7分間に何があった?オーウェンは「自殺を図ったみたい」と表現
2007年、オーウェンが血まみれになって救急車で運ばれたあの悲劇が【自殺か他殺か】を考える記事の続きです。
まだ前回の記事をお読みになっていない方は、ざっと目を通していただけると本記事が理解しやすくなると思います。
→前回の記事
前回の記事では、オーウェンが俳優ヴィンス・ヴォーンに怒りの電話をした経緯とその理由を推理しました。かわいそうなオーウェンがヴィンスと自分の弟ルークに腹を立てていたことは明らかです。
さて、オーウェンはヴィンス・ヴォーンに電話した7分後に救急車に電話をかけました。
☑ オーウェンは自分で救急車を呼んだ
☑ オーウェンの精神状態は健全だった
☑ 現場に薬の瓶はあったのに、手首を切った刃物がなかった理由
☑ ルーク・ウィルソンは何かを知っている
前回の記事と合わせて、「オーウェンが自殺未遂ではなかった」ことを証明します。
🏡救急隊員との電話から見えてくる事実🏡
新たに見つかった証拠物件の2つめが、オーウェンが救急車を呼んだ通話データ。
この電話は、前回の記事で紹介したヴィンス・ヴォーンとの通話の7分後にかけられています。
通話内容の完全訳
以下に綴る通話内容は、英語サイト『The Violater』から、私が日本語訳したものです。
2007年8月26日午前、オーウェンから救急車(911)に発信。
911︰9-1-1、救急です。何かありましたか?
オーウェン(以下、O):(息も絶え絶えに)あの、自殺を図ったみたいなんです。
911:あれ? きみ、ベン・スティラー?
O:(必死に話そうとしながら)ベンならよかったのに…。ううん、真剣な話なんだ…。僕はオーウェン・ウィルソン、自殺を図ったみたいなんです。
911:ルーク・ウィルソン?
O:(呻くのをこらえようとしながら)いいえ…オーウェン・ウィルソン…。『エレンの部屋』に出てた…。
911︰ウェディング・クラッシャーズに出てた人?
O:はい。
911︰あの映画ではヴィンス・ヴォーンが好きだよ、俺は。
O:それはいいけど、今は緊急なんです…。救急車を回してくれますか? 住所は(ここは個人情報のため隠されている)。
911:おまえ、『トラブル・マリッジ』ではずいぶん笑わしてくれたよな。
O:あの、ちゃんと話せる人と代わってもらえませんか?
911:ジャッキー・チェンと働くのって、どんな感じ?
O:ちょっと、きみ!(息を切らして)このまま死んでいきそうだ…
911:ウィル・フェレルって、私生活でも面白い人なのかい?
O:(息をするのも必死な様子で)めまいがする…なんでもいいから助けて…。
911:すぐ救急車を呼ぶよ。
O:ありがとう…
救急隊員は偽者?
前回はヴィンス・ヴォーンのあまりの冷たい反応に驚かされましたが、この通話も救急職員の態度にびっくりさせられます!
この職員、偽者だったのではないでしょうか?
名前が分からないふりをしたり、くどくどと世間話をした挙げ句、相手の症状も聞こうとしない救急職員なんて聞いたこともありません。
オーウェンが一度「別の人に代わってくれ」と頼んでいるほどです。
この職員がヴィンス・ヴォーンを褒め上げているところも要注意。
「自殺を図ったみたいなんです」
Photo by ©scribefire.com
気がつきましたか? オーウェンは会話の中で2度「自殺を図ったみたい」という表現を使っています。
この言葉こそ、【オーウェンが自殺ではなかったこと】を明確に証拠付けるものです。普通はこんな時に「図ったみたい」なんて表現は使いません。
オーウェンは説明する時は曖昧ではなく、はっきりと話すタイプです。そんな彼が「自殺を図ったみたいなんです」と発言したなら、もはや自殺の線は完全に消えたと言っていいでしょう。
オーウェンの精神状態は非常に安定している
ヴィンス・ヴォーンと会話した時もそうでしたが、オーウェンの精神状態はこの電話でも極めて安定しています。
息も絶え絶えに話していますが、頭の働きはハッキリしているし、話す内容も理路整然として、取り乱したところはありません。
伝わってくるのは、ただひたすら気分の悪さと怒りの感情と戦っていること。
こうした彼の言動も【この一件が自殺未遂ではない】大きな根拠になっています。
🏡7分間に何が起きたのか?🏡
この事件で最も肝心なのは、「オーウェンはいつ重傷を負ったのか?」です。
前回の記事では、「オーウェンがなぜヴィンス・ヴォーンとルークに腹を立てていたのか」を考えました。そして、いくつかの根拠から、
オーウェンは事件前日にゲイの集団からレイプされ、その男たちの中にルークとヴィンスの姿を認めたのではないか
と、結論づけたのです。
さて、オーウェンはヴィンス・ヴォーンと話している時は元気でした。怒りの涙を流し、興奮状態ではありましたが、どこも怪我している様子はありません。
しかし、7分後に救急車に電話した時には、オーウェンは息も絶え絶えの状態。必死に息をしながら、やっとの思いでしゃべっています。
そこで、浮上する問題は「7分間に何があったのか?」。
自殺未遂はあり得ない!
新しく電話の証拠が2つ出てきた以上、もはや自殺未遂の線は考えられなくなりました。
考えてみてください、もし自殺なら、❶ヴィンス・ヴォーンに電話で「自殺してやる!」と叫ぶ⇒❷薬を過剰摂取し、手首を切って自殺を図る⇒❸やっぱり怖くなって救急車を呼んだと、こういうプロセスになりますよね?
しかし、これでは電話に漂う言動やオーウェンの性格とチグハグになってしまいます!
まず、オーウェンは【決めたことはやり遂げる】タイプです。
もし、彼がどうしようもない事情で、万が一自殺しようとしたなら、やり遂げるはず。7分の間に気を変えて救急車に助けを求める、なんてことはあり得ません。
オーウェンの言動は一貫している
再三言うように、この時のオーウェンは非常に精神が安定しています。
2つの通話内容を吟味しても、オーウェンが7分の間に気持ちがコロコロ変わったとはとても考えられません!
ここから出せる結論はただ1つ、
オーウェンは自殺を図ってはいないのです!
そうなると、また同じ問いが浮かびます。「7分の間に何があったのか・・・?」
第一発見者はルークだった
謎を解くために、もう少し時計の針を先に進めましょう。
オーウェンと救急職員の通話が切れたあと、次に判明している事実はルークが血まみれになって倒れているオーウェンを見つけたことです。
さあ、問題はここです! ルークは本当に「倒れているオーウェンを発見した」のでしょうか? 冷静に考えると、ルークの言動にはいくつも疑問点が湧いてきます。
ざっと並べると、
❶なぜルークはオーウェンを訪ねたのか?
❷どうやって家に入ったのか?
❸オーウェンが救急車内に運び込まれた時、隣人はルークの姿を見ていないのはなぜか?
ルークがオーウェンを訪ねた理由が解せない
最初の疑問、「ルークはなぜオーウェンを訪ねたのか?」。
「オーウェンが電話をかけたから急いで駆けつけた」という説もあります。
しかし、オーウェンがルークに電話をかけたかどうかは現時点で何とも言えません。事件直前の通話として残されているのは「ヴィンス・ヴォーンにかけたもの」と「救急車に連絡したもの」の2つのみ。
オーウェンとルーク(右)
Photo by ©Evan Agostini/Getty Images
もちろん、データに残っていないから電話していないと決めつけるのは大間違い。でも、この状況下でルークへの電話だけが残っていないとすれば、それもおかしな話です。
そもそも、ルークは忠実な弟とは程遠い性格。仮にオーウェンが泣いて電話をかけてきたからと言って、すぐ会いに行ってやるとは思えません。
自分の火遊びで生まれた子をオーウェンに押し付けるような人ですからね・・・。
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こう言っては悪いのですが、ルークがオーウェンの家に来たのは【何かルーク本人の都合によるもの】と考えたほうが妥当でしょう。
オーウェンは静脈注射で殺されそうになった?
いったんルークを脇において、犯行の手段を考えましょう。
オーウェンはヴィンスとの電話の7分後に救急車に連絡しました。そんなに時間はなかったわけです。
この間にオーウェンは何者かに薬物漬けにされ、手首を切られたことになりますね。
オーウェンは病院に運ばれた時、血液全体が薬物に侵されていました。
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ということは、薬物は経口ではなく注射で投与された可能性が高いでしょう。時間とオーウェンの容態を合わせると、おそらく凶器は【静脈注射】だと考えられます。
この方法だと、早ければ40秒で全身に回ります。
ルークは、「オーウェンを発見した時、カラになった丸薬の瓶が落ちていた」と言っていますが、この瓶はカモフラージュでしょう。
経口投与では、効き目が出るまでに少なくとも15分かかるから問題外です。
手首を傷つけた刃物はどこにある?
オーウェンは両手首から血を流している状態で発見されています。オーウェンが意識あるうちに切られたのか、それとも後で細工されたのか?
こうした細かい点も手がかりになります。
この問題で1つ気になるのは、カラになった薬瓶は発見されたのに、手首を切った刃物についてはまったく言及されなかったこと。
薬瓶が転がっていたなら、ナイフかカミソリが血塗りの状態で発見されるはずですが・・・。
刃物のことは、私もつい最近気づいたことです。考えてみれば、もっと早く気づくべきでした。ここだけでも「自殺はあり得ない」と分かったはずなのに。
何者かがオーウェンを殺そうとした
ヴィンスとの電話が終わったあと、不意を突いてオーウェンに注射し、自殺を装うために手首を軽く切って、薬瓶を転がしておく。誰であれ、犯人はこうやってオーウェンを殺害しようとしたのでしょう。
さて、ここでまたルークのことに戻ります。彼はいったい何をしに来たのでしょうか?
おまけに隣人の証言によれば、彼はオーウェンが運ばれた救急車に同乗していないのです。第一発見者で現場にいないというのは、どういうことでしょう?
警察や探偵が調査を始めたら、いちおう当日の朝のルークの行動を調べようとはするでしょうね・・・。
明らかに計画殺人!
犯人が誰であれ、これは突発的な犯行ではありません。静脈注射で襲った可能性が高いので、充分に計画したものでしょう。
手首を傷つけた刃物を現場に残しておかなかったのは変ですが、これには2つの仮説を立てられます。
❶犯人が慌てて、持ったまま逃げてしまった
❷刃物に予想外の証拠が付着し、置くことができなくなった
どちらも可能性はありますが、私は❷ではないかと思います。
注射を打たれても、オーウェンは力を振り絞って暴れ、自分を傷つけようとする刃物を奪い取ろうとしたかもしれません。そうなると、自殺では付きようがない位置に指紋がついてしまったでしょう。
拭き取るわけにはいきません。指紋のない刃物では逆にバレます。犯人としては刃物を現場から持ち去るしかなかった・・・と、こう考えるのが自然ではないでしょうか。
🏡まとめ:オーウェンは真相を誰にも言えずにいる🏡
Photo by ©gala.fr
これで、分かるかぎりの事実をお話しできたと思います。最後にざっと悲惨な事件を整理しておきましょう。
☑ 2007年の悲劇は自殺ではなく他殺だった
☑ 何者かが静脈注射と刃物でオーウェンを殺そうとした
☑ 弟ルークは第一発見者ではなく、何かを知っている可能性が高い
でも、なぜオーウェンは沈黙を守っているんでしょうか? おそらく彼は誰が犯人か知っていると思います。黙っているということは、何か深いワケがあるでしょう。
オーウェンは小さい頃からイジメられ続けてきました。
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「自殺ではない、殺されかけたのだ」と犯人を告発しても、立証できずに終わったらどうなるでしょうか? イジメはもっと加速し、さらに命の危険が高まってしまいます!
救急職員の態度、ヴィンス・ヴォーンの冷淡さ、ルークの不自然な言動・・・どこを考えても複数の犯行であることは疑いがありません。
今回、私はあえて状況を正確に描写し、考えられる結論を示しました。
オーウェンを殺そうとした犯人が誰であれ、近いうちに制裁を受けることを祈ります!