デュプリーはお邪魔虫…ではない!『トラブル・マリッジ』を考察
「史上最大のお邪魔虫!」、あるいは「史上最大のトラブルメーカー」。キャッチコピーにはそう書いてあります。
しかし、いざ映画を観てみると、デュプリーはどう見てもお邪魔虫には見えません。
ここでは映画のデュプリーの言動を振り返り、本当にお邪魔虫なのか判断しようと思います。
本作をまったくご存じない方は、先に『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物をどうぞ。
🧸デュプリーは本当にお邪魔虫?🧸
デュプリーは間違いなく、純粋無垢で心の優しい青年です。迷惑行為といっても子犬がじゃれるような無邪気さに満ちているだけで、大したことはありません。
1.親友の家に住み込む
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
写真はデュプリー(オーウェン・ウィルソン)がカール(マット・ディロン)とモリー(ケイト・ハドソン)の家に到着したシーン。大事そうにムースの頭を持ってくるのが可愛い…。ぬいぐるみ感覚のようです。
さて、すべての出来事はこれが発端ですね。でも、彼は安易には他人に頼らない性格。
最初にカールから一緒に住むように誘われた時は「まだ自力で何とかなるよ」と、断っています。
泊まっていたバーのベッドを片付けられてしまわなければ、決して言葉に甘えることはなかったでしょう。
結局泊めてもらうことになっても、カールとモリーに丁重に感謝し、さっそく就職活動に入っています。
結果的に長く泊まっているのは、仕事が見つからないせい。これは責められません。
2.裸でソファに寝る
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
家に泊めてもらった最初の夜、裸で寝ているシーンがありますよね? あれは確かにちょっとびっくりですが、アメリカ人には時々いるようです。
撮影当時ミュージシャンと結婚していたケイト・ハドソンは、
「夫の友達が二人遊びに来ることがあるんだけど、丸裸になるなんて序の口よ」
と、インタビューで答えています。
でも、デュプリーは同じ服のまま何日もバーで寝泊まりしていたようだし、パジャマは持ってなかったようですから、裸で寝る以外どうしようもなかったとも言えます。
次の日からはカールに貸してもらったパジャマを着て、何の問題も起こしていません。
ちなみに、このシーンもオーウェンはあまり好きではなかったようです。
オーウェン曰く、
「とても恥ずかしかった。こんなはずじゃなかったんだよ。僕がもともと考えていたのは、ほとんど裸の状態ですっぽり枕にくるまれている恰好だったのに。」
結局オーウェンはここで全裸になるのは断固拒否したらしく、このシーンでうつ伏せで寝ているのは別人。ジミー・ロバーツというスタントで、『エネミー・ライン』でも急斜面を落ちていくシーンを担当しています。
3.トイレを詰まらせる
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
これが迷惑行為? 腑に落ちません。お腹が痛くなることは誰でもあること。デュプリーのせいにするのはあんまりです!
あの状況ですぐ詰まるなら、トイレの配管が悪いのでは? デュプリーがいなくても、夫婦のどちらかがいずれ詰まらせただろうと思いますね。
オーウェンはこのシーンも好きではなかったでしょう。『シャンハイ・ヌーン』ではトイレネタをめぐって監督と大論争を繰り広げたくらいですから。
オーウェンはとても上品なんです。
4.留守番電話の吹き替え
デュプリーが同居を始めた翌日、モリーは留守電のメッセージが吹き替えられていることに気づいてびっくり。
デュプリー:先に言っておくつもりだった。職探しに必要なものだから、メッセージを録音し直したんだ。
まあ、確かに夫婦の立場からすれば確かにムッとするのも無理はありません。これは確かに断ってほしいと思いますよね。
しかし、デュプリーは急いで仕事を見つけて一刻も早く夫妻の家を出ようと必死。根底の気持ちとしては悪くないでしょう。
5.ケーブルテレビを勝手に契約
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
留守番電話が発覚した直後、テレビをつけると有料放送が映り、モリーは呆れてしまいます。
デュプリー:気に入った? アップグレードした費用は半分僕が払うよ。僕も好きだしね。二階では女性向けの犯罪番組も見られるよ。
確かに断りなく何かを勝手にされては迷惑ですよね。ただ、これに関してもデュプリーばかりを責めるわけにもいかないと思います。
日本に比べ、アメリカでの有料放送契約率は遥かに高く、約90%の家庭が加入しています。
こうしたアメリカの背景を考えれば、新居に移ったばかりのモリーとカールも、いずれ契約する可能性が高いですよね。実際、カールはデュプリーが契約した放送を楽しんでいますし、モリーもテレビの事ではあまり文句を言いません。
デュプリーとしては、ごく普通の親切心のつもりだったと思います。
6.火事
この火事はどう見てもデュプリーのせいではありません。この事件に関しては↓こちらの記事で解説したので、よかったらご覧ください。
🧸結論:デュプリーは決してトラブルメーカーではない!🧸
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
どうでしたか? 個人的には公平に見てデュプリーがトラブルメーカーとは言えない気がします。
唯一、留守電の吹き替えは先に断っておいたほうがいいと感じますが、それでも大したことはありません。
それに、デュプリーは注意を受けたら二度と同じことを繰り返しません。これは特筆すべき長所だと思います。
おまけにデュプリーは決して居候するつもりはないし、怠け者でもありません。『あべこべの設定が玉に瑕?』の記事でも書いたように、むしろとても働き者。
よって結論、デュプリーはトラブルメーカーでもなければ、お邪魔虫でもありません。
・『トラブル・マリッジ』関連記事