この映画、さすがに長くなっていますね。ストーリー考察もしていたので、第4回目でやっと裏話をする段階にたどり着きました。
🌷『幸せの始まりは』あらすじと予告編🌷
ひとことで言うなら、ソフトボール一筋に生きてきた女性が人生の転換期に差し掛かって、2人の求婚者のどちらを選ぶべきか迷う物語。
ストーリー
予告編
これまでの記事
1⃣
2⃣
3⃣
役名とキャストは、前回の主な登場人物欄をどうぞ。
🌷オーウェンはマティーをどう演じたか🌷
マティーが脚本の設定と違って、少しもプレイボーイに見えないのは、これまでに書いてきたとおり。では、オーウェン本人はこの役をどう捉えていたのでしょう?
明るい性格を演じるのはプレッシャーだった
「きみの役割は、常に映画の空気をパッと明るくすることだ」と、ブルックス監督から指示されたオーウェン。ただ、本来決して明るい性格とは言い難いオーウェンにとっては、ちょっと難しいところもあったよう。
「演じるのは楽しかった?」と、監督に問われて、彼は「もちろん。でも、いつも陽気で明るい性格を演じるのはプレッシャーでもあったよ」と答えています。脚本上でのマティーは陽気で能天気なプレイボーイ。およそオーウェンの対極にあるイメージですね。
Photo by Columbia Pictures, fanpop
「あれ? オーウェンって陽気なプレイボーイ兄ちゃんでしょ?」
そうおっしゃるということは、初めてこのブログに来てくださった方ですね? いいえ、オーウェンはとても真面目な男性ですよ。と、私が言うだけでは疑うのでしたら、⬇️この言葉を読んでください。
「きみとは正反対の役をよく演じてくれたね」
ブルックス監督がマティーを演じきったオーウェンに感心して述べたコメントです。オーウェン=プレイボーイの図式が頭から離れていない方でも、これを聞けば、納得せざる得ないと思います。
ごめんなさい、ちょっと話が逸れましたね。
Photo by Columbia Pictures, fanpop
マティーが最初に登場するシーン。ファンへのサインと写真撮影を済ませたマティーはリサ(リース・ウィザースプーン)を抱き上げて自分のマンションに連れていきます。
いかにも明るくリサを誘うこの場面、実は何度も撮り直したそうです。原因は、オーウェンが陽気に演じようとすればするほど、コチコチになってしまったせい。
監督は、オーウェンに暗示(?)をかけながら、どうにか撮り終えたのですが、やはりマティーはオーウェンにとってちょっと難しかったのですね。
マティーの人物像はオーウェンらしく変化
Photo by Columbia Pictures, fanpop
オーウェンはマティーという役柄に対してちょっと批判的。かなりバカにしている雰囲気で語っています。
何でも点数を稼ごうとする男なんだ。『ほら、見て! 僕はこれができるんだよ。1ポイントちょうだい!』って、いつもこの調子。リサが競争しようとけしかけたりしたら、たぶん彼はすぐ走り出すと思うよ。(中略)どうしても凹まない男でうらやましいよね。
オーウェンとは似ても似つかない人物として描かれたマティー。生真面目で真剣な人生観を持つオーウェンが眉をひそめるのは当然かもしれません。
でも実際には、オーウェンが演じることで、マティーのプレイボーイの気配はすっかり消えてしまっています。極端に能天気にも見えません。マティーにはいつしかオーウェン本人の持つ深みが混ざり込んだようですね。
即興性に優れたオーウェンは、『マーリー』の時を除けば、たいていどんな役でも自分の個性を活かして魅力的に変えてしまいますね。
オーウェン自身は、自分が役柄に魅力を添えたとは気づいていませんが、それでもマティーの正直さだけは評価しています。
「こんなシーン、なかったよね?」携帯で自分の顔を写すシーンにオーウェンは唖然とした!
Photo by Columbia Pictures, fanpop
リサと喧嘩したマティーが電話に出ない彼女に何時間も電話しつづけ、しまいには自分の悲しんでいる表情を写真に撮って、メールで送るシーン。マティーの必死さが伝わる場面ですが、製作にはちょっと不審な点が・・・。
音声解説時にこの場面に差し掛かると、オーウェンはびっくり仰天。
よほど不思議だったらしく、繰り返し「元の脚本にはなかったよね?」と、聞いていました。
これはどうしたことでしょう? 普通は、映画に出演した俳優が自分のシーンを覚えていないなどあり得ませんよね?
ブルックス監督を悪く言うつもりはないのですが、少なくともこの部分の撮影に関して、彼は明らかに嘘をついたようです。だって、オーウェンが必死に尋ねた時には「元々あった」と答えているのに、別の音声解説では、「後から思いついて挿入した」と語っているのですから。
オーウェンが中でも驚いたのは、自撮り写真をメールする部分。
確かに、セリフに自撮りを意味する言葉はありませんから、オーウェンはてっきり鏡代わりに携帯電話を掲げただけだと思っていたのかも・・・。
いずれにしても、自分の顔写真を人に送ったりするのは、控えめなオーウェンがとても嫌がる行為。かわいそうに、このシーンを知ったオーウェンは絶句してしまいました。
ブルックス監督は、オーウェンが嫌がる事を懸念して、何かうまく騙して撮影したのでは・・・???
ちなみに、リサに「きみが出て行った後、僕はランプを叩き壊した」と読み上げる時に映るメモはオーウェンの筆跡。ただし、⬆️の予告編に出てくるメモは本編と別物です。監督は、「メモは何枚か用意してあったみたいだよ」と話していました。
腕時計は婚約の印?
リサの誕生日、マティーはダイヤの腕時計をプレゼントします(👉リサ1人を大事にするマティー)。ここは映画の中でも、最高に明るくてロマンティックなシーン。
マティーは、腕時計を婚約の証として渡し、「僕の父は母に時計を贈った7年後に婚約したんだ」と語りますが、製作者たちの解説によれば、この風習は実際に過去の歴史にあったものだそう。〈一緒に時を共有する〉という意味でしょうか。
マティーのロマンティックな性質が垣間見え、アンティークなものを好むオーウェンにとても似合うシーンに出来上がっています。
Photo by Columbia Pictures, fanpop
ただ、マティーが包装紙を破ってしまうのには違和感がありますね。後でジョージ(ポール・ラッド)がゆっくり待つことと対比させているのでしょうが、逆にジョージのイメージでは待ちそうにありませんから、全くのあべこべです!
おまけに、ジョージのあのプレゼント! あれはいくら何でも論外でしょう・・・。物語がついていようとなかろうと、古ぼけた粘土なんてケチくさいと思いません?
ちなみに、リサから時計を返されてしまう時、「本当は飾りのついたバスローブにするつもりだったんだ。でも、時計に舞い上がって・・・。情熱ゆえの過ちさ」と、不安げに言うマティーのセリフはオーウェンのアドリブ。いかにリサのプレゼントを真剣に選んでいたか伝わる言葉ですね。
それだけに、結末は本当にかわいそう・・・。まあ、数時間しないうちにリサは帰ってくると思いますけどね。
Photo by Columbia Pictures, rottentomatos
⬆️これは第2弾の時に載せた写真ですが、翌日リサが帰ってきたシーンに見えませんか? マティーは嬉しいけどちょっとスネた表情で、リサは一生懸命に詫びている雰囲気。こう言うのは、この写真のシーンが本編のどこにも見当たらないから。
ところで、この写真、オーウェンの指とスーツの裾の部分に加工した跡がありますが、これは制作会社が見栄え良くするためにちょっと手を加えたものだと思います。
ブルックス監督はデジタル加工に反対の立場ではないらしく、本編の音声解説でも、「編集で役者の顔が紅潮したように見せることもできる。自然になるのが一番いいが・・・」と語っていますし、先に書いた、自撮りメールのシーンにしてもかなり怪しいですものね。
いずれにせよ、映画の終わったあとのワンシーンのようで、個人的にはとても素敵な雰囲気の写真だと思います。
さて、ここでこの映画の主要なエピソードは終わりなのですが、共演者に特筆すべき面白い俳優がいるので、次にその人物を簡単に紹介して締めくくりたいと思います。
つづく➡️
🌷『幸せの始まりは』を観る🌷
最近流行りのネット配信サービスでは、現在2カ所扱っています。
U−NEXT
数あるVODの中では最も有名かもしれません。初回登録後、31日間はどの作品も見放題です。
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