オーウェン・ウィルソンの映画と性格

オーウェン・ウィルソン|知られざる性格をすべて公開!

『ナイト・ミュージアム』のカウボーイや『アルマゲドン』のオスカー、『カーズ』の主役の声を担当するなど、有名作品に数多く出演している、ハリウッドの人気俳優オーウェン・ウィルソン。そんな彼の真の姿について伝えるブログです。

ジョンの告白シーンをオリジナル脚本と比較! 映画『ウェディング・クラッシャーズ』の見どころ

ウェディング・クラッシャーズ 評価


 コメディながらかなり重いテーマも織り込まれている映画『ウェディング・クラッシャーズ』。

 特に主人公ジョン(オーウェン・ウィルソン)が絶望のあまり気が触れてしまうあたりは、コメディを観るつもりで視聴した観客には衝撃でしょう。

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 しかし、正気を取り戻してからのジョンは誠意あふれる訴えで恋人クレアの誤解を解くことに成功します。

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Photo by ©New Line Cinema

作品情報

・公開:2005年

・ジャンル:ロマンスコメディ、ドラマ

・時間:119分

・出演:オーウェン・ウィルソン、ヴィンス・ヴォーン、レイチェル・マクアダムス、ブラッドリー・クーパー、他

 

 あらすじ・キャストは↓こちらをどうぞ。

 

 ジョンが苦悩を乗り越えて、クレアに心からの愛情を訴えるシーンは、本作のクライマックス。ここは大部分、ジョンを演じたオーウェン・ウィルソンによって創作され、オリジナル脚本とは大幅に変更されています。

 せっかくなので、オリジナルとどのくらい変わったのか、お目にかけましょう。

 

 

💛ラストシーン、オリジナル脚本との違いは?💛

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Photo by ©New Line Cinema

 映画の最後、ジョンが自分の生活態度を悔いて、クレアに自分の想いを伝えるシーン。

 

 ドプキン監督はオーウェンの演技力と話し方に非常に感動し、「とにかくオーウェンは素晴らしい」と大絶賛! ついでに言うと、この監督はオーウェンの大ファンであるらしく、コメンタリーの間中、何かにつけてはオーウェンを褒めちぎっていましたが、この最終シーンには中でも特に感銘を受けたようです。

 

 ここは脚本から大幅に変更された場面でもあります

オリジナル版は陳腐で感動ゼロ

 まずはオリジナルのセリフをご紹介します。「本当にこれがあの感動のシーンのオリジナル?!」と疑うほど、まったく雰囲気が違います。

ジョン:そうさ、僕は嘘をついた。だって、怖かったから・・・。でも、怖がっていたのは僕だけじゃない。クレア、きみもサックのことを話す時はとても怖そうだった。きみはこの間抜けのことなんかちっとも愛してないんだよ!

サック:(カッとなって)もうたくさんだ!

ジョン:きみは本当は僕を愛してくれているんだ。僕はきみを愛している。きみのすべてが好きなんだ。それなのに、きみは他の男と結婚するつもりなの? クレア、僕はきみのために生き方を変えたんだ。きみも僕のために選択を変えてくれないだろうか?

 かなり強引な説得。おまけにかなり自己中心的ですね。このまま映画化しなくてよかったと思います。

オーウェンが仕上げた完成版は・・・

 今度はオーウェンが自分の感覚と性格に基づいて仕上げた、現行バージョン。ちょっと長いですが、こちらも抜書きしてみますね。

ジョン:きみがあの時接したあの男は偽物じゃなかった。あれが僕の本当の姿なんだ。確かに名前は偽ったし、職業も違った。ちなみに、僕の本名はジョン・ベックウィズというんだけど・・・。

でも、あの時ふたりで分かち合った感情は本物だ。あのジョークもふざけた笑いもぜんぶ僕そのものだった。僕はもう生き方を変えたんだ。そしてあることに気づいた。ついさっき葬式荒らしをしたんだけど・・・

ジェレミー:おい、嘘だろ!

ジョン:僕の考えじゃないんだよ!チャズに無理やり引っぱって行かれたんだ。

(ジェレミーのほうを向いて)

きみが何と言おうと、あいつは完全にイカれてるよ!まあ、ある意味で才能はあるかもしれないけどね。あれで女もちゃんと乗ってはくるし・・・

クレア:ジョン、ちょっと・・・!

ジョン:ごめん、話がどんどん飛んじゃったね。

つまり、葬式で僕は未亡人を見たんだ。この世で最も愛する人を失って、悲嘆に暮れていた。僕たちはみな大事な人を失うんだ、いつかは。

でも、僕は違う!失うには早すぎる!僕の最も大事な人は元気でここに立っている。まだ失いたくない。

 

 元のバージョンの倍ほど長くなっていますが、ジョンの誠意は現行版のほうが遥かに伝わってきます。

 感動の中にちらりと笑いを取るのもセンスがいいですね。ドプキン監督も同じように褒めていました。

「今ここで結婚してほしいとは言わない」

 でも、いちばん素敵なセリフは実はこのあと。話の締めくくりの言葉です。

ジョン:クレア、今ここで僕と結婚してほしいとは言わない。でも、お願いだ! 彼とは結婚しないでくれ。手遅れにならないうちに、解消してほしい!

 

 何と、ジョンは求婚するのではなく、「サックと結婚するな」と言うのです!

 

・ジョンが訴えるシーン(字幕なし)

 

 監督とヴィンスは「てっきり結婚を申し込むのかと思ったら、違うんだよね」と、笑っていましたが、自分が幸せになることではなく、クレアの幸せを最優先に考えるこのセリフはいかにもオーウェンらしいと思います。

 

 余談ながら、日本語字幕では、「手遅れにならないうちに、解消してほしい!」の部分がなぜか「僕にチャンスを!」になってしまっていて、ちょっと残念・・・。

 

 クレアが決心したのは、ジョンの深い愛情に心を動かされたから。観客が思わずジョンを尊敬してしまうほど、オーウェンはこのシーンに感動を添えています

サックへの態度にも違いがある

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サック(ブラッドリー・クーパー)

Photo by ©New Line Cinema

 婚約を破棄され、逆上したサックはクレアを罵った挙げ句、ジョンを殴ろうとして、ジェレミーの返り討ちに遭います。

 

 このサックって、本当に憎たらしいんですよね! 動物愛護に力を注いでいるフリをしつつ、裏ではどんな汚いことでもやってのけています

 

 ヴィンスはコメンタリーで、サックが殴り倒されるあのシーン、スカッとするよな」と言っていますが、確かにその通りですね。

 ところで、面白いのはこの時ジョンが殴られるままになろうとしていること。この点について、オーウェンはこう語っています。

オーウェン:サックが殴りかかってきた時、ジョンは抵抗はしないんだ。喧嘩するなんて大人げないから。」

 

 いえいえ、それは違うでしょう、オーウェン! 殴られそうになったら防衛しないといけません!

 

 オーウェン演じるジョンはサックにできるかぎり礼儀正しく接しています。

 オリジナルのセリフから、サックを「間抜け」と呼んだ部分が省かれていたことにお気づきでしょう?

 現行版でジョンがサックを非難するのはたった1箇所だけ、クレアが侮辱された時です。

サック:いいか、すぐに祭壇に戻るんだ、分かったな?

クレア:やめて!

サック:おまえのバカ尻を引きずってでも戻らせるぞ!

ジョン:これはこれは! 結婚後の暴君ぶりがはっきりわかるよ!

 サックを間抜けと呼ぶより、このほうが適切だし、インパクトもあります。

オリジナルではウェイター服で求婚?

 元の予定では、ウェイターに変装したジョンとジェレミーがクレアとサックの結婚式に乗り込み、そこでジョンが説得するという設定でした。

 現行版では、舞台は結婚式場のままですが、新郎新婦はグロリアとジェレミーに置き換えられ、クレアとジョンは付き添いを務める間に会話を始めます。

 

ジョンは男性版オフィーリア?』の記事でもちょっと書きましたが、オリジナルでは、

クリアリー家を追い出される→クレアの結婚式の日程が新聞に載る→ジョンがジェレミーを説き伏せ、2人でウェイターとして潜り込む→求婚

という流れ。

 

 つまり、オリジナルではジョンの心理変化の過程はまったく描かれていなかったのです! ジェレミーとの仲違いやジョンの苦悩を描くシーンはすべてオーウェンの考えから生まれました。

 

💛オリジナル通りに製作されていたら感動はなかった💛

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Photo by ©New Line Cinema

 この映画、「もしオリジナル通りに作られていたらどんなにひどい代物だっただろう?」と思います。

 

 オリジナル脚本は、結婚式で騒ぐのが趣味だった男がクレアを気に入って強引に手に入れるだけの、陳腐なストーリー。ジョンもジェレミーも軽薄でメリハリもなく、ラストのプロポーズもぜんぜんインパクトがありません。

 

 オーウェンがジョンを【改良】したおかげで、ジョンとジェレミーのコントラストもつき、ストーリーにも深みが加わったのです。

 

 ドプキン監督が脱帽して褒めちぎった言葉をそのまま借りるなら、「何度も言っているが、オーウェンは本当に素晴らしい!」。

 

 
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