主演にオーウェンが選ばれた理由は? ― 映画『エネミー・ライン』解説①
数人の方から「エネミー・ラインのオーウェン、カッコよかったよね」というご意見をいただいたので、今日からは本作を取り上げましょう。
オーウェンの真価を味わえる作品としては『クーデター』と並ぶ名作。ストーリーや役作りの点でもオーウェンの考えが活きている面が多く、まさにオーウェンの代表作と呼ばれるべき映画です。
撮影における過酷さは『シャンハイ・ヌーン』に負けず劣らず、と言っていいでしょう。
- 🌲『エネミー・ライン』のあらすじと予告編🌲
- 🌲ジーン・ハックマン、オーウェンを強く推す!🌲
- 🌲オーウェンの髪型・恰好をめぐる議論🌲
- 🌲オーウェン、上司に辞任を告げるシーンを改善🌲
- 🌲『エネミー・ライン』を視聴する🌲
🌲『エネミー・ライン』のあらすじと予告編🌲
Photo by hanbunorita
個人的にも『エネミー・ライン』は大好き。オススメの映画を聞かれたときには必ず入れる作品です。多くの方が、この映画でのオーウェンを気に入っていらっしゃるのは、とても嬉しいですね。オーウェン本人も喜ぶでしょう。
偵察中に敵地に墜落した海軍兵士が命からがら逃げ伸び、ひそかに蔓延る悪を撲滅させるストーリーです。
あらすじ
予告編
🌲ジーン・ハックマン、オーウェンを強く推す!🌲
Photo by 20th Century Fox, questionofscale
オーウェンを主役に選んだのは、製作者たちとレイガート少将を演じるジーン・ハックマンと製作者たち。
映画が企画された時、最初に決定したキャストがジーンで、その後に主役として白羽の矢が立ったのがオーウェン。
きっかけはそれこそ、『シャンハイ・ヌーン』。あの過酷な撮影に耐え切れるオーウェンの我慢強さを見込んだのです。
「あの映画のオーウェンは実に素晴らしいアクションを見せていた。これならきっと戦争映画もいけると思ったんだよ」と、製作者は語っています。ジーンも「オーウェンなら一流のアクション・スターになれる」と言い切り、本作でぜひとも軌道に乗せたいと熱心でした。
こうして、製作者たちとジーンは「主役は絶対にオーウェンがいい」と話が合い、映画会社の20世紀フォックスにオーウェンを起用するように要請。こうして、オーウェンは初めての戦争映画に出演することになったのです。
もしかしたら、ベン・スティラーが邪魔しようと躍起にならなければ、オーウェンはこの路線で成功したかもしれません。
「ベン・スティラーがオーウェンの邪魔をしたって、何のこと?」
ごめんなさい。それは別の機会に回させてください。話が横道に逸れてしまいますから。いつか、彼との共演作を取り上げる時にでもお話しします。(好奇心のある方は👉ここをクリック!)
ただ、一言だけ書くなら、ベンはオーウェンの親友である反面、かなり彼のことを妬んでいるんですよね・・・。
🌲オーウェンの髪型・恰好をめぐる議論🌲
オーウェン演じるクリス・バーネット大尉の恰好をどうするかをめぐって、制作側と映画会社はものすごく揉めました。
オーウェンの美しさを優先? それともリアル性?
20世紀フォックスはオーウェンの美男子ぶりを最優先したいと言い張り、制作側はストーリーのリアル性が最も大事だと譲りません。
結局、オーウェン自身がストーリー性を重視する意向だったこともあって、制作側の意見が通りましたが、髪を切るのはオーウェンにとっても嫌なことだったそう。そういえば、『アイ・スパイ』で監督と口論になったのも髪型でした。
確かに、あの長い金髪は素敵ですし、オーウェンらしいですよね。でも、海軍兵士をリアルに描くなら、やっぱりショートヘアでなくてはなりません。オーウェンも必要性は分かっていますから、ちゃんとおとなしく従いました。
髪型の件に関して、製作者たちは「デート前だったらしくて、切りたくなかったんだ」と、語っていますが、これは事実ではなかったそうです。誰かが、髪を切るのを渋るオーウェンを「おまえ、デート前なんだろ?」とからかったのが間違って伝わったのだとか。
まあ、オーウェンは当時30歳くらいですから、デートしても不思議はありませんよね? もっともこんなことを書くと、オーウェン本人から「僕はそんな軽々しいデートはしない!」と、怒られそうですが・・・。
話が逸れましたね、ごめんなさい。
顔の泥は本物!!!
Photo by 20th Century Fox, imdb
さて、リアルに描くことで話が決まると、オーウェンは徹底的に実行しました。
敵兵に追い詰められ、逃げ惑って顔が泥だらけになっているシーンがありますよね? 何と、
あの泥は本物なんです! メイクではありません!
「オーウェンは髪も顔も本当に泥まみれだった。普通の俳優なら、気持ち悪がって絶対に嫌がるシチュエーションさ。でも、オーウェンは黙って、無我夢中で演じてくれる。スターぶらない俳優は本当に助かるよ。」製作者たちは語っていました。
よく我慢しましたね・・・。感心します!!!
🌲オーウェン、上司に辞任を告げるシーンを改善🌲
冒頭、海軍で実力を発揮できないことに苛立ちを募らせて辞表を出したバーネット大尉は、引き止めようとするレイガート少将に口答えします。
オーウェンは脚本を気に入らず
このシーンを撮影する前日の朝、オーウェンは製作者たちのところへ行き、「このシーンは気に入らない。僕ならこんな言い方しないよ」と、変更を求めました。
確かに、ここでのバーネットの言い方は傲慢に聞こえますし、誰にでも敬意を持って接する性格のオーウェンが気に入らないのも分かりますね。しかし、製作者たちはオーウェンの言い分を聞き入れず、「もう変更はなしだよ。明日までに覚えてこい」。
覚えるのはもうとっくに覚えていたんですよ、オーウェンは。撮影前日に長い脚本を渡しても、瞬く間に暗記できますから。彼は驚くほど記憶力がいいことでも有名です。
上司に怒鳴るか、怒鳴らないか
Photo by 20th Century Fox, moviestillsDB
さて、脚本の問題が片づくと、今度は上司に口答えする時のオーウェンの演技が議論の的になります。映画会社は、オーウェンの静かな演技を好まず、「もっと感情的に怒鳴れ」と指示しました。けれども、制作側とオーウェンの意見は「上司に怒鳴るはずがないだろう」。
大尉の横着な口調すら眉をひそめたオーウェンですから、怒鳴るのはもってのほか。でも、映画会社の意見に従い、腹を立ててわめき散らすバージョンも撮ったようです。
その結果は、
映画会社はオーウェンの元々の演技のほうがふさわしいことに気づき、自説を引っ込めた。
ほら、だから言ったでしょう、20世紀フォックスさん。本作で初めて監督をしたジョン・ムーアも「最初からオーウェンの演技のほうがいいと分かってた。インパクトがあるせいか、怒鳴るバージョンは予告編では使われたけど、本編ではオーウェンがやった通りにしててよかった」と、コメントしています。
確かに、ここではオーウェンが演じたように窮屈そうな態度を取るほうが、怒鳴るよりも職務にうんざりした感じが出ますよね? それに、あれくらいのことで怒鳴るはずはありませんし・・・。
たった3つ書いただけで、この長さになりました。『エネミー・ライン』も複数回にわたりそうです。
つづく➡️
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