拷問を受けても口を割らないのは現実のオーウェンと同じ! 映画『アイ・スパイ』見どころ④
『アイ・スパイ』の最終回です。
- ✈『アイ・スパイ』のあらすじと予告編✈
- ✈カルロスの立場は善悪どちらか?✈
- ✈リアルな拷問と水の中での長い撮影✈
- ✈ケリーが試合を放棄するか否か、モンテカルロでの逮捕シーン、忍耐強いアレックス✈
- ✈テレビドラマのリメイクとして作られた映画✈
- ⬇️『アイ・スパイ』を視聴する⬇️
✈『アイ・スパイ』のあらすじと予告編✈
Photo by POV, impawards
ストーリー
予告編
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それでは、最終回の今日もいろいろ雑多に話していきましょう。
✈カルロスの立場は善悪どちらか?✈
Photo by Sony Pictures, imdb
これはストーリーについての考察。この映画には、どうも疑問の残る人物が1人登場します。有能なスパイとされるカルロス(ゲイリー・コール)です。
登場シーンはごく僅かで、最初と最後にちょっと出てくるだけなのですが、存在としてはアレックス(オーウェン・ウィルソン)に立ちはだかる邪魔な人物。
会社では常に憧れのスーパースパイと称賛され、なぜか道具も優遇されています。
カルロスだけ優遇されるのはなぜ?
Photo by Sony Pictures, moviescreenshot
⬆️アレックスが渡されたスパイカメラに文句を言うシーン。画像では見えづらいかもしれませんが、オーウェンが右手に持っているのがアレックスに渡されたもので、左手のがカルロスのためのもの。どちらも名称は超小型スパイカメラですから呆れます。
結局アレックスは、カルロスのために用意されたスイッチアイとポケベル爆弾を懐に収めて鬱憤を晴らしますが、この2つは後で大いに役立つことになります。
こういうとっさの機転と何を選び出すかをさっと決めるあたり、実際のオーウェンに近い気がします。
他にも、カルロスはパラシュートなのにアレックスは風船だったり、呆れるような差別が描かれています。同じ職務についているのに、ここまで扱いが極端に違うなんてひどいですね。
カルロスとレイチェルは仲間なのか?
でも、一番変に思えるのは、カルロスが善悪どちらなのか最後まではっきりしないこと。
ケリー(エディ・マーフィー)は、「俺にはピンときた! こいつは悪党だ!」とカルロスを疑い、アレックスはレイチェル(ファムケ・ヤンセン)とカルロスの二人が何度も態度を変えることに戸惑います。
映画を観るかぎり、カルロスは悪党と感じられますね。理由は3つ。
- もともとレイチェルと仲が良く、彼女が二重スパイと分かっている
- レイチェルと連携した動きを見せる
- 明らかに自分の手柄ではないにも関わらず、英雄として大統領とともにパレード行進をする
特に3は明らかにカルロスの狡さを示していると思えませんか? 新聞でパレードのことを知ったケリーはカンカンに怒っています。
ここで面白いのは、ケリーが自分の権力を完全に忘れていること。彼は世界的なボクサーなのですから、指一本動かせばカルロスなんか簡単に潰せるはずなのに、「ヒドイぜ。俺たちのパレードなのに」とベソをかくところが笑えます。
でも、任務の報告はまだでしたし、あのあとはカルロスも逮捕されたのではないでしょうか? それまでに立てた手柄も実は単なる横取りに過ぎなかったかもしれませんし・・・。
✈リアルな拷問と水の中での長い撮影✈
Photo by Sony Pictures, imdb
監督はオーウェンを本気で殴るマネをさせた!
オーウェンが映画で危険な目に遭うのはいつものこと。アレックス役で最も危なかったのはレイチェルから捕らえられて拷問を受けるシーンでした。
監督はファムケ・ヤンセンに、至近距離で本気で殴るマネをするように要求。ファムケ本人は、オーウェンを怪我させはしないかハラハラし通しだったそうです。
殴られるシーンでオーウェンの顔にできた傷のいくつかは本物だったのか、1か月後に追加撮影されたエピローグシーンでも薄っすらと傷跡が見えています。
もちろん、あのエピローグはアレックスが殴られてから36時間後ですから、設定上傷があって当たり前ではあるのですが・・・。
ちなみに、ちょっと話は逸れますが、アレックスがどんなに拷問を受けても情報を吐かない設定はオーウェンにぴったりです。
オーウェンは現実でも非常に口が堅い人。『アイ・スパイ』のアレックスがそうであるように、肉体的苦痛が耐え難くても、話すべきでないことは決して口を割りません。
一晩中水に浮かびっぱなし?!
危険とは違うけれど、かなり不愉快だったに違いないのが、ステルス機が墜落してアレックスとケリーが水の中で話し合うシーン。
何とここは撮影に丸一晩かかったのだそう! しかも、食事休憩があった他は、オーウェンもエディもずっと水に浮かびっぱなしでした。
「エディに長時間水の中に浸かってもらうなんて、申し訳なかったわ」などと、ベティ・トーマス監督は言っていますが、またしてもオーウェンのことは無視! 普通、こういう時はどちらのことも心配しませんか? やっぱりオーウェンに対する敵意を感じますね・・・。
だいたい、あの短いシーンに一晩も必要でしょうか?
✈ケリーが試合を放棄するか否か、モンテカルロでの逮捕シーン、忍耐強いアレックス✈
Photo by Sony Pictures, icollector
「好きだからだ!」ー「いや、パレードをやりたいだけ!」
製作者たちがかなり迷ったのが、ケリーがボクシングの試合中に、片目に入れたままになっていたスパイカメラの映像でアレックスが拷問されていることに気づくシーン。
「ケリーは試合を放棄して飛び出すか、相手を倒してから助けに行くか?」
最終的に大急ぎで相手をノックアウトするバージョンが選ばれました。「ケリーの性格から言えば、このほうが自然だろう」という結論だったそうです。
確かにケリーは簡単に勝てるボクサーですから、この行動は納得ですね。
Photo by Sony Pictures, mentalfloss
ケリーが助けに来たことに感激したアレックスが「きみって優しいね。僕のこと好きなの?」と聞くシーンはアドリブの連発。
敵に発砲しながら、「違う! パレードをやりたいだけ!」と言い張るケリーと、「僕が好きだからだ!」と返すアレックスのやり取りは微笑ましいです。
演じているオーウェンとエディの呼吸がしっかり合っているのが感じられますね。
モンテカルロのシーンでは、エディの粗野な優しさが効果を発揮
Photo by Sony Pictures, imdb
変装したレイチェルがお金を引き出そうとして、アレックスとケリーに捕らえられる最後のシーンは、試写会の後で追加されたもの。レイチェルがもう一度アレックスを丸め込もうとして、ケリーに邪魔されるところが痛快です。
ある点で言えば、レイチェルに対してはアレックスよりもケリーのほうが腹を立てていますよね?
試合の後にアレックスを救いに行くシーンとともに、このあたりにはエディ・マーフィーが元々持つ友達思いな性格が発揮されているように思えます。
ハデで自己中心的でありながら、心から友達を大事にする面も持ち合わせるケリーは、やはりエディにピッタリだったでしょう。
✈テレビドラマのリメイクとして作られた映画✈
Photo by imdb
ドラマのアレックス(左)とケリー(右)
ご存じない方も多いかもしれませんが、実はこの映画は1965〜1968年にアメリカで放映されていたテレビドラマのリメイクなんです。主役2人の人種が映画とは逆で、ケリーが白人、アレックスが黒人というコンビ。さらに、ケリーはボクサーではなく、テニスプレイヤーでした。
映画版でボクサーに変更されたのは、エディ・マーフィーが幼少期にボクシングを習っていたからだそう。
ただ、ちょっと調べたかぎりでは、ドラマとこの映画の関連はほとんど皆無のようです。
Photo by Sony Pictures, imdb
映画版のケリーとアレックス
批評家の間ではあまり評判の良くない、映画版『アイ・スパイ』。でも、オーウェン・ウィルソンとエディ・マーフィーそれぞれの持ち味を活かしたコンビは最高ですし、オーウェンのアイディアが盛り込まれているおかげか、ストーリーもかなり面白い出来に仕上がっています。
個人的にはベティ・トーマス監督がオーウェンにチクチク意地悪をすることにイライラする以外は、とても好きな作品の1つです。
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