オーウェン・ウィルソンの映画と性格

オーウェン・ウィルソン|知られざる性格をすべて公開!

『ナイト・ミュージアム』のカウボーイや『アルマゲドン』のオスカー、『カーズ』の主役の声を担当するなど、有名作品に数多く出演している、ハリウッドの人気俳優オーウェン・ウィルソン。そんな彼の真の姿について伝えるブログです。

字幕が下品すぎる!『ナイト・ミュージアム』ジェドの本当のセリフ

ナイト・ミュージアム 字幕

 

 私は映画を観る時は、絶対に字幕で観ます。俳優の声をそのまま味わいたい私としては、吹き替え版など論外。

 しかし、字幕に不満を持つことはよくあります。素人の私が言うのもなんですが、センスのない字幕翻訳家が多すぎます。オリジナルのセリフを確認して、字幕に頭にくることなどしょっちゅう。

 

 有名な『ナイト・ミュージアム』シリーズの字幕にも、呆れるような誤訳が散見されます。ここではブログの性質上、オーウェン演じるジェデダイアをメインに、オリジナルのセリフを紹介しましょう。

 

 

 

🕍ジェデダイアは言葉のきれいなカウボーイ🕍

オーウェン・ウィルソン ジェド

Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.

 字幕を見ながら、オーウェンの(繊細な声を犠牲にした)荒々しい声を聞いていると、いかにも西部の男の雰囲気が漂ってきますよね?

 しかし、原語のほうをチェックしてみると、ジェドの言い回しは意外にもソフト。

 本当は非常に上品なカウボーイです。

カームンラーは「いいやつじゃない」

Owen Wilson Jed

Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.

 仕事を終えたラリーの携帯が突然鳴り、ジェドの声が聞こえてくるシーン。

 小さな体で受話器に登り上がり、スミソニアンでの危機を伝えるジェドは見物ですが、ここでのセリフはオーウェンの性格が端的に伝わってくるものでもあります。

ラリー:ジェド、おまえ・・・いったいどうやって電話をかけたんだ?

ジェド:そこはいい! あの憎たらしいチビザルが魔法の石板を盗んだせいで、俺たちはとんでもない目に遭ってるんだ!(中略)カームンラーさ! アクメンラーの兄貴だ! ここにいるんだよ! いいやつじゃない。もう一度言うぜ、いいやつじゃないんだ!

(出典:fandomのスクリプトから翻訳。)

 追っ手が迫り、今にも捕らえられそうな緊迫した状況の中、必要な情報だけを分かりやすく伝えていますね。これはオーウェンそのままと言ってもいいほど、よく似た特徴です。

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 さて、ここで面白いのは、カームンラーのことを「いいやつじゃない」、英語ではnot a friendly”と表現すること。後で登場するカームンラーの性格を考えると、ずいぶん控えめな言い回しです。西部の男らしからぬ、上品な言い回しだと思います*1

「あんたの第一印象、分かってる?」

ナイトミュージアム カームンラー

 カームンラーに捕らえられた時のシーンでも、字幕とオリジナルでかなりの差があります。ジェドは自分がカームンラーをどう思っているか、はっきり言うのですが、

字幕

「あんたこそ何だよ? ウザ・キモいイカレ野郎だ。ついでに付け加えると超マヌケ!」

オリジナル

「あんたの第一印象、分かってる? 1.誇大妄想、2.変人、もうひとつ3番目をくっつけて、マヌケ!」

 オリジナルでは人格否定はしていないんです。字幕より洗練された言い方と思いませんか?

「ボケナス」なんて言ってない! オリジナルでは「フラップジャック」

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Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.

 同じく『ナイト・ミュージアム2』で、カームンラーに閉じ込められた展示物たちが集まるコンテナボックスの中で、ジェドがカスター将軍の自惚れに呆れて、オクタヴィウスと脱出の相談を始めるシーン

 字幕ではジェドがカスター将軍を「ボケナス」と呼び、オクタヴィウスから「ボケナスって何?」と問われて、「トンチキと同一語だ」と答えます。

 

 これも、オリジナルではかなり違います。

ジェド:あのご立派な軍人、フラップジャックのハエひとつ叩けないぜ。さてと、外で俺たちのために戦っている巨人さんを助けないと。でも、今の状態では協力できないから、まずは脱出だ!

オクタヴィウス:フラップジャックって何?

ジェド:ビスケットとかスコーンみたいな食べ物さ。

 これを「ボケナス」に変えてしまうのは酷い…。

 

 ちなみにフラップジャックというのはお菓子の一種。アメリカではパンケーキを指し、イギリスではオートミールバーを意味する単語です。

 

「ビスケットとかスコーンみたいな食べ物」と言っているところをみると、ジェドが言っているのはイギリスのフラップジャックでしょう。

「きみの小さな友達に挨拶を!」

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Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.

 最後に紹介するシーンは、翻訳が間違いなのではありません。ただ追加情報があると、ちょっと面白いと思って項目に含めました。

 

『ナイト・ミュージアム』で、ラリーのポケットから飛び出したジェドは大声で「きみの小さな友達にも挨拶しろよ!」

 このセリフは、偶然かどうか同時期に撮られた『トラブル・マリッジ』との繋がりが見られます。デュプリーが後半に着ているシャツには、

「僕のちいちゃなお友達にあいさつしてね!」

の文字が小人のイラストとともに書かれています。ジェドはこの文章を主語を変えて口にするんですね。

 日本語字幕では「俺はここだぜ!」なので、分かりにくいですが…。

 

 アメリカでは『トラブル・マリッジ』のほうが5か月ほど早く公開されたので、あのシャツを知っている人にはかなりウケたのではないでしょうか。

 

 

🕍まとめ:的外れな日本語字幕はいい加減にしてほしい🕍

Owen Wilson Steve Coogan

Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.

 字数制限があるのは分かりますが、それでもセンスのない字幕翻訳家が多いことにはいつも呆れます。もちろん訳してくださる方がいるからこそ、誰もが気楽に洋画を楽しめることには感謝しています。

 しかし、意味を極端に変えるのはやめてもらいたいと思います。

 

 ということで、『ナイト・ミュージアム』シリーズのジェドは字幕のイメージより遥かに上品なカウボーイです。

 

 

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*1:字幕では雰囲気を出すためか「ものすごく悪い奴」となっていました。