非常識なのはリサ! 映画『幸せの始まりは』の三角関係シーン
今日は『幸せの始まりは』のちょっと物議を醸すシーンについて。
Photo by ©︎Columbia Pictures.LLC
・公開:2011年
・ジャンル:コメディ、ロマンス
・時間:121分
・出演:リース・ウィザースプーン、ポール・ラッド、オーウェン・ウィルソン、ジャック・ニコルソン他
本作では、リサが恋人マティーの留守中に勝手に他の男を家に入れてしまってトラブルになるシーンが登場します。
☑️ 同棲中に女性が勝手に別の男を家に上げたら、恋人の男は怒ってもいいか?
☑️ 『幸せの始まりは』で問題となる発言をしたマティーに正当性はあるか?
ちなみに、私は「怒っていい」と思います。同棲しているなら、そのくらいのマナーは守るべきでしょう。
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この問題はTwitterのフォロワーさんにもご協力いただきました。問題が恋愛のことなので、アンケートは男女別々に取っています。男女で極端に回答数に差がある上に、中には間違って女性のほうに投票しちゃった紳士方もいらっしゃいましたが…。
紳士方に票を入れてもらうのは、なかなか大変でした。皆さん、なぜか遠慮なさって、私がせっせと頼み込まないと集まらないんです。でも一度応じてくださると、わざわざ返信まで添えて、「なぜ○○の票に入れたか?」を説明してくださる方が大半でしたね。
Twitterの皆さんには、改めてご協力を感謝します。
🌷「ここは僕の家だ」は禁句か?🌷
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映画の中盤、リサ(リース・ウィザースプーン)はマンションのエレベーターでばったり会ったジョージ(ポール・ラッド)を、マティー(オーウェン・ウィルソン)と同棲中の部屋に招き入れます。
ちょっと後に戻ったマティーは自分の家のキッチンに見知らぬ男が入り込んでいるのを見て、ご機嫌斜め。
腹を立てて、リサに向かって言います、
マティー︰(他の男を入れてはいけないという事くらい)常識だろ? ここは僕の家なんだ!
さあ、この発言こそ今日のテーマ。
ブルックス監督は「世界中がリサに共感するはず」
脚本も書いたブルックス監督は、このセリフをあるまじき発言として描いています。
監督:世界中の観客がリサの肩を持つはずだ。これを聞いたら、殺人鬼から斧を振り上げられた時のような残酷さを感じるだろう。
一方、オーウェンは音声解説でこれに抗議するように「だって・・・」と口を挟んでいました。この反応から見て、オーウェンはマティーと同じ感覚であることが分かります。悪いのはリサだということですね。
アンケートでは断然マティーに同調する人が多い
私自身はマティーの発言を正当と感じるので、監督の考えにはちょっとびっくり。一般的にはどちらの考え方が多いのか、と疑問に思って、さっそく調査を開始!
【質問】
— Jane|予備用 (@Jane_knowing) 2021年5月15日
2人は男性の家で #同棲 中。ある時、彼女は彼の留守中に他意なく別の男を家に入れた。
彼はそれに気づき、「僕に断りなく呼ぶなんて💢!ここは僕の家🏘だぞ!」と怒った。
さて、この発言をどう思う?
【回答ルール】
女性→この欄
男性→リプ欄#投票宜しくお願いします#恋愛あるある
男性は⬇️こちらからどうぞ
— Jane|予備用 (@Jane_knowing) 2021年5月15日
結果はひと目で分かりますよね? 圧倒的にマティーの味方が多いです。
投票を見ると、男女どちらも「リサが非常識!」と感じる人が最も多いですね。少なくとも、この結果から見て、「世界中の観客がリサの肩を持つだろう」という監督の考えは誤りです。
「どちらでもない」は、リサとマティー両方に問題があるとお考えの方でした。
マティーに正当性あり!
同棲中は2人に権利があるとはいえ、元はマティーの家。しかも、後述するようにマティーはこのシーンまでの間、リサに対してこれ以上ない配慮を見せています。
問題の「僕の家だ!」という発言でさえ、マティーは自分の言い過ぎを後悔し、後でリサに深く詫びています。実に立派ですね。
私は女性ですけど、リサみたいなことをしたらもっと怒鳴られても当たり前と思いますし、マティーが謝る必要性は全然感じません。リサが怒って飛び出すシーンは、いつ観ても「彼女が悪いのに」と思ってしまいます。
ついでに言うと、ジョージも常識がないですね。
まだ沈黙のディナーの経験(!)しかないのに、女性の家にズカズカ入っていくのはちょっと・・・。マティーに対する礼儀も全然なっていませんしね。リサが飛び出したら、ろくにマティーに挨拶もしないで、追いかけて行くんですから。
🌷マティーには怒る権利がある🌷
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マティーがリサにした親切を考えれば、彼の発言は充分に許されるはず。リサはずいぶん彼のお世話になっているんですから。ちょっとくどいかもしれませんが、ここでマティーの親切の例をいくつか挙げてみましょう。
親切その1:夜更けに転がり込んでも、嫌な顔ひとつしない
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チームをクビになった日、落ち込むリサは前触れなしにマティーに会いに行きます。訪ねた時間は夜更け。普通なら非常識とも思える時間帯です。
リサ:いてもいい? 私が夜中に泣いたりしても構わないでね。
こんな風に転がり込んで来られたら、迷惑な時もありますよね? しかし、マティーは温かく迎え入れ、リサの要求どおり、何も聞き出さないという約束を守ります。優しいですね!
親切その2︰リサのためだけにパーティーを打ち切る
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リサはずいぶん勝手なことも言います。夜更けに訪ねた時は、「決して自分の悩みを聞かないでほしい」と頼んだにも関わらず、わずか数日後(翌日の可能性も)には、
リサ:私が落ち込んでいる理由を聞こうともしないのね!
これはひどい・・・。「聞くな」と言われたら、聞かないに決まっているじゃありませんか! 相手の男性によっては、この一言だけでも喧嘩になりそう。
でも、マティーは驚くほど優しい人。「きみが聞くなと言ったんじゃないか」と、呆れながらも、ちゃんとリサの話を聞いてやります。
パーティーの途中だったにも関わらず、リサのためだけにお開きにし、雨の中を一緒に帰ってあげるのも恋人として素晴らしい対応。
ちなみに、この雨の中を帰るシーンで2人に降り注ぐのは本物の雨。オーウェンもリースもずぶ濡れになったそうです。
親切その3︰一生懸命元気づけ、食事も合わせる
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パーティーを打ち切って、マティーの家に戻った2人。「空腹だとよけい悲観的になるから」と、食欲のないリサのためにマティーはヨーグルト風のデザートを作ってやります。そうしながら、リサを元気づける話を即興で披露。ついにはさすがのリサも笑い出します。
ところで、ここではマティーもリサと同じ食べ物をとっていることにお気づきですか?
彼は夕食をとってなかったし、リサと違って精神的に食欲不振なわけでもないので、お腹がすいていたはず。でも、落ち込んで食べきれないリサに合わせて、自分も同じものしか口にしないんです。
リサはこの気遣いに気づけなかったようですが、こんなことをしてくれる恋人はそう多くありません。
個人的に、もう一つ可愛く思えるのは、パチパチスイッチでリサと遊ぶシーン。「もっと楽しみ方を教えてあげる」というマティーは純真で、好感が持てます。
🌷結論:やっぱり非常識なのはリサ!🌷
例の事件が起きるのは、これまで述べてきたマティーの親切がすべて描かれた後。これはやっぱりリサが悪いでしょう。恩を仇で返したも同然です。
マティー:知らない男を家に上げるのは、安全面でも問題があるだろ?
この点も彼の言う通り。沈黙のデートしか経験のない男をキッチンまで呼び込むなんて、時によってはとんでもない犯罪につながりかねません。
リサは善良ではあるけど、かなり迂闊なタイプと見えますね・・・。
マティーがそばでしっかり見守ってあげてこそ、彼女は安全な生活を送っていけるのではないかと思います。
つづく➡