ウィルソンは微妙な関係?
映画の中で、なかなか距離を縮めることのできない親子を演じているビルとオーウェン。ちょっと面白いのは、二人は現実でもあまりソリが合わない雰囲気であること。
ビルはオーウェンを「考えが読めない男だね」と評し、一方オーウェンはビルが水着姿を自慢するのをあまり良く思っていないという具合です。
Photo by Touchstone Pictures, djjia
いちばん苦笑せざる得ないのは、スティーブという役柄に関するコメントの時。
ビルは自分が演じるスティーブの性格を「まったく問題だらけの男さ」と言っています。が、あろうことかオーウェンは無邪気にも、「スティーブとビルって、境界線が曖昧になるんだ」。
これは、何と言っていいか・・・。ビルが聞いたら絶句するのでは?
アンダーソン監督によれば、ビル・マーレイはとても明るく気さくな性格だそう。メイキングでも、なかなか魚が姿を現さない時に、「魚はメイクアップ中かね?」とジョークを飛ばしています。
ビルとオーウェンはどちらも人柄はいいけど、相互理解が難しい間柄なのかもしれませんね・・・。しかし映画においては、この温度差もうまく活きていると思います。
🌊『ライフ・アクアティック』総合評価 ①〜④のまとめ🌊
雑多にいろいろ書きましたが、これで『ライフ・アクアティック』解説を終えます。ここで、シリーズ全体の内容を要約しておきましょう。
☑ ネッドはオーウェンのために書かれた役。性格や言動がよく似ている。
☑ オーウェンとウェス・アンダーソンは大学時代からの親友。
☑ 字幕に出ないジェーンの手紙の内容は、「ネッドの生い立ちを知りたい」というもの。
☑ ビル・マーレイが海にピストルを落とす、ヘリコプターが本当に墜落するなど、大きなハプニングがあった。
☑ ビルとオーウェンはちょっと微妙な関係。
あなたもぜひ、アンダーソン監督の思い入れが込められた『ライフ・アクアティック』を楽しんでください。
オーウェンに興味を持って、「他の出演作品も知りたい!」という方は、⬇こちらの記事もどうぞ。
🌊『ライフ・アクアティック』を配信しているところは?🌊
最近はやりのVODでおすすめなのは、大人気のAmazonプライム。
でも、しっかりと映画を鑑賞するなら、やはりDVDやブルーレイがおすすめ。配信サービスでは見られない特典(未公開シーンやメイキング映像)が盛りだくさんです。視聴期限がなく、自由度が高いのもメリットですね。
残念ながら『ライフ・アクアティック』はまだDVDしかありませんが、多くの特典が入っています。
Amazonプライム
DVD
仇を恩で報いる! オーウェンとネッドの最大の共通点|映画『ライフ・アクアティック』解説③
※21年5月にアップした記事のリライトです。
『ライフ・アクアティック』第3弾まできました。今回はこのまえの続き、「ネッドの役柄とオーウェン本人の共通点」を語っていきます。
※Amazonプライムのページに飛びます。
オーウェンやアンダーソン映画のファンはもちろん、「映画を観るのが好き」というだけの方もぜひどうぞ。
🌊映画『ライフ・アクアティック』あらすじ・予告編🌊
ドキュメンタリー映画の製作者スティーブとその部下たち、スティーブの息子かどうか分からない海軍兵士のネッド(これをオーウェンが演じます)、不倫の子を身籠る若い新聞記者のジェーンらが織りなす人間ドラマ。
タイトルのアクアティックから連想できるように、常に海が背景に存在する作品で、様々な人間模様や感情が描かれる、かなり奥深いストーリーです。
あらすじ
予告編
キャストは第1回記事の、登場人物(キャスト)をご覧ください。
『ライフ・アクアティック』の解説
1️⃣
2️⃣
🌊オーウェン・ウィルソンの性格が表れているネッドの言動(後編)🌊
前回は、
・優しい気遣いができる
・物惜しみしない
・プライドが高く、不公平に扱われると怒る
を紹介しました。
共通点はさらにあと3つあります。
4.仇を恩で報いる
Photo by Touchstone Pictures, theartsdesk
お楽しみに取っておいた共通点。ここは、前回の最後から繫がっています。先に『ライフ・アクアティック』解説②に目を通していただけたら、分かりやすいと思います。
読むのが面倒な方は、「船員のひとりクラウス(ウィレム・デフォー)がネッド(オーウェン)をさんざんいびった過去がある」ということだけ頭に入れて、読み進めてください。
Photo by fandomwiki
さて、本題。
ネッド(オーウェン)はスティーブ(ビル・マーレイ)のチームロゴを新しくしたいと申し出、探検船の重要メンバーのイニシャルを加えてデザインします。
ここでサプライズ! 何と、
仕上がったロゴデザインには、クラウスのイニシャルが入っているのです!!!
Photo by © FOTW Flags Of The World, crwflags
びっくりですよね? 自分をいびった相手を重要人物としてロゴに入れてやる。悔しくて、できない人も多いのではないでしょうか?
しかも、ネッドの態度に恩着せがましいところは少しもありません。
ネッド:この輪は友情を表しているんだ。このKはクラウスのこと。
クラウス:でも、おまえのイニシャルはどこにあるんだ?!
ネッド:僕のはいらないよ。
スティーブ︰いや、クラウスの言うとおりだな。おまえの名前もないとだめだ!
ネッド:じゃあ、タコのそばにNを入れておく?
2度めの驚き! ネッドは、自分に辛く当たった男のイニシャルをロゴに縫いつけ、自分の名は入れていなかったんです!
アンダーソン監督はさすが、親友を知り尽くしていますね。オーウェンは自分を押し出そうとしないし、自分に酷いことをした相手であっても、相手が悪人でないかぎり許すタイプ。こうした性質を、アンダーソンはしっかりとネッドに描きこんでいますね。
クラウスは悪人ではなく、劣等感でつむじを曲げている人物です。長年誠意を込めて仕えてきたのに、スティーブが新入りのネッドばかりをかわいがることを妬んでいるだけ。
しかし、イニシャルを入れてもらったことで、態度が一変します。
Photo by Touchstone Pictures,
クラウスは、ネッドがスティーブとともにサメを探しにヘリコプターに乗り込む時、感激を隠しきれず、ネッドに深い感謝を述べます。
クラウス:旗に俺のイニシャルを入れてくれて、ありがとよ!
ネッド:どういたしまして。楽しかったよ。
クラウス:イルカのそばに縫いつけてもらって、どんな気持ちか・・・。
ネッド:気に入ってくれて嬉しいよ。
クラウス:気に入る? そんな軽いもんじゃねえよ!(ネッドに敬礼する。)この意味、分かるか?
ネッド:分かるよ。(敬礼を返す。)ありがとう、クラウス。
短いけど、ネッドの優しさがひねくれたクラウスの心を和らげたことを示す素敵なシーンです。
5.几帳面でかわいい
Photo by Touchstone Pictures,
ネッドはオーウェンをモデルにしているだけあって、とても几帳面。それも「かわいい几帳面」です。
特にかわいいのは、ジェーン(ケイト・ブランシェット)が船を降りようとするのを寂しがるシーン。
ネッド:手紙、書いてくれる?
ジェーン:もちろんよ。住所を教えて。
ネッド:実はね、もう用意したんだ。住所を書いて、切手を貼って・・・50回分の封筒だよ。書くのが楽になると思って。(中略)封筒にはそれぞれ3枚ずつ便箋を入れてる。それと書くペンも。
明らかにオーウェンの性質を活かしたシーン。
「連絡してね」と言って、住所や電話番号を書いた紙を渡すシチュエーションはよくあります。が、ここまで完璧なレターセットを用意するのはちょっと珍しいのでは?
すっかり落ち込んだ様子で、悲しそうに渡す様子は本当に純情。
Photo by toppic
もう1つ、この場面にはオーウェンの感受性の強さも織り込んであります。
ジェーン:あなたがいないと寂しくなるわ、ネッド。
ネッド:僕も寂しい。本音を言うと、胸が張り裂けそうなくらい・・・。僕って大げさだ。
ジェーン:それ、本気なの?
ネッド:うん、本当の気持ち。
もちろん、ジェーンはネッドの愛情に心打たれ、船に留まりました。
几帳面さ・かわいい愛情表現・感受性の強さなどが詰まった、オーウェンらしいシーンのひとつです。
6.周りに気を配り、ピンチに強い
Photo Touchstone Pictures,
廃墟となったホテルで、海賊と撃ち合いになったスティーブ。ネッドはクラウスと一緒にダイナマイトでホテルを爆破し、スティーブを救います。
こうした機敏な行動もオーウェンらしさの1つ。彼は周りの様子を敏感にキャッチし、誰かが困っていると、すぐに手を差し伸べます。
現実でも、オーウェンは自分の危険を顧みずに他人の危機を救ったことがありました。
『ライフ・アクアティック』の約10年後、『クーデター』で共演したレイク・ベルは、「オーウェンはいつも周りに気を配っているの」と話していましたが、まさにそのとおりです。
Photo by Touchstone Pictures, getyarn
ホテルを爆破する時、手伝いにクラウスを呼ぶのもオーウェンらしいところ。
ネッド:クラウス、ダイナマイトを持ってきて!
クラウスはこのシーンのちょっと前に、「いつも俺はB班だ」とスティーブに文句を言っています。ネッドはクラウスに助けを求めることで、クラウスのプライドを守ったんですね。
このさりげないシーンが、後のイニシャルの場面に繋がっています。
Photo by Touchstone Pictures, kino.dk
ピンチに強く、周りへの配慮を忘れない。アンダーソンは、ほんの数秒のシーンにもオーウェンらしさを細かく描きこんでいます。
つづく➡
オーウェンに興味を持って、「他の出演作品も知りたい!」という方は、⬇こちらの記事もどうぞ。
🌊『ライフ・アクアティック』を配信しているところは?🌊
最近はやりのVODでおすすめなのは、大人気のAmazonプライム。
でも、しっかりと映画を鑑賞するなら、やはりDVDやブルーレイがおすすめ。配信サービスでは見られない特典(未公開シーンやメイキング映像)が盛りだくさんです。視聴期限がなく、自由度が高いのもメリットですね。
残念ながら『ライフ・アクアティック』はまだDVDしかありませんが、多くの特典が入っています。
Amazonプライム
DVD
父親かどうか不明な男のために遺産をすべて投げ出す!|映画『ライフ・アクアティック』解説②
※21年5月にアップした記事のリライトです。
『ライフ・アクアティック』解説その2です。
前回はオーウェンと監督ウェス・アンダーソンの友情と、ネッドがオーウェンのために書かれた役であることをお話しました。
・前回の記事
では、
「具体的にネッドはどこがオーウェンに似ているのか?」
今日はこれをテーマに語っていきます。アンダーソンの思い入れが込められているので、彼の映画ファンはぜひどうぞ。
※Amazonプライムのページに飛びます。
🌊映画『ライフ・アクアティック』あらすじ・予告編🌊
ドキュメンタリー映画の製作者スティーブとその部下たち、スティーブの息子かどうか分からない海軍兵士のネッド(これをオーウェンが演じます)、不倫の子を身籠る若い新聞記者のジェーンらが織りなす人間ドラマ。
タイトルのアクアティックから連想できるように、常に海が背景に存在する作品で、様々な人間模様や感情が描かれる、かなり奥深いストーリーです。
あらすじ
予告編
キャストは第1回記事の、登場人物(キャスト)をご覧ください。
🌊オーウェン・ウィルソンの性格が表れているネッドの言動(前編)🌊
ネッドの人物像にはオーウェン本人の性格が刻印されています。アンダーソンがどのようにオーウェンの性格をストーリーに反映しているか、見ていきましょう。
1.優しい気遣いができる
Photo by Touchstone Pictures, talkfilmsociety
冒頭、スティーブ(ビル・マーレイ)が新しい映画を上映して、質疑応答に移った時。バカにしたような質問が次々と寄せられる中、ネッドはただひとり製作者のスティーブを気遣う質問を投げかけます。
ネッド:次の映画はいつ製作が始まりますか?
気まずい雰囲気を何とか救おうとする心遣いはいかにもオーウェンにふさわしい設定。主役級でありながら、さりげなく登場するのも、彼の控えめな性格に似合っています。
そういえば、ネッドはスティーブの映画をどう思っているか、いっさい口にしません。これも気遣いの表れでしょうか。
2.物惜しみしない
Photo by Touchstone Pictures, dvdizzy
「おまえは私の息子か?」とスティーブに問われて、「分かりません」と答えるネッド。もう一度聞かれても、同じ答えを繰り返します。
この率直さと素直さはオーウェンらしいですね。しかし、さらにオーウェンの性質をよく表しているのは、資金繰りに困窮しているスティーブに自分の全財産を差し出して救うこと。
スティーブがエージェントと揉めている最中に飛び込んできて、資産提供を申し出るシーンはとても印象的。
ネッド:状況はよくわからないけど、僕には27万ドルの遺産があります。それって、役に立ちますか?
自分の父かどうか分からない男の、ヒットする見込みの全くない映画のためにここまで尽くすなんて、誰でもできることではないと思いませんか? (ちなみに、27万ドルは日本円に換算すると、2900万円ほどです)。
Photo by Touchstone Pictures, EW
しかも、話はこれで終わりではありません。
スティーブは何と、ネッドのせっかくの財産を失くしてしまうのです! それも、金庫を船に積んだまま非警備水域を通って、海賊に奪われるというバカさ加減!
しかし、ネッドは何も言わず、少しも責めません。それだけでなく、ついには船のシステムまで壊れて落ち込むスティーブを励まそうとさえします。
そんなネッドが唯一自分の財産のことを言うのは、ジャガーサメの探索を諦めようとするスティーブを鼓舞する時。
ネッド:僕はこの探検に27万ドル出したんだ! 親友がサメに殺されたんだろ! だったら、(サメが見つかるところまで)案内しろよ! 行こう!
ネッドはヘリコプターでの捜索を決行し、その結果命を落としてしまいます。
3.プライドが高く、不公平に扱われると怒る
オーウェンは決しておとなしいばかりではありません。物腰は柔らかくても、心には鉄の精神が宿り、時にはかなりプライドの高さを見せつけることもあります。
オーウェンのこうした一面も当然ネッドに現れています。ネッドが誇り高い性格を見せるシーンは2つ。
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1つめはクラウスと言い争うシーン。この映画でネッドの敵役となるのが、ベラフォンテ号(スティーブの探検船の名前)に技師として乗り込んでいるドイツ人クラウス(ウィレム・デフォー)。
彼は理不尽にネッドに嫉妬し、いきなり平手打ちを食わせたり、機会があればバカ呼ばわりまでするほど意地悪。
ネッドは平手打ちされた時、「今度、僕に触ったら歯をへし折る。分かったな?」と警告。数日後あいかわらず意地悪を続けるクラウスに怒って、「おあいこだ」と平手打ちを返します。
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もう1度ネッドが怒るのはスティーブを相手にした時。スティーブがネッドとジェーン(ケイト・ブランシェット)の仲に嫉妬し、両者に罵詈雑言を浴びせるシーンです。
この時もネッドはスティーブに殴られると、黙って引き下がらず、しっかり殴り返しています。
オーウェンが現実でこうした反撃に出たのは、『シャンハイ・ヌーン』のバスタブシーンや、『アイ・スパイ』の髪の長さについて議論した時。
一方で敵を赦す心も持っているのがオーウェン。彼の性格にはプライドと寛容さが入り混じっていて、このバランスも当然ネッドのキャラクターに忠実に映し出されています。
特に「これはオーウェンそのもの!」と言えるシーンは・・・ここは次回のお楽しみに取っておきます。
つづく➡
オーウェンに興味を持って、「他の出演作品も知りたい!」という方は、⬇こちらの記事もどうぞ。
🌊『ライフ・アクアティック』を配信しているところは?🌊
最近はやりのVODでおすすめなのは、大人気のAmazonプライム。
でも、しっかりと映画を鑑賞するなら、やはりDVDやブルーレイがおすすめ。配信サービスでは見られない特典(未公開シーンやメイキング映像)が盛りだくさんです。視聴期限がなく、自由度が高いのもメリットですね。
残念ながら『ライフ・アクアティック』はまだDVDしかありませんが、多くの特典が入っています。
Amazonプライム
DVD
「オーウェンはミーハー兄ちゃんじゃない!」|『ライフ・アクアティック』に見るアンダーソンの思い
『マーリー』はオーウェンらしさが発揮されていない作品でしたから、今度は思いきりオーウェンの特色が全開する映画を。
『ライフ・アクアティック』。2004年公開の映画です。監督はオーウェンの大親友ウェス・アンダーソン。
私のブログでウェスの作品を取り上げるのは初めてですね。
オーウェンが出演したアンダーソン作品は何作品もあり、どれを最初に取り上げようか迷ったのですが、結果的にウェスのオーウェンへの思い入れが強く感じられる『ライフ・アクアティック』を選びました。
せっかくなので、第1回は
・オーウェン・ウィルソンとウェス・アンダーソンの友情
・ネッド役にオーウェンが選ばれた経緯
にフォーカスを当ててお話しましょう。
- 🌊オーウェン・ウィルソンとウェス・アンダーソンの関係🌊
- 🌊『ライフ・アクアティック』のネッドはオーウェン・ウィルソンのために書かれたキャラクター🌊
- 🌊映画『ライフ・アクアティック』あらすじ・予告編・キャスト🌊
- 🌊まとめ:『ライフ・アクアティック』はウェスとオーウェンの友情から生まれた映画🌊
🌊オーウェン・ウィルソンとウェス・アンダーソンの関係🌊
Photo by nydailynews
映画について話し出す前に、オーウェンとアンダーソンの関係について解説させてください。
以前の記事に書いたように、オーウェンが映画界に足を踏み入れるきっかけを作ったのが、ウェス・アンダーソン。オーウェンが作家を目指して大学で戯曲の勉強をしている時に知り合いました。
2人の最初の作品『アンソニーのハッピーモーテル』(原題︰Bottle Rocket)
アンダーソンは処女作『アンソニーのハッピーモーテル』(原題︰Bottle Rocket)を作るにあたってオーウェンの協力を求め、二人は脚本を一緒に書きました。
まだ名もない新人監督だったアンダーソンは映画を製作するにも財力があまりなく、経費削減のためにオーウェンに演技もしてくれるように頼みます。
これを受けて、オーウェンは弟のルークと兄のアンドリューも呼び、3人揃って映画デビューするも、『アンソニー』は興業的に大失敗。
Photo by Columbia Pictures
大泥棒ディグナンを演じるオーウェン
『アンソニーのハッピーモーテル』が冷たい反応を受けて気まずい思いをしたことを、オーウェンはずっと後になっても忘れられなかったようです。
オーウェン:あの時の観客の反応がトラウマになって、自分が出演した作品が公開される時は映画館で観ることができないんだ。
オーウェンはもともと繊細な性質なので、こうしたことを引きずりやすいようですね・・・。
何の前触れもなく、ハリウッドから招待の手紙が届く!
映画の失敗に気落ちしながらも、もともと俳優になりたいわけではなかったオーウェンは海軍に志願し、新しい道に進もうとしました。
ところが、そこにハリウッドの映画関係者から手紙が・・・。
内容の趣旨は、「ぜひ俳優として活躍してほしいから、戻ってきてくれ」というもので、何と、
ファーストクラスの航空券が添えられていました!!!
びっくりしたオーウェンは招待に応じることにしたものの、自分のためにファーストクラスの料金を払わせるのは申し訳ないと考え、空港でエコノミーに替えてもらおうとしました。
事務員から「この航空券はクレジットカードで支払われているから、本人でないと変更はできない」と言われ、結局そのまま乗ったのですが、いかにも細やかな気遣いのできるオーウェンらしいエピソードですね。
オーウェン:ファーストクラスに乗ったのは初めてだったよ。すごくぜいたくな気分だったけど、やっぱり申し訳なかったな。
こうして、オーウェンは華々しくハリウッドの重要人物になっていったのです。
🌊『ライフ・アクアティック』のネッドはオーウェン・ウィルソンのために書かれたキャラクター🌊
Photo by Touchstone Pictures, fanpop
『ライフ・アクアティック』は、ウェスがいかにオーウェンに温かい友情を持っているかを示す作品に仕上がっています。
オーウェンが演じたのは、海軍兵士の青年。「オーウェンといえばコメディ!」というイメージを持っている観客には、驚きをもたらすキャスティングでした。
しかし、実はネッドは「ウェス・アンダーソンの知るオーウェン・ウィルソン」のすべてが込められた役柄です。
オーウェンが初めて出演のみとなったアンダーソン映画
本格的に映画界に入ってからも、オーウェンはアンダーソンの映画『天才マックスの世界』と『ロイヤル・テネンバウムズ』の製作に関わっています。
前者では脚本と製作総指揮を、後者では脚本・出演・製作総指揮の3役をこなしました。
しかし、『テネンバウムズ』の頃からオーウェンは非常に多忙になり、以後は脚本に関わることは少なくなっていきました。
『ライフ・アクアティック』はアンダーソン監督4作目で、初めてオーウェンが出演者としてのみ登場した映画。
この作品の脚本はアンダーソンとノア・バームバックによって書かれています。
アンダーソン監督はオーウェンの戦争映画がお気に入り
アンダーソンは脚本を書くにあたって、最初からオーウェンに演じさせるつもりでネッドの人物像を作り上げました。
アンダーソン:オーウェンが演じるのは、いつも狡い軽薄な役ばかりだから、たまにはまったく違うタイプの役をしてもらいたかったんだ。
彼はオーウェンが自分にふさわしくない役ばかり演じることに苛立ちを感じていたのですね。
確かにアンダーソンの作品でも、オーウェンの役回りは決していいものとは言えません。『アンソニーのハッピーモーテル』では泥棒役、『ロイヤル・テネンバウムズ』では薬中毒の作家役で、主役級の「よい青年役」はいずれもルーク・ウィルソンになってしまっています。
Photo by WireImage
余談ながら、アンダーソンは「いつも主役をルークが持っていってしまうこと」に腹を立てていたよう。そのせいか『ロイヤル・テネンバウムズ』を最後にルークの起用をやめてしまっています。
話を戻して、ウェス・アンダーソンのコメントの続きを見てみましょう。
アンダーソン:オーウェンがコメディ俳優になるなんて、僕は予想もしなかった。シリアスな俳優だと思っていたから、軽いお兄ちゃんタイプのイメージで知られていることに驚くばかりだよ。僕が好きなのは『エネミー・ライン』での彼だよ。もっとああいう役を演じてくれればいいのに。
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お察しのとおり、アンダーソンは親友のオーウェンのイメージがどんどん曲がって知られていくことに呆れ、心を込めてネッドというキャラクターを作り上げたのでした。
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オーウェン・ウィルソン、自分にそっくりなネッドを「僕なんかが演じるには誠実すぎる!」
アンダーソンが最初に脚本を渡した時のオーウェンの反応は、何と「僕なんかにはとても演じられない!」。
オーウェンは、ネッドがあまりに純情で優しい性格であることに驚き、この役の素晴らしさを演じられるかどうか本気で心配したそうです。
とんだご謙遜ですね! 「ネッドの誠実さも優しさもオーウェンそのもの」と言っていいほどなのに。
アンダーソン:オーウェンはすっかり戸惑って、不安がるんだよ。でも僕は承知せず、彼をホテルに引っ張り込んで、脚本のセリフを読み上げさせた。そうするうちに、やっと彼も落ち着いてきて演じる決心がついたみたいだった。
こうしてオーウェンは、これまでになく自分らしい役柄を演じることになります。しかし、それにも関わらず、オーウェンはインタビューでも「謙遜しすぎなコメント」を述べていました。
オーウェン:ネッドはどこまでも純情で誠実だから、演じるのは難しかったよ。情緒不安定で感情的な役のほうが演じやすいんだ。
「自分によく似ているから演じやすい」と言ってもいいのに・・・。
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🌊映画『ライフ・アクアティック』あらすじ・予告編・キャスト🌊
ドキュメンタリー映画の製作者スティーブとその部下たち、スティーブの息子かどうか分からない海軍兵士のネッド(これをオーウェンが演じます)、不倫の子を身籠る若い新聞記者のジェーンらが織りなす人間ドラマ。
タイトルのアクアティックから連想できるように、常に海が背景に存在する作品で、様々な人間模様や感情が描かれる、かなり奥深いストーリーです。
あらすじ
予告編
登場人物・キャスト
ウェス・アンダーソンは、馴染みの俳優たちでいろいろな映画を撮っていくタイプの監督。本作でもビル・マーレイとオーウェンはアンダーソンの常連、ウィレム・デフォーはこの時が新登場ですが、以後アンダーソン作品の敵役・悪役として、しばしば出演するようになります。
スティーブ・ズィスー(ビル・マーレイ)
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映画の主人公。ドキュメンタリー映画の製作者であり、探検船の船長。10年間、映画が失敗続きでスランプ状態。
ネッド・プリンプトン(オーウェン・ウィルソン)
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海軍の副操縦士。スティーブの息子の可能性もあるが、真実は分からない。
クラウス・ダイムラー(ウィレム・デフォー)
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探検船に乗り込んでいるドイツ人技師。スティーブには忠実だが、ネッドを妬んで意地悪をする。
ジェーン・W・リチャードソン(ケイト・ブランシェット)
Photo by Touchstone Pictures, thatmomentin
雑誌の女性記者。スティーブに関する特集を組むため、探検船に乗り込んでくる。
エレノア・ズィスー(アンジェリカ・ヒューストン)
Photo by Touchstone Pictures,spielfilm
スティーブの妻。夫の身勝手に呆れ果て、離婚の危機にある。
アリステア・ヘネシー(ジェフ・ゴールドブラム)
Photo by Touchstone Pictures,breakinggeek
エレノアの元夫で、別の船の船長。スティーブとは宿敵関係。
🌊まとめ:『ライフ・アクアティック』はウェスとオーウェンの友情から生まれた映画🌊
今回はもっぱらオーウェンとウェス・アンダーソンの関係についてのエピソードで終始しましたね。
☑ ウェス・アンダーソンとオーウェン・ウィルソンは大学時代からの親友。
☑ オーウェンはしばしばアンダーソン映画の製作にも携わっていた。
☑ アンダーソンはオーウェンの『エネミーライン』がお気に入り。
☑ アンダーソンは、オーウェンがコメディアンとして知られる現実を苦々しく思い、イメージ払拭のために『ライフ・アクアティック』のネッドを書いた。
この映画は、まさにウェスのオーウェンに対する友情の集大成ですね。
「で、ネッドって具体的にどんな人なの?」
はい、そこはぜひ次回から書いていくつもりです。ネッドはオーウェンの性格を細かいところまで映し出した役柄。1つひとつ丁寧に見ていきますね。
つづく➡
シェリル・クロウとのツーショットはすべてでっち上げ?不自然な加工の跡がたくさん!
「このブログはオーウェン専門のわりに、彼の恋愛エピソードが少ない」とお考えの読者もいらっしゃるかもしれません。
でも、それは私が取り上げないせいではないんです。
問題は、
巷でオーウェンの恋人として登場する女性の大半が、実際にはオーウェンと付き合っていない。
ためです。
オーウェンの名誉に関わりますから、彼が「付き合っていない」ことが分かり次第、このブログで暴くようにしています。
今のところ、報道に出た恋人たちのうち、オーウェンが本当に付き合った女性は1人も見つかっていません。
ここでは「オーウェンと恋人関係の噂のある女性、シェリル・クロウ」について取り上げましょう。
結論を先に言えば、この2人も交際の形跡はありません。が、あいにく「オーウェンの元恋人」としてリストアップされてしまっているので、順を追って、この噂がウソであることを立証していきますね。
🍃合成の跡がくっきり残るツーショット🍃
Photo by universel
シェリル・クロウは1962年生まれのシンガーソングライター。女優としてもたまに活躍していて、’99年の『ザ・マイナスマン』ではオーウェンと共演しています。
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一般的には、シェリルとオーウェンは共演をきっかけに交際を始め、2002年頃に破局したことになっていますが・・・。
『シャンハイ・ヌーン』の第3回に貼ったプレミアの写真がヒントになって、ハッとしました!
今回は説明のために、画像に番号を振りますね。
①
⬆これがプレミアの写真。
このオーウェン、シェリル・クロウ と写っている数枚の写真とほぼ同じなんです。もちろん角度や表情は違いますが、オーウェンを見れば、同じ時のショットだとはっきり分かります。
②
Photo by SGranitz/WireImage, Photos from Sheryl Crow's Surprising Relationship History - E! Online
③
Photo by Getty, popsuger
後ろに『シャンハイ・ヌーン』のポスターがありますね。でも、シェリルはこの映画には出ていません。
プレミアに恋人を連れてきただけ? いいえ、それは違うでしょう。確かに、俳優が自分の家族や恋人を伴ってプレミエに現れるのはよくあること。でもシェリルとのツーショットは違和感が多すぎるのです。
ちゃんと見れば分かります。これらのツーショットはすべて合成写真です。
1.オーウェンの髪がおかしい
まずはオーウェンの髪。前髪のかかり具合はどちらも同じなのに、②ではちょっと短めに感じませんか?
これを見てまず浮かぶのは、写真加工ソフトの切り抜き機能。
使ったことのある方ならお分かりになると思いますが、切り抜く時に必要なアウトラインが少し削れてしまうことはよくあります。もう一度見てください。オーウェンの頭は切り抜いたものだと分かりますよ。
2.背景は空港?
②と③は右にポスターはあるものの、左側は空港の雰囲気。でも、なぜ空港? 意味不明ですね。
それに、②の背景にいる人たちはどうなってるんでしょう?!
・指がおかしな向きで宙に浮いている
・首なし男が立っている
やめてよ、気持ちが悪い!!
3.オーウェンの手に違う指が混ざってる?
③のオーウェンの右手を見てください。
間に違う指が混ざりこんでいる???
この角度からこんな風に写るはずはありません。それに、オーウェンはシェリルに腕を回していませんね。
「ちゃんとシェリルの肩に左手があるけど?」と、言われそうですが、これが問題なのです。この回し方は微妙に不自然です。キスはしていますが、オーウェンの視線は・・・ちょっと変ですね。
4.シェリルは唇が2枚あるの?
あら、これは何でしょう? オーウェンの唇の下を見てください。
シェリルは唇が2つ???
怖いですね。もう、これじゃお化けですよ。首なし男に、宙に浮いた謎の指、今度は二つの口を持つ女。
くだらないホラー映画のつもりなんですか?
4.服に変なところがある
画面を暗くしている人は、ここでちょっと明るさを上げてみてください。
オーウェンのスーツの襟に変なところがあるのが見えませんか?
左はちゃんと襟があるのに、右側はシルエットしかありません。一部だけ露光度を上げすぎたんでしょうね。白浮きしています。
シェリルの脇の下にある謎の水玉は? ポーチでもバッグでもありませんね。
②のオーウェンのバッジ付近は、そこだけ色が濃すぎるところがありますし、シェリルのスカートは②と③のどちらも・・・。書き出したら、キリがありませんから、この辺で止めておきましょう。
プレミア映像を見れば、一目瞭然
『シャンハイ・ヌーン』のプレミアにオーウェンがシェリルを連れてきていなかったことは、簡単に証明できます。
『シャンハイ・ヌーン』プレミア時の抜粋映像です。
じっくり見てみましたが、これは本物でした(←毎回この検証から入らないといけないのは面倒ですね)。
ルーシーは出てきませんが、オーウェンもジャッキーも①と同じ服・髪型です。
オーウェンは3:28あたりで登場しますが、シェリル・クロウはいません。これで、『シャンハイ・ヌーン』プレミアに二人が一緒にいなかったことはお分かりいただけるでしょう。
シェリルは出演者ではありませんから、恋人として同伴したのであれば、オーウェンの入場時にいたはずです。
🍃結論:本当に交際していたなら、なぜ偽ツーショットしかないのか?🍃
しばらく交際されていたと言われるオーウェン・ウィルソンとシェリル・クロウ。でも、ツーショットは合成だらけ。
合成写真はお見せした2枚にとどまりません。くどくなるので詳細を書くのは控えますが、不自然な画像をあと2枚お目にかけましょう。
パッと見た目には分かりませんが、よくよく観察するといくつもおかしな部分を発見できます。
1.輪郭のボヤけ
Photo by Celebrity+Couples
例えば、1枚めの画像のシェリルを見てください。画面の明るさを上げて、虫眼鏡を使えば、うっすらと輪郭がボヤけているのが分かります。
「輪郭のボヤけ」はあまり解像度の高くない画像を切り抜いた時に発生しやすいもの。つまり、このシェリルは他の写真から切り抜いてきた証拠です。
2.シェリルの手は「甲」?それとも「平」?
Photo by Getty / Kevin Mazur, popsuger
何これ?! 腰に当てたシェリルの手がどっち向きなのか分かりませんね! またホラー映画になってしまっています。
この写真はいったんネット上から削除され、また戻されるという奇妙な経歴が残っています。
3.どの写真を見てもオーウェン・ウィルソンとシェリル・クロウの年齢差が大きすぎる!
ツーショットのどれを見ても、オーウェンの年齢は30歳前後。シェリル・クロウとの交際期間は一般的に1999〜2001年とされていますから、この点には矛盾はありません。
問題はシェリル・クロウ。ちょっと年が行き過ぎていませんか?
オーウェンより年上とはいえ、この頃はまだ36歳か37歳のはず。でも、オーウェンとのツーショットを見ると、どう若く見積もっても50歳代にしか見えません。
「もともと老け顔なんじゃない?」と言われそうですが、2000年のコンサートの写真を見ると、明らかに若いんですよね…。
明らかにこれまであげた写真よりはずっと若いのが分かります。
さて、彼らが交際していたなら、なぜマトモなツーショットがないのでしょう? 最近は面白半分に噂を流して、マスコミも平気でデマを取り上げる時代。
シェリル・クロウとオーウェンの関係も、単なるデマの産物かもしれませんね。
※2021年に書いた記事をリライトしたものです。当時「真実」と信じて書いたものの、現在は信ぴょう性が疑わしく感じられる記述をすべて削除しました。