オーウェンは下ネタが大嫌い!|『シャンハイ・ヌーン』解説②
『シャンハイ・ヌーン』第2弾。今度は過酷というより不愉快なシーン2選です。
過酷なシーンについては↓こちらで解説しているので、併せてどうぞ。
ここで取り上げるのは、
1.脱獄シーンのトイレギャグ
2.バスタブシーンの肌トラブル
生き埋めにされても、頭にナイフが刺さりそうになっても、おとなしく耐えていたオーウェンですが、今回取り上げる不愉快なシーンの時は、オーウェンはさんざん抵抗しました。
Photo by ©Touchstone Pictures
公開:2000年
監督:トム・デイ
出演(カッコ内役名):ジャッキー・チェン、オーウェン・ウィルソン、ルーシー・リュー、他
登場人物・キャストについては↓こちらで写真つきで紹介しています。
オーウェンにとって本作は、「最も危険かつ不愉快なシーンの多い映画」ではないかと思います。
残念ながら、『シャンハイ・ヌーン』は現在AmazonプライムやU-NEXTでは配信していないので、TSUTAYAの宅配レンタルで借りるのがオススメです。
🌵過酷というより不愉快なシーン2選🌵
オーウェンはとても上品な人間。彼が何を嫌うって、下ネタほど嫌いなものはありません。
次に彼は非常に敏感肌なのに、何日も長時間泡風呂の撮影をしないといけませんでした。
1.脱獄でのトイレネタにオーウェンは猛反対!
Photo by Touchstone Pictures
チョンとロイが初めて仲良くなり、一緒に脱獄するシーン。猛暑の中に埋められても、カウンターから落とされても文句を言わなかったオーウェンですが、このシーンには頑強に抵抗しました。
「そんなに危ないシーンだったの?」と聞かれそうですが、そうではありません。確かに、狭い鉄格子の間を通り抜けるのは骨を痛める危険もあったようですが、それは無事に済みましたから、これまでに挙げた2つに比べれば、肉体的苦痛はずっとましでしょう。
オーウェンの反対理由は純粋なプライドと品格の問題。
脱獄する時、チョンは自分の尿で濡らしたズボンを使って文字通り鉄格子を破ります。これが人一倍上品なオーウェンの気に触ったのです。
オーウェン︰僕は、トイレネタがとても苦手なんだ。だから、どうしてもこのシーンが嫌で嫌でたまらなかった。あんまり嫌で監督と揉めたから、役を降ろされると覚悟したくらいだよ。
確かに、この場面を巡っての議論はかなりのものだったようで、ジャッキーは「板挟みになったよ」と、苦笑。結局、監督は配給会社に相談(アメリカでは配給会社も映画製作に関わってきます)。会社の答えは・・・
「何としてでもオーウェンを説得してくれ!」
やっぱり会社はオーウェンを降ろしたくないんですね。
映画会社にしてみれば、オーウェンが出演するかどうかで収益も違ってきますから、簡単に手放すわけにはいかないのでしょう。
さて、さんざん議論した末に、ついにオーウェンは折れたのですが、屈辱感は大きかったようです。
身体的苦痛には耐えても、倫理的問題となると黙っていられないところがオーウェンらしいですね。
さて、ひどい議論の板挟みになったジャッキーは、「こういう脱獄は水がない時、本当に中国で行われていたんだよ」と、オーウェンを慰めてあげました。
ジャッキーは派手なアクション俳優としての顔の裏に、こうした優しさがあるのがいいですね。
オーウェンがこのシーンを受け入れたのも、ジャッキーの優しい説得のおかげだったでしょう。
2.バスタブシーンで肌を痛める
Photo by Touchstone Pictures
今度は肉体的なダメージ。すっかり仲良くなったチョンとロイは中国のお酒の遊びをして楽しみます。
本筋と関係ないわりに長過ぎるシーンで、二人とも何日も泡風呂に浸かったせいでひどい肌トラブルを起こしてしまいました。特にオーウェンは敏感肌のせいもあって、よけい辛かったよう。
ただこの頃になると、さすがのオーウェンもちょっと反抗的になっていました。このシーンの撮影が始まって数日後(なんと、このバスタブシーンだけで何日もかかったのです!)、オーウェンはバスオイルを持って現れます。
ジャッキー:オーウェンが急に何かのボトルを持ってきたから俺も入れてみたらさ、泡がどんどん消えるんだよ。
確かに途中、オーウェンのバスタブからほとんど泡が消えている場面があります。監督はそれでは困る、とまた泡を入れたようですが、オーウェンも今度は負けていません。結果、バスオイルと泡のイタチごっこになってしまいました。
このエピソードでも分かるように、オーウェンはあまりに理不尽な忍耐を強いられ続けると、無言の反抗に出てきます。
地中に埋められる辛さを我慢し、カウンター落下の恐怖に耐え、品格の問題までも貶められては、限界を越してもふしぎはありません。この映画で要求された過酷さを思えば、これでもおとなしすぎるくらいです。
🌵オーウェンが味わった危険または不愉快なシーンのまとめ🌵
オーウェンが『シャンハイ・ヌーン』で味わった、「危険または不愉快な」シーンは以上です。
最後にシーンをまとめておきましょう。
・炎天下の砂漠に埋められる
・カウンターを超高速で引きずられ、破片の中に落下させられる
・ナイフが頭に刺さりそうになり、絞首台から落ちる
・トイレネタに付き合わされ、精神的に辛かった
・敏感肌なのに、何日間も連続で泡風呂に漬けられる
1つの映画でこれだけのストレスを抱えさせられてはたまりませんね・・・。
Photo by Touchstone Pictures
どうもネガティブな記事になってしまいましたね。次回は『シャンハイ・ヌーン』のもっと明るいエピソードをお話しして、そこでこの映画を締めくくることにしましょう。
つづく➡