デュプリーは子犬がモデル?『トラブル・マリッジ』の魅力はオーウェン・ウィルソンにあり!
『トラブル・マリッジ』は役の設定があべこべなのが玉に瑕の映画ですが、それでも面白いのはひとえにデュプリーを演じるオーウェン・ウィルソンの魅力です。
多くの映画と同じく、本作でもオーウェンはある程度意見を映画に反映させていますし、彼の個性も散りばめられています。
本作をまったくご存じない方は、先に『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物をどうぞ。
🧸映画の魅力はオーウェン・ウィルソン演じるかわいいデュプリー!🧸
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
この映画の魅力は何と言っても、オーウェン演じるデュプリー。ひたすら愛らしく、心優しくて、無邪気。
デュプリー演じる時のオーウェンは普段に比べて髪の毛先が縮れ、子供っぽく見えます。見た目だけでも可愛すぎるくらい! もしかしたら、癒やしにもなるかも…。
オーウェン自身はデュプリーという役について、こう語っています。
オーウェン:彼の性格は子どもたちとの関わり方を見れば分かるよ。カールとモリーの家に来た時、デュプリーはまず近所の子どもたちと仲良くなる。彼の心はまだ小さな子供なんだ。僕自身にもちょっと子供っぽいところがあるから、演じるのに苦労はしなかったよ。
オーウェンが製作に関わった映画のひとつ
オーウェンが製作に関わるのは、別に珍しいことではありません。親友のウェス・アンダーソンの作品の初期の作品では必ず脚本を手伝っていますし、そのいくつかでは製作総指揮をとってもいます。
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『トラブル・マリッジ』もオーウェンが初期段階から関わった作品。クレジットにもプロデューサーの1人として、ちゃんと名前が挙がっていますよ。
脚本を書いたマイケル・ルシュールは、
「構想を練っている時から、この役をオーウェンに演じてもらいたいと強く願っていたんだけどさ、まさか一緒にプロジェクトを作れるなんて! 彼のアイディアは脚本のあちこちに散りばめられている。デュプリーのキャラクターはオーウェンの独創性の賜物だよ」
と、有頂天でした。
役のモデルはダルメシアンの子犬?
※イメージ画像 Photo by Peter Grima
オーウェンはこの役を演じるにあたって、自分が以前飼っていた犬の動きを真似たそう。
オーウェン:僕が小さかった時、ナツメグって名前のダルメシアンを飼っていたんだ。とにかくじっとしていない犬で、何でも噛みちぎってばかりいた。
母(義母)は怒ってこの子を追い出そうとしたけど、僕たちはみんなナツメグが大好きで、ナツメグも僕たちに懐いてくれていた。それで結局あの子はそのままいたんだけど、デュプリーを演じるにあたって、僕はナツメグのマネをしたんだよ。
そう言われてみれば、デュプリーにはどこか子犬そっくりのところがあります。
オーウェンはカールを演じたかった
脚本家はオーウェンをデュプリーに、と考えていたようですが、当のオーウェンはカールを演じることに興味があったよう。
オーウェン:もともと脚本を練っている時、僕はカールを演じるつもりでいたんだ。実際、そのチャンスもありそうだった。カールが味わう感情の多くはある程度まで僕自身のものでもあるんだ。
オーウェンがカールを、マット・ディロンがデュプリーを演じるパターンでもいくらか撮影が進んでいたのか、その状態で作られた予告編もありました。
結局、オーウェンは脚本家の希望通りデュプリーを演じたのですが、本人はちょっとがっかりしたようですね。
まさに、この一件が原因で物語に矛盾が生じているんですけどね…。
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🧸デュプリーはオーウェンの独創性の賜物に🧸
最初からオーウェンがデュプリーを演じることを望んでいたルシュール(脚本家)はこの役について、
「デュプリーについて考える時は、表面的なところだけを見て騒々しい怠け者と決めつけてはいけない。彼は少しも気取らず、黄金の心の持ち主なんだ。新婚生活をわざと乱すようなことは何もしないし、とても無邪気。おまけにオーウェンが演じたことによって、無意識に湧き上がる知恵がある」
と、コメントしています。
最初の段階ではカールを演じたいと願っていたオーウェン。でも、いざデュプリーに決定すると、持ち前のアドリブの才能を発揮して、魅力的な人物に変身させてしまいました。
代わりにカールはとてつもなく嫌な人物になってしまっていますが…。
オーウェンが希望通りカールを演じていたら、どうなっていたんでしょう? 逆になっていたら、今度はカールのほうが好人物になり、話の矛盾もなくて済んだかもしれませんね。
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ドアノブのネクタイにはご用心!映画『トラブル・マリッジ』が教えてくれる風習
ドアノブにネクタイがかかっている意味、ご存じですか? アメリカでは一般的みたいですが、日本ではほとんど知られていない様子。
『トラブル・マリッジ/カレと私とデュプリーの場合』には、この習慣を無視したせいで起こる事件が登場します。
本作をまったくご存じない方は、先に『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物をどうぞ。
🧸ドアにネクタイがあったら引き返すべきなのに…🧸
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
映画の中盤、デュプリー(オーウェン・ウィルソン)がモリー(ケイト・ハドソン)から紹介された女性マンディーと愛し合う最中に、キャンドルの火がカーテンに燃え移り、居間が焼けてしまいます。
これ、責任をデュプリーに押し付けることはできないと思います。だってキャンドルをひっくり返したのはマンディーですよ?
カール(マット・ディロン)はキャンドルを使った事でデュプリーを咎めますが、そのしばらく前のシーンを見れば、カールとモリーもローソクで楽しんでいたのは明らか。これを非難するのは不当です。
そして、これが今回のテーマになりますが、火事の元々の原因は「ドアノブのネクタイを無視したため」です。
ネクタイを無視しちゃダメ!
↑この動画を観ると分かりますが、デュプリーはちゃんと自分のネクタイをドアノブにかけています。
これは「今は取り込み中なので、入らないでほしい」という意味。ネクタイ以外に帽子が使われることもあります。
これを無視してドアを開けると、セックスシーンにご対面となるので、絶対に開けてはいけません。
にもかかわらず、モリーは無視して入ってしまいました。これでは何か騒ぎになっても仕方がないというもの。
オーウェンが嫌がったヌードシーンの1つ
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余談ながら、ここはオーウェンにとって非常に恥ずかしいシーンでもありました。スタントに任せた裸で寝ているシーンのこともオーウェンはこぼしていましたが、愛し合っていた最中に飛び出してくるこの場面は自分のヌードを見せる羽目に!
オーウェン:とにかく恥ずかしさの連続だった。僕にはもっとマシに思えるショットはいくらでもあったのに、製作者たちは使おうとしないんだ。周りは裸になるくらい何だ、というような口調だけど、僕は顔から火が出るくらい恥ずかしいんだ!
オーウェンはとても上品な性格ですから、映画の中でヌードになるのはものすごく抵抗があるのです。
ちょっと可愛い一言
先に挙げた動画には入っていませんが、このシーンの最後に個人的に好きな一言があるんです。
カールからとうとう「出て行ってくれ」と言われてしまったデュプリー。うなだれながらも立ち働く消防員に向かって「何か手伝う?」。
可愛くて、とてもオーウェンらしいと思います。
🧸結論:火事が起きた発端はネクタイを無視したから🧸
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モリーがネクタイを無視しなければ、デュプリーが慌てて飛び出してくることもなく、マンディーがローソクをひっくり返すこともなかったはず。
ちょっとした不注意が大火事を招いたわけです。
この火事をデュプリーの責任にするのは大間違いでしょう。彼だけならローソクの管理もちゃんとできたはずです。
この映画、カールとデュプリーの設定もごちゃ混ぜなら、火事の責任問題も変な方向に行ってますね…。
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『トラブル・マリッジ』は非常に危険な映画だった?!
『トラブル・マリッジ』はコメディにも関わらず、非常に危険なシーンの多い映画。
主人公デュプリーを演じたオーウェン・ウィルソンは「出演した中でも、この映画はかなり危険度が高い部類だったよ」とコメントしています。
この記事では、『トラブル・マリッジ』の撮影で特に危険が大きかったシーンを4つ紹介します。
本作をまったくご存じない方は、先に『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物をどうぞ。
🧸デュプリーを演じるオーウェンの危険なシーン4選🧸
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本作はお義理にも安全とは言えません。観ていてドキッとするシーンが何度も出てきます。そして、危険なのは決まってオーウェン演じるデュプリー!
1.車に撥ねられる
これは最高にびっくりしました! 自転車でカールの家を去っていこうとするデュプリーは、猛スピードで走ってきた車にぶつかって転んでしまいます。
このぶつかり方がショッキング! 自転車に乗ったまま、車のフロントに激突し、オーウェンの身体は一回転して地面に落ちてしまいます。
念のために書きますが、スタントではありません。車にぶつかって落下するのは本物のオーウェン・ウィルソンです!
一歩間違えば死ぬかもしれないほど、危ないシーンです。
2.屋根から落ちる
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これは2度あります。最初はカールの家の屋根によじ登って落下するシーン。もう1つは警備員とバトルを繰り広げたあげく、天井を突き破るシーンです。
特に警備員とバトルを繰り広げる部分は、シーン全体がアクションになっています。
落下シーンは入っていませんが、これもかなり危険! コメディなのに、なぜこんなに激しいアクションシーンが登場するのか…。
3.スケートランプ
ここもオーウェンは自分で滑ったようです。やはり危険度は相当なレベル。一歩間違うと、骨折しかねません。
ちなみに、マット・ディロンはスタントを使ったそうです。インタビューで「滑ったのはあなただったの?」と聞かれて、
マット:おいおい、ふざけるな。撮影もまだ中盤なのに、監督が俺にやらせるわけないだろ? いやあ、まったく、滑らなくて済んで助かったよ。俺はスケボーは苦手だからな。
と、答えています。
4.水鉄砲を顔にかけられる
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マンディーに捨てられて、雨の中で泣いているシーンで、デュプリーは通りすがりの車から水を跳ねかけられます。
ここでオーウェンが浴びる大量の水は、水鉄砲から顔面に直接発射されたもの。危険というわけではないけど、かなり不愉快な撮影としてカウントしてよいでしょう。
🧸まとめ:オーウェンはスタントを自分でする俳優の1人🧸
Photo by ©︎Simon James/WireImage
ジャッキー・チェンやシルベスター・スタローンが自分でスタントをすることは有名ですが、オーウェンが自分のスタントをこなしていることはほとんど知られていません。
おそらく、
❶ジャッキーやスタローンと違って、すべて自分でするわけではないこと
❷コメディ俳優のイメージが独り歩きし、アクション俳優としての印象が根付いていないこと
が原因でしょう。
でも、実際にオーウェンの映画を鑑賞していると、ジャンル問わずアクションが多いこと、多いこと!
たいていどの映画でも最も危険なシーンはオーウェンが自分で演じています。『エネミー・ライン』では何度も爆発の中を走り抜けていますし、『クーデター』では体中傷だらけになったほど。
オーウェン:ジャッキー(ジャッキー・チェン)と組んだ時の映画では何もしなかった、と言われそうだけど、僕はアクションができないわけじゃないよ。あの時はジャッキーの引き立て役に徹していたかったし、彼は繊細な人だから足を引っ張るのは嫌だったんだ。
本人はこう言っていますが、しかしシャンハイ・シリーズも「何もしなかった」とはとても言えません。砂漠に何時間も埋められたり、絞首台から真っ逆さまに落ちたり、よく耐えたものだと感心します。
こう言うと失礼かもしれませんが、オーウェンのスタントマンは楽なのでは? この『トラブル・マリッジ』では裸のシーンを担当したくらいで、危険なシーンにはほとんど出ていないようですし、『エネミー・ライン』でも全然危険のないシーンを担当していたりします。
まあ、スタントマンの快適さは脇に置いておくにしても、いつも気になるのは、映画製作者たちが当たり前のようにオーウェンに危険を冒させること。
それも、必ずしも必要のないところにアクションシーンを挿入するんですよね。
例えば、先に挙げた車に衝突するシーンなどはなくてもいいのではないでしょうか? コメディでまでこんな危険な芸当をさせるなんてびっくりです!
あべこべの設定が玉に瑕!『トラブル・マリッジ』のデュプリーとカール
明るく楽しく、ちょっぴり感傷的なところもある可愛らしいコメディ《You,me,and Dupree》。
でも、本作にはあちこちに設定の矛盾があって、観客を混乱させる部分があります。
問題の原因は、デュプリー(オーウェン・ウィルソン)とカール(マット・ディロン)の役者がもともと逆に設定されていたせいです。
この記事では、本作の矛盾を感じるシーンをまとめてみます。『トラブル・マリッジ』をご存じない方はあらすじ・登場人物にざっと目を通していただくと、本記事がより楽しめるかと思います。
🧸カールとデュプリーのごちゃ混ぜ設定が混乱を招く🧸
さっき書きましたが、元々オーウェンとマット・ディロンの役はそれぞれ逆の予定でした。
つまりオーウェンが新婚の夫カールを、マット・ディロンがデュプリーを演じるはずだったらしいのです。
役名がどう設定されていたかは不明です。「ランドルフ・デュプリー」が夫の名前だったかもしれないし、「カール」は職にあぶれて転がり込んでくる友人だったかもしれません。
名前のことはともかく、本作では「オーウェンが新婚の夫を演じていた時の映像を無理やり後で編集したのでは?」と疑いたくなる矛盾がたくさん見つかります。
1.どんちゃんパーティー
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カールは仕事から帰ってくると、デュプリーとニール(セス・ローゲン)が一緒にテレビでサッカーの試合を観ているところに遭遇。
腹を立てていたカールは二人に当たり散らしますが、デュプリーに慰められ、思い切って友達を呼んで騒ぐことにします。
このシーンは前半と後半であまりにも状況が変わるので、戸惑います。
⑴カールが「ナチョスを作る」と台所へ行き、デュプリーはソファに戻る。
⑵カットが切り替わると、カールはテレビを見ながらガヤガヤ騒いでいて、デュプリーが台所にいる。
⑵の部分でマット・ディロンはだらしなく寝そべり、タバコの灰を撒き散らしてもお構いなし。ここでのマット・ディロンはいったいどっちを演じているんでしょう?
そして、⑵の時デュプリーの姿はどこにもなく、後でエプロン姿でマルガリータを作って持ってきます。
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前半では、カールが「ナチョスを作るよ」と言っておもてなしの準備を始めたはずなのに、次のショットではデュプリーがマルガリータを作っているのはちょっと変。
2.モリーの怒りの矛先はどちらに?
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続くシーンでもずっと矛盾し続けます。
⑴どんちゃん騒ぎの最中に帰宅したモリーは、あまりの散らかりように呆れ、カールを咎める。デュプリーが片づけようとするものの、モリーは彼を止め、「あくまでも責任はカールにある」という態度を見せる。
⑵翌日、カールがモリーに謝罪。
⑶モリーはカールとランチを食べながら、「デュプリーの起こす騒ぎにはやりきれない」と愚痴をこぼす。
頭にクエスチョンマークがたくさん浮かびます。⑴でモリーは明らかにカールに怒っているのに、⑶でなぜ突然方向変換するのか。
⑴のシーンで「掃除しよう」と動き出すオーウェンは夫役なんでしょうか? そうでないとしたら、モリーの言動がまったく納得できません。
3.いつも家事をするのはデュプリー
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デュプリーに「家に置いてもらいたきゃまともになれ。家事も手伝え」などとお説教するカール。
でも、
そう偉そうな口をきくカールはいつ家事をしてるの?
目を凝らして鑑賞しても、カールは一度も妻を手伝っていません。
一方、デュプリーのほうは何度も家事をしています。朝食を整え、お酒を作り、ディナーを用意し、あげくには完璧に掃除をするシーンまであります。
お邪魔虫のはずのデュプリーが家事を完璧にこなし、カールがまったく何もしないのは、設定の上で言えば不自然。
やはりあべこべに感じます。
4.トイレの故障を無視しているのは…?
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トイレが壊れた騒ぎのシーン。デュプリーが夫妻の部屋に駆け込んだ翌朝、モリーが悲鳴を上げながらトイレの詰まりを直そうとしている場面があります。
ここで不思議なのは、カールがモリーの悲鳴を無視し、カマトトぶって寝転がっていること。このマット・ディロンはいったいどっちの役なのか…。
少なくともカールの態度としては、まったく感心できません!
5.焼け跡を片付けるのは誰?
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火事の翌日、戻ってきたデュプリーが焦げ落ちた居間をテキパキと片付けて、窓枠を修理し、さらには新品のソファまで買ってくるシーン。
これはオーウェンがどちらを演じていたとしてもしっくり馴染む場面ですね。
完成版の通り、デュプリーが埋め合わせに一生懸命働いたと考えても可愛いし、カールがデュプリーの散らかした後を必死で片付けているとも取れます。
ただ、居間をきれいに修理するシーンにモリーは出てくるのに、カールが登場しないのはちょっと不自然な気もしますが…。
6.台所を整理しているのはデュプリー
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カールはモリーともデュプリーとも喧嘩し、家の中でひとり孤立してしまいます。
そうした状況の中で差し挟まれるちょっと奇妙な朝食の場面。
モリーとデュプリーは一緒に並んで食事をし、新聞を仲良く取り替えっこして、気軽なジョークを飛ばし合います。
面白いのは、モリーが「オートミールがなくなったわ」と言った時、収納場所を教えるのがデュプリーであること。つまり、オーウェン演じる人物は家の状況に通じているわけです。
いったいカールは何をしてるんでしょうか? 怠け者にしか見えません…。
🧸結論:迷惑なのはデュプリーではなくカール!🧸
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映画を観ていると、とにかくカールには始終イライラさせられます。
☑️ 自分は勝手な行動をとるのにデュプリーばかり責める
☑️ 家事を手伝わずに散らかしてまわる
☑️ 自分の不始末の責任をデュプリーに押し付ける
☑️ 根拠なくデュプリーと妻の仲を疑い、デュプリーを殺しかける
映画のラストも、さんざんデュプリーに迷惑をかけておきながら感謝の言葉一つありません。
でも、こうしたカールのイヤな雰囲気は大部分、役柄を途中で交代したのが原因かもしれません。
マット・ディロンがデュプリーを演じている時のシーンがあちこちに混ざり込むせいで、カールの人物像に矛盾が生じたようです。
結果として、あらすじやキャッチコピーとは裏腹に、迷惑なキャラクターはデュプリーではなくカールになってしまっています。
余談:もしマット・ディロンがお邪魔虫になったら?
マット・ディロンはインタビューで面白いことを言っています。
もし俺がお邪魔虫になったとしたらさ、まず音楽で迷惑を掛けるだろうと思うな。大音量でバンバンかけるタイプなんでね。あとは車だ。俺の運転はハチャメチャで、周りから文句をつけられるくらいなんだよ。
何となく分かる気がします…。でも、マット・ディロンのいいところは、自分の欠点をよく分かっていて、率直なところかもしれませんね。
『トラブル・マリッジ/カレと私とデュプリーの場合』あらすじ・キャスト・配信まとめ
『ウェディング・クラッシャーズ』と同じく、日本では劇場未公開だった映画です。オーウェン・ウィルソンが主演を務め、ケイト・ハドソンとマット・ディロンが共演しました。
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・公開:2006年
・ジャンル:コメディ
・時間:109分
・出演:オーウェン・ウィルソン、ケイト・ハドソン、マット・ディロン他
この映画も一般のレビューやキャッチコピーが当てにならないものの1つ。「史上最大のお邪魔虫デュプリー」という表現は、ちゃんと映画を観ていれば的外れもいいところだと分かります。
🧸『トラブル・マリッジ/カレと私とデュプリーの場合』あらすじとキャスト🧸
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邦題は長ったらしいですが、原題は《You,me,and Dupree》と、単純。
ストーリーをひと言で言うなら、職にあぶれた若い男デュプリーが親友の新婚夫婦の家に泊めてもらい、さまざまな騒ぎに巻き込まれていく…というものです。
あらすじ
モリー(ケイト・ハドソン)とカール(マット・ディロン)はハワイで華やかな結婚式を挙げ、アメリカに戻って幸せいっぱいの新婚生活を始めた。
一方、カールの親友で結婚式の付き添いも務めたデュプリー(オーウェン・ウィルソン)は職にあぶれ、家もない状況になっていた。カールはデュプリーの現状を見かねて自分の家に泊まらせることに。
しかし、モリーとカールの仲はまもなく冷えていく…。
モリーの父トンプソン社長(マイケル・ダグラス)はカールとソリが合わず、小さなことでいちいち険悪な雰囲気になる。
デュプリーはカールを慰めるが、カールは調子に乗って妻の留守中に友達を何人も呼んで騒ぎ、モリーを怒らせてしまう。
新居のトイレはすぐに壊れ、モリーがデュプリーに紹介した女の子は火事を起こして、居間を丸焦げに。
カールは仕事にかまけてモリーをほったらかし、ついにはデュプリーの誠意も傷つけて、3人の生活はギクシャクしてしまう…。
主な登場人物(キャスト)
ストーリーで特に重要なのは4人。主人公のデュプリー、モリーとカールの新婚夫婦、モリーの父トンプソン社長です。
デュプリー(オーウェン・ウィルソン)
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主人公。明るく無邪気で、子犬のような可愛さがある。世間知らずで、ちょっと破天荒な面もあるが、根はとても優しく真面目。恋には一途すぎるところも。
料理や家事が上手で、自転車レーサーのランス・アームストロングの大ファンでもある。
モリー(ケイト・ハドソン)
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カールと結婚したばかり。学校の教師をしている。最初はデュプリーの同居を嫌がるが、彼の優しさに気づき、夫との問題を相談するまでに親密になる。
デュプリーに女友達を紹介するが、その女がアバズレだったことを知って後悔する。
カール(マット・ディロン)
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モリーの夫で、デュプリーの幼なじみ。自己中心的で偏屈な性格のため、しばしばトラブル・メーカーとなる。
仕事のイライラにかまけてモリーをほったらかした挙句、デュプリーと妻の仲を不当に疑って騒ぎを起こしたりもする。
トンプソン社長(マイケル・ダグラス)
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モリーの父で、カールの上司。カールを気に入らないながら何とか歩み寄ろうともするが、義理の息子の偏屈な性格にうんざりしている。
デュプリーのことは一目で気に入り、可愛がる。
🧸『トラブル・マリッジ』概要まとめ🧸
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日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは大ヒットした映画『トラブル・マリッジ』。本作も多くの場合と同じく、レビューやキャッチコピーは当てになりません。
主人公のデュプリーはお邪魔虫でもないし、トラブルメーカーでもありません。トラブルはむしろカールが引き起こし、デュプリーは巻き込まれているだけのことが多いですね。
映画そのものの考察は別記事にまとめていますので、併せてどうぞ。
・『トラブル・マリッジ』関連記事
殺人鬼? それとも超能力者?『アフターライフ』の謎めいた男エリオット
さあ、今回はリーアム・ニーソン主演の映画を考察していきますよ! ご紹介するのは、『アフターライフ』。日本ではマイナーですが、とても面白い映画です。
Photo by ©︎Anchor Bay Entertainment
・公開:2009年
・ジャンル:スリラー
・時間:104分
・出演:リーアム・ニーソン、クリスティーナ・リッチ、ジャスティン・ロング他
この映画の魅力は何と言ってもリーアム・ニーソン1人にあります。アクションで有名になった彼のイメージと裏腹に、ここでは静かな緊張感に満ちた演技を見せています。
さて、国内外問わず、この映画で最も物議を醸すテーマは「主人公のアンナは生きているのか、死んでいるのか?」。
答えを先に言うと、死んでいます。
🕯『アフター・ライフ』あらすじ🕯
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アンナ(クリスティーナ・リッチ)は近ごろ無気力になり、恋人のポール(ジャスティン・ロング)を困惑させている。ある日ポールがディナーの席でプロポーズしようとすると、アンナは彼の言い方から別れ話と勘違いして激怒。嵐の中で車を走らせ、途中で大事故を起こす。
気がつくとアンナは殺風景な部屋に寝かせられ、葬儀屋エリオット(リーアム・ニーソン)が彼女を見下ろしている。エリオットは、彼女が事故で死んで、自分は葬儀の準備をしていると話す。
アンナは自分は死んでいない、話ができるのが証拠と主張するが、エリオットは「皆、そう言う。でも、私以外の人間には、きみは死体にしか見えない」と取り合わない。
アンナは心の中でポールに助けを求めるが、そうするとポールの現実での言動も狂い出した…。
🕯アンナは生きているのか?死んでいるのか?🕯
Photo by ©︎Anchor Bay Entertainment
アメリカでの公開当時から物議を醸したテーマ。監督は後にインタビューで「アンナは生きていて、エリオットはシリアルキラーである」と語ったそうですが、私自身はこのインタビューの出所を見つけられませんでした。
監督が意図した内容はともかく、私はこの映画を観て「アンナは死んでいる」としか思えません。
根拠①:脈がない
アンナはエリオットがいなくなった後、自分の脈を確かめようとして失敗。もし生きて意識がある状態なら、脈はあるはず。死んでいる証拠です。
根拠②:電話が通じない
これは2度登場します。最初はかかってきた電話を切って、別の電話をかけようとしますが、アンナにはできません。何度電話のフックを押しても、かかってきた電話を切れず、彼女は諦めます。
2度目は地下室を抜け出して、エリオットの私室の電話を使う時。彼女はポールの携帯にかけ、「助けてほしい」と訴えますが、ポールは彼女の声が聞こえず、気味悪がって切ってしまいます。
電話が通じているのに声が届かないのは、やはりアンナが死人だからでしょう。
根拠③:鏡と息
これは「アンナは生きている」と主張する側の有力な根拠になっていますが、私はそうは思いません。
この【息】が誰にでも見えているとは限らないからです。エリオットがそっと拭き取るのは、「彼女が息を見て生きていると勘違いするのを避けるため」ではないでしょうか。彼女とエリオット以外の人間にあの【息】が見えているかどうかは不明です。
根拠④:外に出ても元の場所に戻る
葬儀の支度が済んだ後、エリオットはアンナを外に出してやります。ポールの家に向かうアンナが行き着くのは地獄のような恐ろしい場所。魔女のような老婆からツタで縛り上げられ、口から虫を吹きます。そして、気づけば死体安置所に戻っていました。
これも生きているならあり得ない現象です。
根拠⑤:ヒドリニウム・ブロマイドの注射
これも息の件と同じく、「アンナは生きている」と考える観客にとっての有力な根拠になっています。しかし、私はこれも生きている根拠にはならないと考えます。
生きている肉体と死体とでは、薬品の働きも異なるはず。エリオットは「死体の腐敗を防ぐために注射する」と語りますが、彼が嘘をついている証拠はありません。
警察の1人が「ヒドリニウム・ブロマイドって薬なら、仮死状態にできる」と話すシーンがありますが、これは生きている身体に対しての話。死体に注射した場合どうなのかは、観客には分かりません。
化学に疎い私ですが、もし仮死状態だとしたら少なくとも1つおかしなことがあります。映画を観ると、エリオットは何度も注射を打っています。
仮死状態にするためには、致死量の一歩手前の量を打たないといけません。この映画みたいに繰り返し注射していたら、アンナはあれほど元気に動き回ることはできないはず。意識が戻っても、もっと弱りきっていないと辻褄が合わないのです。
よって、ヒドリニウム・ブロマイドはエリオットの発言どおりの目的で使われているのだと思います。
根拠⑥:叫んでも聞こえない
墓に埋められる時、アンナは棺の中からギャーギャー叫びますが、参列者はまったく気づきません。
実際に観れば分かりますが、彼女が叫び出すのは棺に土をかぶせ始めたタイミング。周囲は特に騒がしくもないので、あれだけ騒いで棺のフタを叩き続ければ、誰かが気づくはずです。
根拠⑦:食事を摂らない
死体安置所に運び込まれて3日間、アンナはいっさい食事や飲み物を口にしていません。もし生きているのなら、あんなに元気に動き回れないはずでしょう。
🕯エリオットは善人で超能力者!🕯
Photo by ©︎Anchor Bay Entertainment
今度はエリオットの行動にスポットを当てて、彼の善悪をハッキリさせます。
根拠①:電話
アンナの生死の問題のところでも書きましたが、エリオットの家の電話はちゃんと通じています。
エリオットが細工した可能性もゼロ。アンナの声がポールに届かなかった電話はエリオットの居間の電話機を使ったもの。エリオットはアンナがあの電話機を使うとは予想できるはずがなく、細工する暇もありません。
この点から見ても、アンナの電話は本当に声が届かなかったことが証明されます。
根拠②:アンナが部屋にいる状態でカーテンを開ける
もしエリオットが殺人鬼で嘘をついているのであれば、アンナが動いているところを見られないように細心の注意を払うはず。しかし、彼はアンナが姿見を覗き込んでいる時にカーテンを開けて外を眺めます。
これもエリオットに後ろ暗いところがない証拠でしょう。
根拠③:あっさり手鏡を渡す
アンナが姿見で自分の姿を見ている時、エリオットは息をハンカチで拭き取りました。にも関わらず、葬儀の直前アンナが「最後に自分の姿を見たい」とせがんだ時、あっさり手鏡を渡します。
息で曇るのはアンナの幻想でしかないことを知ってるからこそ、こんな行動に出たとしか考えられません。
もしエリオットが殺人鬼なら、手鏡をかざすだけで絶対にアンナに渡さないはずです。
🕯『アフターライフ』考察まとめ🕯
Photo by ©︎Anchor Bay Entertainment
リーアム・ニーソンが演じるエリオットには独特の魅力があります。
時には死者の自覚のなさにイライラすることもありますが、基本的には誰に対しても優しく、公平です。
私はエリオットの人物像がとても好きです。死者と話す能力があるばかりに、死者の愚痴やワガママに振り回されるのは、観ていて気の毒になりますね…。
エリオット自身、一度腹を立てて「こんな能力、まるで呪いだ」とぼやいていました。
それでも彼は最後まで、死者がなるべく安らかにあの世に行けるように一生懸命計らっています。
リーアムの優しい中に威厳のある表情がとてもこの役に似合っていますね。
字幕が下品すぎる!『ナイト・ミュージアム』ジェドの本当のセリフ
私は映画を観る時は、絶対に字幕で観ます。俳優の声をそのまま味わいたい私としては、吹き替え版など論外。
しかし、字幕に不満を持つことはよくあります。素人の私が言うのもなんですが、センスのない字幕翻訳家が多すぎます。オリジナルのセリフを確認して、字幕に頭にくることなどしょっちゅう。
有名な『ナイト・ミュージアム』シリーズの字幕にも、呆れるような誤訳が散見されます。ここではブログの性質上、オーウェン演じるジェデダイアをメインに、オリジナルのセリフを紹介しましょう。
🕍ジェデダイアは言葉のきれいなカウボーイ🕍
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字幕を見ながら、オーウェンの(繊細な声を犠牲にした)荒々しい声を聞いていると、いかにも西部の男の雰囲気が漂ってきますよね?
しかし、原語のほうをチェックしてみると、ジェドの言い回しは意外にもソフト。
本当は非常に上品なカウボーイです。
カームンラーは「いいやつじゃない」
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仕事を終えたラリーの携帯が突然鳴り、ジェドの声が聞こえてくるシーン。
小さな体で受話器に登り上がり、スミソニアンでの危機を伝えるジェドは見物ですが、ここでのセリフはオーウェンの性格が端的に伝わってくるものでもあります。
ラリー:ジェド、おまえ・・・いったいどうやって電話をかけたんだ?
ジェド:そこはいい! あの憎たらしいチビザルが魔法の石板を盗んだせいで、俺たちはとんでもない目に遭ってるんだ!(中略)カームンラーさ! アクメンラーの兄貴だ! ここにいるんだよ! いいやつじゃない。もう一度言うぜ、いいやつじゃないんだ!
(出典:fandomのスクリプトから翻訳。)
追っ手が迫り、今にも捕らえられそうな緊迫した状況の中、必要な情報だけを分かりやすく伝えていますね。これはオーウェンそのままと言ってもいいほど、よく似た特徴です。
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さて、ここで面白いのは、カームンラーのことを「いいやつじゃない」、英語では“not a friendly”と表現すること。後で登場するカームンラーの性格を考えると、ずいぶん控えめな言い回しです。西部の男らしからぬ、上品な言い回しだと思います*1。
「あんたの第一印象、分かってる?」
カームンラーに捕らえられた時のシーンでも、字幕とオリジナルでかなりの差があります。ジェドは自分がカームンラーをどう思っているか、はっきり言うのですが、
「あんたこそ何だよ? ウザ・キモいイカレ野郎だ。ついでに付け加えると超マヌケ!」
「あんたの第一印象、分かってる? 1.誇大妄想、2.変人、もうひとつ3番目をくっつけて、マヌケ!」
オリジナルでは人格否定はしていないんです。字幕より洗練された言い方と思いませんか?
「ボケナス」なんて言ってない! オリジナルでは「フラップジャック」
Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.
同じく『ナイト・ミュージアム2』で、カームンラーに閉じ込められた展示物たちが集まるコンテナボックスの中で、ジェドがカスター将軍の自惚れに呆れて、オクタヴィウスと脱出の相談を始めるシーン。
字幕ではジェドがカスター将軍を「ボケナス」と呼び、オクタヴィウスから「ボケナスって何?」と問われて、「トンチキと同一語だ」と答えます。
これも、オリジナルではかなり違います。
ジェド:あのご立派な軍人、フラップジャックのハエひとつ叩けないぜ。さてと、外で俺たちのために戦っている巨人さんを助けないと。でも、今の状態では協力できないから、まずは脱出だ!
オクタヴィウス:フラップジャックって何?
ジェド:ビスケットとかスコーンみたいな食べ物さ。
これを「ボケナス」に変えてしまうのは酷い…。
ちなみにフラップジャックというのはお菓子の一種。アメリカではパンケーキを指し、イギリスではオートミールバーを意味する単語です。
「ビスケットとかスコーンみたいな食べ物」と言っているところをみると、ジェドが言っているのはイギリスのフラップジャックでしょう。
「きみの小さな友達に挨拶を!」
Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.
最後に紹介するシーンは、翻訳が間違いなのではありません。ただ追加情報があると、ちょっと面白いと思って項目に含めました。
『ナイト・ミュージアム』で、ラリーのポケットから飛び出したジェドは大声で「きみの小さな友達にも挨拶しろよ!」。
このセリフは、偶然かどうか同時期に撮られた『トラブル・マリッジ』との繋がりが見られます。デュプリーが後半に着ているシャツには、
「僕のちいちゃなお友達にあいさつしてね!」
の文字が小人のイラストとともに書かれています。ジェドはこの文章を主語を変えて口にするんですね。
日本語字幕では「俺はここだぜ!」なので、分かりにくいですが…。
アメリカでは『トラブル・マリッジ』のほうが5か月ほど早く公開されたので、あのシャツを知っている人にはかなりウケたのではないでしょうか。
🕍まとめ:的外れな日本語字幕はいい加減にしてほしい🕍
Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.
字数制限があるのは分かりますが、それでもセンスのない字幕翻訳家が多いことにはいつも呆れます。もちろん訳してくださる方がいるからこそ、誰もが気楽に洋画を楽しめることには感謝しています。
しかし、意味を極端に変えるのはやめてもらいたいと思います。
ということで、『ナイト・ミュージアム』シリーズのジェドは字幕のイメージより遥かに上品なカウボーイです。
・『ナイト・ミュージアム』関連記事
*1:字幕では雰囲気を出すためか「ものすごく悪い奴」となっていました。
日本では知られていない?! 隠れ名作映画おすすめ15選!
日本では、映画も決まった作品ばかりが話題に上りやすく、海外で大ヒットした作品でも全然入ってこなかったりします。そのせいで、素晴らしい映画なのに埋もれているものがたくさん!
この記事では、個人的に「埋もれてはもったいない!」と感じる洋画を15作品紹介します。ランキングにするのは難しいので、年代順に並べますね。
- 🧡見逃せない洋画おすすめ15選🧡
- 1.『パトリック・スウェイジ/復讐は我が胸に』(1989)
- 2.『奇跡を呼ぶ男』(1992)
- 3.『ルビー・カイロ』(1992)
- 4.『レ・ミゼラブル』(1998)
- 5.『ザ・マイナスマン』(1999)
- 6.『ホーンティング』(1999)
- 7.『アイ・スパイ』(2002)
- 8.『セラフィム・フォールズ』(2006)
- 9.『トラブル・マリッジ/カレと私とデュプリーの場合』(2006)
- 10.『アフターライフ』(2009)
- 11.『ホール・パス/帰ってきた独身生活』(2011)
- 12.『THE GREY/凍える太陽』(2012)
- 13.『アー・ユー・ヒア』(2014)
- 14.『インヒアレント・ヴァイス』(2014)
- 15.『クーデター』(2015)
- 🧡マイナー扱いの映画を発掘するのも楽しい🧡
🧡見逃せない洋画おすすめ15選🧡
私が選ぶとどうしても好きな俳優の出演作に偏りますが、そこは悪しからず…。独断と偏見でオーウェン・ウィルソン及びリーアム・ニーソンの出演作から全部で15作品選出しました。
奇数になっているのは、そのうち1作で2人が共演しているからです。
ここで挙げる映画の大半は、現在日本では入手困難です。各映画の末尾にあるリンクは、Amazonで手に入る中古のディスクや配信、海外版のDVDに飛びます。なお、リンクの使用上、Amazonにしか取り扱いがない場合も楽天やYahooショッピングが表示されてしまいます。どうかお許しのほどを…。
1.『パトリック・スウェイジ/復讐は我が胸に』(1989)
Photo by ©︎Warner Bros. Entertainment Inc.
・公開:1989年
・ジャンル:アクション、スリラー
・時間:108分
・出演:パトリック・スウェイジ、リーアム・ニーソン、アダム・ボールドウィン、ベン・スティラー他
リーアム・ニーソン初期の出演映画。ギャングの争いをテーマにした物語です。
リーアム演じるブライヤーは途中で殺されてしまいますが、前半の活躍ぶりは見もの! 主役そっちのけの勢いで観客の目を奪います。猛犬注意の檻に飛び込んだり、電車の上に悠々と座って敵をかわしたり、リーアムらしい破天荒なアクションが魅力。
その他の出演者では、駆け出しのベン・スティラーがギャングの息子役で出演しています。出番は少なく、リーアム同様に話半ばで殺されてしまいますが、初々しく可愛らしいベンの演技も見どころですよ。
2.『奇跡を呼ぶ男』(1992)
Photo by ©︎Paramount Pictures Corporation
・公開:1992年
・ジャンル:コメディ
・時間:108分
・出演:スティーブ・マーティン、リーアム・ニーソン、デブラ・ウィンガー他
スティーブ・マーティン主演のコメディ映画。リーアム・ニーソンが警察署長役で助演しています。
マーティン演じる【奇跡を売りにしたペテン師ジョナス】がトークショーで人々を楽しませる話を軸に、さりげないヒューマンドラマが展開する優れた映画。ジョナスと警察署長ウィルの対立やジョナスの妹ジェーンとウィルの恋物語も混ざり、面白い人間関係も魅力です。
残念ながら、この映画は日本では入手困難。Amazonプライムでレンタルできるのは、【吹き替え版のみ】です。
私自身は吹き替え版を観る気になれず、原語のビデオファイルとオリジナル英語字幕を入手し、自分で英語字幕を日本語訳してから観ました。
しかし、皆さんはそんな面倒な作業はイヤだと思うので、Amazonプライムの吹き替え版をご紹介しますね。
3.『ルビー・カイロ』(1992)
Photo by ©︎Miramax, LLC
・公開:1992年
・ジャンル:スリラー
・時間:91分
・出演:アンディ・マクダウェル、リーアム・ニーソン、ヴィゴ・モーテンセン他
リーアム・ニーソンの出演作ですが、これがまた入手困難。何と、日本では中古のレーザーディスクとビデオテープしかありません! レンタルや配信もなく、『奇跡を呼ぶ男』以上に不遇な扱い。
結局、私はこれもビデオファイルと英語字幕を入手し、自分で日本語字幕をつけて観ました。
愛する夫がメキシコで墜落死したことを知ったベッシー(アンディ・マクダウェル)は遺品整理をするうちに不審なものを見つけ、次第に夫の邪悪な素顔を知ることになる…という物語。
リーアムはベッシーの新たな恋人となるラム博士の役です。ちょっと残念なのは、ストーリーでのラム博士の重要度が低いこと。テーマは面白いのに、詰めが甘い印象を受けてしまいます。
とはいえ、リーアムの初々しさを味わえる一本ですし、埋もれさせておくのはもったいない映画。ぜひ、日本でもちゃんとディスク化して欲しいものです。
4.『レ・ミゼラブル』(1998)
Photo by ©︎Columbia Pictures Industries, Inc.
・公開:1998年
・ジャンル:ドラマ
・時間:134分
・出演:リーアム・ニーソン、ジェフリー・ラッシュ他
『レ・ミゼラブル』といえば2012年版が有名ですが、個人的にはリーアム・ニーソン主演のこちらもおすすめ。
本作はミュージカルではなく、完全な映画。ストーリーはジャベール警部が自殺して、ジャン(リーアム・ニーソン)が解放されるシーンで終わります。晴れて自由の身になったジャンが空を仰ぎながら喜びを噛み締めるラストが爽やかで大好き。
この『レ・ミゼラブル』、もっと広まってほしいものです。
5.『ザ・マイナスマン』(1999)
Photo by ©TSG Pictures
公開:1999年
ジャンル:スリラー
時間:111分
出演:オーウェン・ウィルソン、マーセデス・ルール、ブライアン・コックス、他
オーウェン・ウィルソン主演の静かなミステリ映画。日本では中古のDVDがあるのみで、ほとんど話題にもならないのが残念。血みどろの表紙で誤解を与えますが、スプラッターではありません!
パッケージ裏のあらすじだけ読むと、オーウェン演じるヴァンが連続殺人犯と思いますが、とんでもない。いざ観ると、ヴァンは無実で陰で糸を引いている人物がいて…と、なかなか複雑。
あれこれ推理しながら観るのが楽しく、頭の体操にもいい(?)映画です。
出演者では、オーウェン1人が飛び抜けて素晴らしい。若々しく可愛らしくて、天使みたいです。それでいて、複雑な状況に置かれてしまったヴァンの不安な心理をよく演じています。
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6.『ホーンティング』(1999)
・公開:1999年
・ジャンル:ホラー
・時間:113分
・出演:リーアム・ニーソン、オーウェン・ウィルソン、リリ・テイラー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ他
現時点では、リーアム・ニーソンとオーウェン・ウィルソンが共演した唯一の映画です。
なぜかこの作品は評判が悪いのですが、個人的にはオーウェン・ウィルソンの映画ベスト10にも入れたほど大好き! リーアムとオーウェンはこの時初めて会ったようですね。後の2人の友情(一般的にはあまり知られていないようですが…)の原点としても貴重な作品かもしれません。
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7.『アイ・スパイ』(2002)
・公開:2002年
・ジャンル:アクション
・時間:96分
・出演:オーウェン・ウィルソン、エディ・マーフィー、ファムケ・ヤンセン他
オーウェン・ウィルソンとエディ・マーフィーのコンビで繰り広げられる、ドタバタのスパイ物語。
職場で不当に扱われる有能なスパイ、アレックス(オーウェン・ウィルソン)はアメリカから盗まれた軍用ステルス機を取り戻すため、チャンピオンボクサーのケリー(エディ・マーフィー)と組みます。しかし、ケリーはどうしようもないワガママ。2人は何度も言い争いますが、いつしか協力し、仲良くなっていきます。
この映画もなぜか異常に低評価が多く、Twitterでも「こんなクソ映画が好きなのか?」と嫌味を言われたことがあります。
でも私は大好きだし、面白いと言うファンも一定数以上はいますよ。オーウェン本人も「なぜ叩かれるのか分からない。僕はとても楽しかったのに」と言っています。
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8.『セラフィム・フォールズ』(2006)
・公開:2006年
・ジャンル:西部劇
・時間:115分
・出演:リーアム・ニーソン、ピアース・ブロスナン、アンジェリカ・ヒューストン他
なぜこれが日本でほとんど知られていないのか、理解に苦しむ名作。リーアム・ニーソンとピアース・ブロスナンの共演というだけでも観客の気持ちをそそるはずなのに…。
執拗に追ってくるカーヴァー(リーアム・ニーソン)から必死に身を守るギデオン(ピアース・ブロスナン)。壮大な自然の中、切羽詰まった追跡劇が繰り広げられるが、カーヴァーにはギデオンを恨むだけの理由があって…という話。
シンプルですが観客を飽きさせず、ギデオンとカーヴァーの両方を善人として描いているのが良いポイント。ラストも爽やかです。
9.『トラブル・マリッジ/カレと私とデュプリーの場合』(2006)
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
・公開:2006年
・ジャンル:コメディ
・時間:109分
・出演:オーウェン・ウィルソン、ケイト・ハドソン、マット・ディロン他
オーウェン・ウィルソン主演のコメディ。職にあぶれたデュプリー(オーウェン・ウィルソン)が新婚夫婦(ケイト・ハドソン、マット・ディロン)の家に泊まり込んでトラブルになる話で、たわいない日常もの。
この映画の魅力は何と言っても、子犬みたいに可愛いオーウェンを楽しめること。純真で無邪気なデュプリーは破天荒に見えて、意外にも真面目。ストーリーが進むごとに観客を味方につけてしまうふしぎなキャラクターです。
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10.『アフターライフ』(2009)
Photo by ©︎Anchor Bay Entertainment
・公開:2009年
・ジャンル:スリラー
・時間:104分
・出演:リーアム・ニーソン、クリスティーナ・リッチ、ジャスティン・ロング他
これはリーアム・ニーソンの独断場と言っていい映画。アクションや歴史物が多い彼の作品の中でも珍しい役で、何と霊能力のある葬儀屋!
死んだことを認めようとしない魂に向かって死を受け入れさせる人物で、リーアムの優しさと厳粛な魅力が余すところなく発揮されています。
ちなみにリーアムはこの時期くらいから、ますます魅力的になって、演技力にも幅が出てきました。60歳近くになって以降、出演するものが次々と大当たりしたのもうなずけます。
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11.『ホール・パス/帰ってきた独身生活』(2011)
Photo by ©︎Warner Bros. Entertainment Inc.
・公開:2011年
・ジャンル:コメディ
・時間:109分
・出演:オーウェン・ウィルソン、ジェナ・フィッシャー、ジェイソン・サダイキス、クリスティナ・アップルゲイト他
これは確かに、特にいい作品とは言えません。ファレリー兄弟の映画は『メリーに首ったけ』もそうですが下ネタが多く、好悪が分かれます。
本作も登場人物の多くがセックスについて話し、上品な観客だったら怒りそう。
でも主役のリック(オーウェン・ウィルソン)には好感が持てるんですよね。
登場する2組の夫婦のうち、まったく不倫行為をしなかった唯一の人物がリック。その他の3人は、程度の差はあれど全員不倫に踏み込んでしまいます。
ただ1人リックだけはトップレスの女の子を前にしても気持ちが動かず、あらためて妻への愛を自覚してキスひとつせずに去ります。
リックの誠実さがオーウェン本人の性格と重なって見え、下品なこの作品の清涼剤になっています。
12.『THE GREY/凍える太陽』(2012)
Photo by ©︎Open Road Films
・公開:2012年
・ジャンル:アドベンチャー
・時間:117分
・出演:リーアム・ニーソン、フランク・グリロ他
これはリーアム・ニーソン主演作の中でも、特に素晴らしい出来栄えの映画。
アラスカの雪原に墜落して生き残った男たち7人が狼と大自然に苦しめられ、1人またひとりと命を落としていきます。シンプルなサバイバル劇ですが、構成に無駄がなく、観客もリーアムと一緒に旅をしているような疑似体験が味わえます。
最後に1人残ったリーアム演じるオットウェイが絶望して神に向かって叫ぶシーンは圧巻! リーアムの見事な演技が迫力を生んで、とても感動します。
13.『アー・ユー・ヒア』(2014)
Photo by ©︎Gilbert Films
・公開:2013年
・ジャンル:なし(ロマンス、サスペンス、ドラマの融合)
・時間:113分
・出演:オーウェン・ウィルソン、ザック・ガリフィアナキス、ローラ・ラムジー、エイミー・ポーラー、他
これはもう、私のブログやツイートの読者には王道ですね。オーウェン・ウィルソン主演のヒューマンドラマです。
言外に語られる要素も多く、登場人物の服装や柄にまで意味を感じる、深みのある作品。オーウェン演じるスティーブの恋人アンジェラを演じるローラ・ラムジーも可愛らしくて、よく似合っています。
残念なことに、日本ではAmazonプライムの配信のみ。ちゃんとディスク化してほしいものです。
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14.『インヒアレント・ヴァイス』(2014)
Photo by ©︎Warner Bros. Entertainment Inc.
・公開:2014年
・ジャンル:スリラー
・時間:149分
・出演:ホアキン・フェニックス、リース・ウィザースプーン、オーウェン・ウィルソン他
この映画でのオーウェン・ウィルソンの出番は少ないけれど、ストーリーで重要な役割を果たします。麻薬がらみの闇組織を暴いていくミステリで、オーウェン演じるコーイは組織に利用されるサックス奏者。
彼は映画の半ば辺りで登場しますが、ここが素晴らしい! ほとんど真っ暗な中で主人公の探偵(ホアキン・フェニックス)と話をするのですが、囁き声だけで格別の存在感を出せるのには感心しました。
15.『クーデター』(2015)
Photo by ©︎The Weinstein Company
・公開:2015年
・ジャンル:アクションスリラー
・時間:103分
・出演:オーウェン・ウィルソン、レイク・ベル、ピアース・ブロスナン、他
これは日本でもかなり宣伝されていましたが、不当な評価が多く、今ではディスクの入手が困難な映画。
出張のため、家族を連れて某アジア国に赴いたジャック(オーウェン・ウィルソン)が外国人ターゲットのクーデターに巻き込まれるストーリー。筋書きは単純ながら家族愛や友情に彩られた作品で、とても感動します。
ジャックを救う役回りにピアース・ブロスナンが出演していて、彼も良い味を出しています。
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🧡マイナー扱いの映画を発掘するのも楽しい🧡
いかがでしたか? あなたの興味を引く作品は見つかったでしょうか?
海外で人気のある作品でも、日本ではさっぱり…というのはよくあること。興味があったら、どんどん観てみましょう。
そして大事なのは、批評家や映画評論サイトを信用しないこと。私の経験上、批評家の言うことは大半が的外れです。とにかく自分が興味を持ったら、観てみること。
この記事では私のおすすめを挙げましたが、これを機にあなたも【日本で埋もれたままの素敵な映画】に出会えますように!
アクションの危険度は80%くらい? |映画『シャンハイ・ナイト』のハラハラするシーン
『シャンハイ・ナイト』の解説の続きです。今度は危険なアクションについて。
Photo by ©︎Touchstone Pictures.Inc
・公開:2003年
・ジャンル:アクション、コメディ
・時間:114分
・出演:ジャッキー・チェン、オーウェン・ウィルソン、エイダン・ギレン、ファン・ウォン、ドニー・イェン他
前回は、この映画の見どころ・豆知識についてご紹介しましたね。
ホームズ、チャップリン、切り裂きジャックなどについて書きながら映画の撮影エピソードも盛り込んだので、ちょっと長過ぎる記事になってしまったかもしれません。
バランスを取るため、今日はテーマを絞って、短くまとめましょう。
☑『シャンハイ・ナイト』でのオーウェンの危険度はどのくらいだったか?
生き埋めや絞首刑未遂も耐えなければならなかった前作『シャンハイ・ヌーン』をMAXとして比較すると、
かなり危険度が高いのが分かると思います。『シャンハイ・ヌーン』がどれほど危険だったかについては↓こちらをどうぞ。
この記事では、『シャンハイ・ナイト』でオーウェンが味わった過酷な撮影シーンについて紹介しましょう。
🌃『シャンハイ・ナイト』のアクションの危険度は?🌃
Photo by ©︎Touchstone Pictures.Inc
前作の『シャンハイ・ヌーン』では、生き埋めにされたり、本当に首を吊られたりしたオーウェン。では、続編の『ナイト』ではどうでしょうか?
先に結論を言うと、「『ナイト』も負けず劣らず危険なシーンが多かった」。シーンによっては、生き埋めと同等にひどい目に遭っています。
逆さ吊りで水に漬けられる
Photo by ©︎Touchstone Pictures.Inc
ここは、おそらくこの映画で最もオーウェンの負担が大きいシーンでしょう。
ラズボーン(エイダン・ギレン)とウー・チャウ(ドニー・イェン)の悪者コンビに捕まってしまったチョン(ジャッキー・チェン)とロイ(オーウェン・ウィルソン)。2人は逆さ吊りにされ、水に沈められそうになります。
同じ吊るされるとはいえ、ジャッキーはすぐに脱出。後半は敵との戦いがメインになります。
いっぽう、オーウェンはジャッキーが戦う間ずっと吊られたまま。それだけでなく、何度も
水に突っ込まれる➡引き上げられる➡突っ込まれる➡また引き上げられる
の動作を繰り返すのです。
文字では伝わりにくいので、ちょっと動画をご覧ください。
ジャッキーと敵が戦う間、しょっちゅうレバーが回って、かわいそうなロイ(=オーウェン)は何度も水に浸かっています。
ロイ:いっそ早く溺れさせてくれ! もうどうなってもいいよ!
途中、チョンがレバーを小刻みに操作して敵を追いつめるショットがありますよね? あの時、奥でずっと上がったり下がったりしているのも本物のオーウェン。
ドプキン監督:オーウェンはこのシーンをすべて自分でやった。頭から何度も水に突っ込まれるのに、文句ひとつ言わなかったんだよ。
ふつう、俳優は濡れるのを嫌うし、こんなことをさせられたら監督を殺しかねないのもいるんだがね。オーウェンはほんとうにいいヤツだよ。
オーウェンが黙って、この苦痛な撮影に耐えたことについては、映画の脚本家からも讃えられていました。
確かにオーウェンは我慢強いですが、ここまでさせるって・・・。
ただ、ドプキン自身は脚本を読んだ時、この水責めのシーンには否定的でした。コメンタリーではこのあたりの事情を濁した言い方をしていますが、脚本家たちに押し切られてしまったのかもしれません。
オーウェンが逆さでいられる最大時間は2分。そのたびに下ろしては20分ほど寝かせ、これを繰り返して撮影しました。でも、何度も吊るされたり下ろされたりするのも疲れたんじゃないでしょうか?
オーウェン、こんなひどい撮影はキッパリ断らないとダメですよ!
ビッグベンの針にぶら下がる苦行
Photo by ©︎Touchstone Pictures.Inc
映画の終盤、時計を突き破って落下しそうになるチョンをロイが受け止めるシーン。この後、二人は分針から飛び降りて、ヴィクトリア女王の馬車に着地します。
このシーンも、かなりリアルな状況で撮影されています。
まさか本物の時計台ではありませんよ、もちろん。でも、オーウェンとジャッキーは地面から36mの高さに取り付けられた円盤に本当にしがみついているのです。
ここでも、やっぱりオーウェンの方が大変な役回り。彼の方が長くぶら下がっていなければなりませんし、飛び出してくるジャッキーの手を取って、支えてやる必要もあります。
ジャッキーを右手で支えながら、オーウェンがかなり痛そうに顔を歪めているのに気がつくでしょうか? じつは、この1年ほど前、オーウェンは『エネミー・ライン』のアクションで右の肩を脱臼しているのです*1。
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すでに一度痛めているのに、加速度がついて落ちてくるジャッキーを右腕で受け止めるんですよ! 「また関節が外れたら・・・」と考える人はいなかったんでしょうか?
時計台からの落下もリアルの落下!
Photo by Touchstone Pictures
続く落下シーンも、実際にジャッキーとオーウェンが落ちています。分針が揺れてぶら下がるところも編集なし!
まあ、ジャッキーは慣れていますし、危険なスタントを好んでやっていますから、そこまで苦労はなかったでしょう。でも、オーウェンはかなり怖かったのではないでしょうか?
監督:落下シーンの後は鼻血が出たりするんだよね・・・大変だよ。
俳優にここまでの負担を強いるのはやめてほしいですね・・・。ジャッキーみたいに、本人が楽しんでいる場合はいいですけどね。
🌃まとめ︰『シャンハイ・ナイト』もオーウェンの負担は大きかった🌃
矢継ぎ早に過酷なシーンがつづく前作よりマシとはいえ、やはり『シャンハイ・ナイト』も危険!
☑ 逆さ吊りにされて、何度も水に突っ込まれる。
☑ 怪我で弱っている右腕でジャッキーをぶら下げないといけない。
☑ 落下シーンも本物で、36m落ちる羽目になった。
もちろん、ジャッキーは戦いシーンをいくつもこなし、危ないアクションだけで言えばジャッキーのほうが多いでしょう。
しかし、ここで大切なのは、「ジャッキーは元々アクション好きであるのに対し、オーウェンは我慢しているだけ」という事実。
オーウェンは基本的に、要求されればどんな過酷なシーンでも我慢します。
でも、黙って耐えているからといって、不快に思っていないわけではありません。オーウェンは「文句を言ったら悪い」と、遠慮しているだけ。内心ではとても嫌な思いをしていることも多いんです。
製作者はもっと彼の気持ちを配慮すべき。あんなに甘えていては、オーウェンがかわいそうです。
それでも、ドプキン監督はちゃんとオーウェンをねぎらっていますから、他の製作者よりはずっと気遣っているとは思いますが・・・。
Photo by Steve Granitz - © WireImage.com
『シャンハイ・ナイト』の話題、もう少し続けますね。次回はいろいろなシーンを取り上げて、撮影のエピソードやオーウェンとの性格の比較などをお話ししましょう。
つづく➡
*1:脱臼というのは肩の関節が外れて、激痛を伴う怪我。一度脱臼すると、外れやすくなって、再発しやすい。
12月の運営報告|2022年最後のアクセスはいかに?
ちょっと遅くなりましたが、恒例の運営報告を。
今月は先に『ラブ・アクチュアリー』の記事をアップしています。
ブログも間もなく3年目なので、【ブログ運営】カテゴリももうちょっと整理しないと…。
では、運営報告に入りましょう。
🌷12月の運営報告🌷
いつも通りスマホの回線を利用してブログを書いているので、アクセス数に自分が入り込んでしまっていますが、大きな差はありません。
記事数
リライトを含め2記事(運営報告を除く)。
12月は早々に「オーウェン・ウィルソンの名を騙る中傷コメント」が書き込まれたため、抗議の記事を書きました。
この記事をアップした後、しばらくこれがトップで目につくように記事の更新を控えていました。
この場で改めて書きますが、事情を知りもしない方から攻撃を受けるいわれはありません。
Twitterでも私たちの結婚にケチをつけて、「証拠を見せろ」と騒ぐ人がいましたが、ナンセンスです。私たちは見も知らぬ人の暴言に応える義務はありません。
ちなみに受け取った中傷はTwitterに通報し、現在アカウントをロックされた方も数名います。
どうぞお気をつけください。
PV数
2977PV。昨年の同じ月と比較すると、2倍近く増えています。
流入バランスは【検索流入】が最も多いですね。
ユーザー数
合計1771ユーザー(自分を除外)。57ユーザーがリピーターでした。
訪問元の地域は、合計19か国。
収益
アドセンスもいつもの水準を保っています。11月は、うまい棒(旧価格)に換算して43本分でした。
🌷最も読まれた記事10選🌷
いつも通りトップページやカテゴリページ、運営報告記事は対象外としています。
1位:「オーウェンの鼻は殴られて骨折!」
依然として検索1位をキープ中。運営報告で1位になったのは久しぶりですが…。
2位:「オーウェンはもう結婚した!」
アンチからの攻撃理由になっている記事です。繰り返しますが、他人からあれこれ言われる筋合いはありません。
3位:「集団ストーカー」
これも毎月かなり読まれ続けています。
4位:「リーアム・ニーソンの魅力」
検索順位は落ちちゃったけど、ますます読まれるようになっています。
5位:「ネクタイがドアの取っ手にかかっていたら引き返すべし」
いつも通りのランクイン。
6位:「遺伝の法則を無視してねつ造した赤ちゃん」
恒例です。相変わらずPinterestのピンが伸び続けているようです。
7位:「オーウェンになりすました悪質コメント」
先ほど触れた記事です。くどいようですが、【なりすまし】と【意味不明のヘイトコメント】はおやめください。
8位:『ロキ』を信じちゃダメ
「ディープフェイクなんかで映画を作るわけないだろ?」と陰口を叩くアンチもいますが、何の根拠があってそう言うのでしょうか?
9位:「ナイトミュージアムのジェド」
あっ、これは珍しいランクインです。
10位:「『アルマゲドン』の魅力的なオスカー」
6か月連続ランクイン。検索流入で強い記事です。
🌷1月の目標🌷
今年はプライベートでいろいろ新生活の支度があるので、ブログの更新ペースは落ちていくと思います。
思いついた時にちょっと書いたり、リライトしたり、のんびり書いていくつもり。
2023年もどうかよろしく。