あなたは字幕派? それとも吹き替え派?
私は吹き替えはいっさい観ません。映画を楽しむ時は、演じた俳優の声も聞きたいので、字幕1択になるんです。
さて、映画なら字幕でも吹き替えでも、「誰がその役を演じたか」分かりますよね? 『ナイト・ミュージアム』のオーウェンみたいにノンクレジットでもないかぎり、俳優の名前と顔はすぐに一致します。
しかしアニメの場合、吹き替え派の人がキャスト欄を見て、「あっ!」と驚くことがあります。
そうした作品の1つが、ピクサーの『カーズ』シリーズ。
Photo by ©Pixar/Disney
公開:2006年(『カーズ』)、2011年(『カーズ2』)、2017年(『カーズ/クロスロード』)
製作:ピクサー・アニメーション・スタジオ
声の出演:オーウェン・ウィルソン、ポール・ニューマン、他
概要:登場するのは擬人化された車だけ。カーレースの競争心や華々しさをバックに、主人公マックイーンの心の成長や友情・恋を描く。
何と、主役マックイーンの声を担当したのはオーウェン・ウィルソンなんです! 意外と知らない人も多いようで、マックイーンの声がオーウェンと知ってびっくりなさる人もいらっしゃいます。
この記事では、
・オーウェンがマックイーンに抜擢された経緯
・『カーズ』全3作の主な声の出演
について、お話ししていきますね。
🚦オーウェン・ウィルソンがマックイーンを演じた経緯🚦
『カーズ』シリーズは非常に精巧に作られていて、エンジン音や車体、レースのタイヤ跡の再現までこだわっています。
しかし、ここはあくまでもオーウェン・ウィルソンのブログ。エピソードや作品考察はマックイーンとオーウェンに絞って、お話ししていこうと思います。
監督ジョン・ラセターから直接オファーされる
オーウェンが『カーズ』に出演したのは、アカデミー賞パーティーの時、ピクサーのアニメーター監督ジョン・ラセターから話しかけられたのがきっかけ。
オーウェンは彼を知らなかったのですが、ラセターと彼の息子は『シャンハイ・ヌーン』を観て、すでにオーウェンの大ファン。
この時ラセターは車の映画を構想中であることを話して、さりげなくオーウェンの気を引こうとしました。
オーウェン:でも僕は、あの会話がオファーとは気づかなかったんだ。
そこで後日、今度はピクサー社がオーウェンに連絡し、『カーズ』への出演を正式に依頼。アニメーションに出演したことのなかったオーウェンは興味を覚え、喜んでオファーを受けました。
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オーウェン・ウィルソンにとっては初のアニメーション映画
『カーズ』はオーウェンが初めて声優を務めた作品です。まろやかでディクションのハッキリした彼の声は声優にもぴったり。
インタビューで、声優活動について尋ねられたオーウェンは肯定的な返事をしています。
オーウェン:とてもおもしろいよ。自分のイメージだけで自由に遊べて、小さな子供にかえった気分になれる。(中略)ごちゃごちゃ問題が起こることなく、頭の中で演じる場面を思い浮かべることができるんだ。
『カーズ』を機にオーウェンは声優の活動もいくつか取り入れるようになり、現時点で『カーズ』シリーズ以外に、3作品に出演しています。
・『ファンタスティック・Mr.フォックス』(2009)− カワウソの体育教師スキップ
・『サーフィン・ドッグ』(2011) − マーマデューク
・『自由の鳥』(2013、日本未公開) − レジー
『自由の鳥』はなぜか日本では公開されていませんが、七面鳥が生きる権利を主張する物語です。
「カッチャウ」はオーウェン・ウィルソンのアドリブ
Photo by ©Walt Disney Pictures
マックイーンの決めセリフ「カッチャウ!」。実はこれはオーウェンのアドリブなんです。
監督:私がオーウェンに、「子どもは想像力豊かで、いろいろな擬音を思いつくよね。稲妻の音って、きみはどんな感じだと思う?」と聞いたんだ。すると、オーウェンはちょっと考えてから「カチャウ! カッチャウ!カチャーウ!」。
あんまりおかしくて、私たちは大笑いだった。あわやせっかくのテイクをダメにしそうなほど笑い転げたんだ。
やっぱり天才は違いますね!「カチャウ!」なんて、どうしたら思い浮かぶんでしょう? マックイーンのイメージにピッタリです。
オーウェンはどんな運転をする?
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オーウェンは「安全運転」のタイプ。インタビューで、「あなたはどんな運転をなさいますか?」と聞かれたオーウェンはこう答えています。
オーウェン:僕は慎重なドライバーだよ。スピード違反なんかしたことないし、乱暴な運転もしたことない。(中略)僕はね、歩行者に優しいドライバーなんだよ。
ちょっと脱線しますが、『トラブル・マリッジ』でオーウェンと共演したマット・ディロンが「俺の運転はハチャメチャなんでね」と話していたのを思い出しました。
あの映画では配役もあべこべだったけど、運転の仕方もまるで反対なんですね。
オーウェンはカーレースについては、「観るのは楽しいよ」と答えています。
🚦あの人も出ていたの?! 豪華な声のキャストたち🚦
オーウェン以外にも、『カーズ』シリーズには「えっ、あの人も?!」と驚く俳優さんが出演しています。
アニメは吹き替えで観る人も多いと思いますが、たまには音声をオリジナル英語にして、字幕でも楽しんでみてください。
ちなみに、車たちの目の色は演じた声優と合わせてあります。マックイーンはオーウェンの目が青いのでブルーで描かれていますね。
ライトニング・マックイーン(声:オーウェン・ウィルソン)
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シリーズ全体の主役。赤い車体と95のナンバーがトレードマーク。最初のうちは一匹狼で、誰にも心を許そうとしないが、ラジエーター・スプリングスに迷い込んだことをきっかけに、内に秘めた心優しい性格が現れてくる。
弁護車サリーと恋に落ち、以後シリーズ最後まで連れ添っている。
1では新人レーサー、2では若き世界レースの王者、そして最後のクロスロードで中年になり、苦悩しながらも第一線を退き、若いレーサーの指導者となる。
サリー(声:ボニー・ハント)
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田舎村ラジエーター・スプリングスに住む女性弁護車。本人の弁によれば、以前は都会で活躍していたものの、忙しさに疲れてこの村で暮らすようになったという。
初めはマックイーンに批判的だが、彼の優しさに気づいて想いを寄せるようになる。特に描かれてはないものの、3作目ではマックイーンの妻の雰囲気。
メーター(声:ラリー・ザ・ケーブル・ガイ)
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ラジエーター・スプリングスのレッカー車。楽天的でいたずら好きなので、騒ぎを起こすこともしばしば。マックイーンの最初の友だち。
2では主役となり、国際的陰謀を解決するスパイの役割を果たす。
ドック・ハドソン(声:ポール・ニューマン)
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ラジエーター・スプリングスの裁判官兼医者。元は有名カーレーサーだったが、大事故で引退を余儀なくされた経験がある。レース界から冷たい扱いを受けたのがトラウマになっていて、レーシングカーには敵意を持っている。マックイーンにも冷たくするが、彼の優しさを知ってからは、熱烈な後援者となる。
登場は1と3。3は回想シーンとして描かれる。
ルイジ(声:トニー・シャルーブ)とグイド(声:グイド・カローニ)
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ラジエーター・スプリングスでタイヤ専門店を経営するイタリア車コンビで、フェラーリの大ファン。初めはマックイーンを「ピストンカップのレーサーでしかない」と軽んじていたが、いつの間にか彼の専属クルーとなる。
フランチェスコ(声:ジョン・タトゥーロ)
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『カーズ2』のみに登場。うぬぼれの強いイタリアのカーレーサーで、マックイーンの良きライバル。サリーが彼を褒めたことで、マックイーンの嫉妬の的にもなる。
クルーズ・ラミレス(声:クリステラ・アロンゾ)
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3作目に登場する若い女性トレーナー。衰え始めたマックイーンのトレーニングを受け持つものの、実践の経験がないためにかえって足をひっぱることに・・・。最後には立場が逆転し、マックイーンは彼女をレースカーとしてデビューさせる。
ジャクソン・ストーム(声:アーミー・ハマー)
Photo by Walt Disney Pictures, disneykids
3作目に登場する尊大な若手レーサー。勝つためなら手段を選ばない。レースでクルーズに抜かれそうになった時は嫌味を言い、ついには反則まで犯して押しのけようとする。
🚦オーウェン・ウィルソンが『カーズ』に出演した経緯まとめ🚦
今回は、オーウェンがマックイーン役を引き受けた経緯を書いただけで、ほとんど作品については触れないままでした。
☑ オーウェンはラセター監督から直々にオファーされ、ピクサーからの連絡で出演を決定した。
☑「実写よりもイマジネーションを大事にできる」声優活動をオーウェンは気に入っている。
☑ オーウェン自身は安全運転派
いつもどおり『カーズ』ももう少し続けます。次回は、オーウェンが作り上げたマックイーンの人物像(?)についてお話しましょう。
つづく➡