オーウェン・ウィルソンの映画と性格

オーウェン・ウィルソン|知られざる性格をすべて公開!

『ナイト・ミュージアム』のカウボーイや『アルマゲドン』のオスカー、『カーズ』の主役の声を担当するなど、有名作品に数多く出演している、ハリウッドの人気俳優オーウェン・ウィルソン。そんな彼の真の姿について伝えるブログです。

スティーブの愛が勝つ?細やかなニュアンスに彩られた映画『アー・ユー・ヒア』の結末

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 もうすぐ七夕ですね。実はアメリカでもStar Festivalと呼んでお祝いするとか。7月7日ではなく、8月4日みたいですが・・・。

 一般的には「雨が降ると織姫と彦星が会えない」とされていますが、これも諸説あるようで「雨は嬉し涙の象徴だ」など、雨が降っても会えるとする説もたくさんあります。

 伝説なのだから、【雨に関わらず毎年会える】と考えたほうが幸せな気分になりますよね。

 

 雨が降っても大丈夫な説を取るなら、『アー・ユー・ヒア』は七夕にもおすすめの映画かもしれません。雨が降り注ぐ中、主人公のスティーブとアンジェラが抱き合うラストは素敵です。

 

アー・ユー・ヒア 映画

Photo by ©Gilbert Films

作品情報

・公開:2013年

・時間︰114分

・出演:オーウェン・ウィルソン、ザック・ガリフィアナキス、ローラ・ラムジー、エイミー・ポーラー、他

・ジャンル:なし(ロマンス、サスペンス、ドラマの融合)

 

 この映画の結末は言葉よりも雰囲気で表されていて、4つほど解釈の余地があります。実を言うと私自身、最初は肝心なところを見落としたために誤った解釈をしました。

 

 他の記事と併せて辛抱強く読んでくださっているあなたの頭がパンクしないように、ここまでの解説の要点を先にまとめておきますね。

☑ 映画の登場人物のうち9割は悪人で、アーミッシュ(宗教グループ)の発展のための悪事に加担している

 

☑ アンジェラは組織の手先に使われ、不承不承ながら夫を殺した

 

☑ 主人公スティーブは組織にハメられ、惨めな人生を強いられている

 

 しかし、スティーブは犠牲者でありながら、この悪事に終止符を打つ役割を果たします

 結論を先に書くと、この映画は「スティーブの愛が勝つ」ことで終わります。つまり、ハッピー・エンドですね!

 

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🌿結末を示唆するヒントの数々🌿

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寄り添うスティーブとアンジェラ

Photo by ©Gilbert Films

 愛するアンジェラが親友のベンと一夜を過ごしたことでズタズタに傷ついたスティーブ。しかしラストでは彼女に会いに行き、雨の中で抱き合います

 ベンは買い物を終えたところで、奇妙な集団を不審に思いつつもシングルマザーの息子が遊ぶのを見守り、アーミッシュの老人が馬車で去っていくのを目で追います。

 そして、静寂のなか木馬がくるくる回る様子がアップになった後、突然画面が真っ暗になって映画は終わります。

 

 木馬がクルクル回って画面が真っ暗になる最後のカットは死を連想します。では、誰が死んだのか? ラストは観客の想像に任されているところもありそうですが、全体の流れを考えると、解釈は4つ考えられます。

 

1.スティーブがアンジェラを殺して自殺。

 

2.アンジェラがスティーブを殺害。

 

3.スティーブが連れてきた捜査官たちにアンジェラが殺される。

 

4.ベンが殺され、犯罪組織が逮捕される。アンジェラは改心してスティーブと結ばれる。

 

 1と2は可能性はあってもナンセンス過ぎます。3は実は私も一度決定づけてしまった結末。しかし、後述するように「アンジェラが雨を喜んでいる」事実があるので、やはり却下。

 ということで、この映画の結末は4の「ベンが亡くなり、スティーブとアンジェラが結ばれる」です。

 

雨が浄化と幸福をもたらす

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 ラストシーンでは雨が降っていますよね。この映画で、雨は非常に重要なモチーフ

 スティーブは初めてアンジェラに会った時、「もうすぐ雨が降る」と言います。次にアンジェラへの恋を自覚した時も電話で「そろそろ雨だよ」と囁き、映画のラストでは2人が抱き合う中、大雨が降り出します。

 

 さて、この雨は何を意味しているのでしょうか? 調べてみると、雨は多くの事柄のシンボルになっていました。

 

雨のシンボル

①はかないもの、不安定さ

②男女が愛し合うこと

③水に流す、つまり許すこと

④死と再生のプロセス

 

 どれも当てはまりそうですが、この映画で雨が象徴するのは「悪の終焉と善なるものの解放」。もっと言えば、アンジェラがスティーブの愛によって犯罪から離れることを暗示しています。

スティーブの雨の予言

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Photo by ©Gilbert Films

 ちょっとここで、映画に出てくる雨についての会話を見ておきましょう。

1度めの会話

スティーブ:窓は閉めたほうがいいよ。にわか雨が来そうだから。

アンジェラ:ここはもうずっと雨なんか降ってないわ。

 これは明らかに抽象的な意味。アンジェラは「犯罪に囲まれた生活から逃れることはできない」と消極的に言っているようです。

2度めの会話

スティーブ:きみはきっと雨の祝福を受けるよ。

アンジェラ:分からないわ・・・。

 アンジェラの父が不審な死を遂げたことを知ったスティーブは、うすうす事情を感じ取って、雨のことを言い出します。今度はアンジェラも「絶対に降らない」ではなく、「分からない」と言っているので、かすかに希望を持ち始めたのが分かりますね。

 

 そこを踏まえると、ラストでスティーブがアンジェラと心を通い合わせた時、雨が降り出すのは象徴的。アンジェラは嬉しそうな表情になり、確信を持ってスティーブの腕に飛び込みます

 スティーブの予言は当たり、アンジェラは救われてスティーブの愛というかけがえのない宝を手にしたのです

さりげない決めゼリフ「きみは農場に詳しいの?」

 ラストでスティーブはアンジェラに、しばらくためらってから「きみは農場に詳しいの?」と尋ねます。

 英語では、“You know anything about running a farm? ” ですが、隠れたストーリーを理解してこのセリフをみると、ここにも面白い引っ掛けがあります。

〈run a farm〉 は「農場を経営する」という意味の熟語表現です。が、そのまま単純に意味をとれば「農場を走る」

 アンジェラを連れて去ろうとしているスティーブは「農場を駆け抜けて、自由の感覚を味わおう」という意味で言ったようにも思えますね。

ドレスの柄もアンジェラの浄化が示されている

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Photo by ©Gilbert Films

 彼女のドレス丈や色にも意味が込められているようです。ラストシーンでアンジェラは紫にブルーの小花が散ったロングドレスを着ています。

紫の意味:高貴、変容、神秘

青の意味︰信仰、誠実、自由

 色の意味にもいろいろありますが、この映画に合いそうなものを選び出すと、こんな感じになりました。特に「変容」「自由」は重要なポイントですね。アンジェラが心を入れ替え、犯罪組織のしがらみから解き放たれる暗示です。

 丈が長いのは、彼女に慎みが残っている証拠でしょう。花柄は内に秘めたものが花開く象徴とも言われますね。アンジェラには善と愛にあふれた未来が待っているのだと思います。

スティーブのシャツはピンクのギンガムチェック

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Photo by ©Gilbert Films

 いっぽうラストでスティーブが着ているのはピンクのギンガムチェックシャツ。

ピンクの意味︰愛情、優しさ、幸せ

白の意味:純潔、浄化の力、神々しさ

 スティーブは純真で大きな心でアンジェラを愛し、彼女を浄化させる役割を果たします

 チェック柄は「計画が上手くいく」 意味があり、スティーブの願いが叶う暗示。彼は愛の幸せを手に入れ、アンジェラとともに汚れた土地を去っていくのでしょう。

 車のヘッドライトをつけたまま、家に入るのを拒むのは、スティーブが彼女を連れて土地を去ろうとしている証です。

最後のショットはベンの死と組織の崩壊を象徴

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Photo by ©Gilbert Films

 アンジェラとスティーブが明るい未来を約束されたのに対し、ベンは不運でした。

 ここの解釈には私の母に感謝しなくてはいけません。重大なヒントを見つけたのは、母でしたから。

 さて、ベンはスーパーで男の子から差し出されたお菓子を食べましたよね? 何気ないシーンなので見落としそうですが、あれが解釈のカギになります。

 この男の子は確かに食べてはいますが、一部の突起を避けてかじっています。差し出されたベンが食べたのは「突起の部分」。ここに毒が仕込まれていたようです。

 

 最後にくるくる回って真っ暗になるのはベンの視線。子供が木馬で遊ぶのを見ながらベンは意識を失い、そのまま帰らぬ人となったと思われます

 最後のショットにはもう1つ、繰り返されてきた悪のループが終わりを告げた証にも見えます。たぶん、両方を示しているのでしょう。後ろめたそうなアーミッシュの逃走(?)とスーパーの前で雨宿りする集団ストーカーの不安げな様子は、敗北を表現しているのだと思います。

犯人はテリー? 緑色が毒を象徴

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ベンの強欲な姉テリー

Photo by ©Gilbert Films

 ベンが亡くなったとすれば、犯人はテリーしか考えられません。根拠は4つ。

・強欲すぎる性格

・シングルマザーを近づけることができたのはテリーだけ

・ベンの死で利益を得る唯一の立場

・お菓子の色とテリーのドレスはどちらも緑

 

 ベンは動産のみを遺産として受け継ぎ、質素なアパートに引っ越しますが、この部屋を選んだのはテリー。あの親子は同じアパートに住んでいたわけですから、テリーの指示で動いていた可能性は高いのです。

 しかもベンが亡くなれば、巨額の動産は自動的にテリーに渡ります。弟を裁判にかける騒ぎを起こした強欲さを考えれば、殺害だって朝飯前でしょう。

 もう1つ、映画の後半テリーが着ているのは緑のドレス。子供が差し出すお菓子は毒々しい緑色

 緑は毒の象徴です。

🌿結論︰やはりハッピーエンド!🌿

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Photo by ©Gilbert Films, bioguiden

 静かながらドキッとする幕切れの《Are you here》ですが、結末を推理するかぎりハッピーエンド。

 アンジェラはスティーブの愛に救われ、スティーブは長年の苦労が報われて結婚の幸せを手にします

 ベンの死はショッキングですが、彼の精神の病気を考えれば、これ以上長く生きてもどうなったか分かりません。

 

 犯罪集団は跡形もなく崩れ去ったでしょう。スティーブは全てを知っているし、改心したアンジェラは彼に協力したはず。

 悪の組織が崩れ、スティーブとアンジェラに幸せな未来が約束されるラストは、やはりハッピーエンドです。

 

 巨大な犯罪をバックに描きながらも、『アー・ユー・ヒア』は心温まるロマンティックな映画に仕上がっています。コアな映画ファンすら知らない作品ですから、このページを開いたあなたはぜひご覧になってみてください。

 

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つづく➡

 

 

 

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