実は自殺未遂ではなかった?!オーウェンがヴィンス・ヴォーンに腹を立てている理由とは?
オーウェンが自殺を図り、大騒ぎになった2007年の事件。
この悲劇に関しては、当ブログでも3回の連載にまとめています。
しかし、22年5月思いがけない資料を見つけ、これまでの考えが間違っていたことに気づきました!
☑ オーウェンは救急車で運び出される前にヴィンス・ヴォーンに電話で怒りをぶつけた
☑ 事件前日の夜、オーウェンが同性愛者からレイプされた可能性
☑ オーウェンはヴィンスと弟ルークを、この事件の犯人と確信したフシがある
オーウェンは事件後、決して詳細を話すことはないし、2007年当時から様々な憶測が乱れ飛ぶままになっています。
しかし、今度私が見つけた2つのデータは、オーウェンが自殺ではなく殺人の被害者である可能性を示唆しています。
通話のうち1つめはオーウェンがヴィンス・ヴォーンにかけたもの、2つめが救急車に電話したものです。
かなり長くなりそうなので、本記事ではまずヴィンスとの会話を読み解き、「オーウェンが運び出された時点より前」の経緯を解説します。
次回の記事で救急車との通話を紹介し、この事件を総合的にまとめましょう。
🏡ヴィンス・ヴォーンとの通話が意味するもの🏡
オーウェンに自殺願望があったこと、あの悲劇の生々しい経緯、これらはほぼその通りです。
ただ、「死にたいと思うこと」と「実際に命を絶とうとすること」はまったく違います。
最近見つかった2つの通話内容を見ると、オーウェンが本当に自殺だったのか疑わしくなってきました。
Photo by ©Vox Media, LLC.
ヴィンス・ヴォーンといえば、『ウェディング・クラッシャーズ』や『インターンシップ』でオーウェンと共演した俳優。
クラッシャーズの音声解説では、ヴィンスはオーウェンに優しく接し、『インターンシップ』でも2人はよいコンビを見せていました。
しかし、今回発見したこの通話では映画に見るヴィンスとオーウェンの仲睦まじさはどこにもありません。
明らかにオーウェンは怒りと悲しみで興奮状態にあり、ヴィンスは冷たくはぐらかしてばかりいます。
通話内容の完全訳
以下に綴る通話内容は、英語サイト『The Violater』から私が日本語訳したものです。
途中で電話の向こうから口を挟んでくるウィル・フェレルは、『ウェディング・クラッシャーズ』や『ズーランダー』に出演したコメディ俳優です。
2007年8月26日午前、オーウェンからヴィンスに発信。
ヴィンス(以下、V):やあ、ベイビー!
オーウェン(以下、O):(泣きながら)やあ、ヴィンス…
V:どうした? 元気ないな。
O:ヴィンス! 僕、もうやってやるから!
V︰えっ、何をやるって? (奥からウィル・フェレルの「いいぞ、いいぞ」という声)
O:僕、自殺してやる!
V:ちょい待ち!(黙れ、ウィル!真剣な話なんだ)。なんだい、そんなバカはよせよ。おまえは金になるんだからな。
O:(泣き続ける)ほんと? 本気なの、ヴィンス?
V:当たり前だろ? おまえはマジで金になるんだよ。すっごい稼げるぜ、おまえは!
O:ズーランダー、ウェディング・クラッシャーズ、アダルト♂スクール、ミート・ザ・ペアレンツ、ミート・ザ・ペアレンツ2、シャンハイ・ナイトにロイヤル・テネンバウムズ、トラブル・マリッジ、スタスキーとハッチ、ナイトミュージアムにアルマゲドンに天才マックスの世界、ケーブル・ガイ。金になるって、こういうのに出たことか?
V:おい、『アダルト♂スクール』におまえはいなかったぜ。あれは俺とウィルとおまえの兄弟のルークだったろ。何が言いたい?
O:きみもベンもウィルもみんな才能がある。僕はただの一度もまともに演じられたことがない。それにあのルーク! あいつは僕を嫌ってるんだ。僕の弟なのに、僕をバカにしてる。
V:なあ、おまえは金になるんだよ、本当に! おまえが映画を引っぱる役回りじゃないとしても気にすんな。共演者がすごいスター揃いだからそれで充分さ。ロン・ハワードの兄弟を見ろよ。目立ちはしないが可愛いぜ。おまえもあれと同じさ。(ウィル・フェレルが奥から「オーウェン、大好きだよ!お前が大好きなんだよ!」と叫ぶ声)
O:パーティーでもやってるの?
V:いや、まさか! パーティならおまえも呼ぶに決まってるだろ?(周囲を静かにさせようとする)ウィルがビールを飲みに寄ってるんだ。一緒に野球を見てる。パーティやるなら、おまえを招待しないわけがないじゃないか。
O:そ、そうだね…ごめんよ、ヴィンス。ついカッとなってしまって・・・。きみはいい人だし・・・。ウィルにも謝っておいてくれ。
V:まったく赤ん坊だな、おまえは! 頭を冷やせよ。
ヴィンスはなぜ駆けつけなかったのか?
こんな電話を受けていながら、ヴィンス・ヴォーンはこの後オーウェンに会いに駆けつけた形跡はありません。
事件後もヴィンスは他の俳優陣に比べて影が薄く、11月始めにやっと「オーウェンはちゃんとよくなっている。ニューヨークで見かけたから大丈夫だよ」と述べたのみ。
もちろん家が遠かったのかもしれないし、撮影で忙しかったのかもしれません。
しかし、ベン・スティラーやウェス・アンダーソンはすぐにオーウェンの様子をキャッチしたわけだし、彼らだって忙しいことには変わりないはず。
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親友を名乗るわりには、ヴィンスには心配の色が足りないのではないでしょうか?
会話に見える不自然なやり取り
電話を受けた時のヴィンスの受け答えを読んで、ちょっと変と思いませんか?
逆上した友人が「自殺してやる!」と言ったのに、「おまえは金になるから、やめておけ」などと返すものでしょうか?
ヴィンス・ヴォーン
オーウェンの発言にさほど驚いたようにも見えません。ウィル・フェレルが口を挟んでくると、「真剣な話なんだ」と黙らせていますが、そのわりには温かい言葉一つ口にしませんよね。
しかも、この会話でヴィンスは嘘をついているように思えて仕方がありません。
彼は「パーティーではない」と言いながら周囲を黙らせようとしていますが、これはちょっとおかしいのでは・・・。
オーウェンは明らかに腹を立てていて、怒りの矛先はヴィンス本人に向けられているように思えます。
でも、なぜ?
ヴィンス・ヴォーンはオーウェンに言い寄った?
ここで引っかかるのが、時たまオーウェンとヴィンスが「カップルであるかのように」言われること。この通話内容を載せていたブログでも、「ゲイのパートナーとして噂されたこともある」と書かれています。
勘違いしないでくださいね。
オーウェン本人は完全なノーマル(つまりゲイの気がない)です。
Photo by ©notrecinema
当然のことながら、ノーマルの人間にとって同性愛を迫られるのは大変苦痛なことです。
たぶん間違いないと確信しているから書きますが、ヴィンスはオーウェンに気があったのではないでしょうか?
ヴィンスはこの通話でオーウェンに「ベイビー」と呼びかけていますね。そういえば、彼は映画のアドリブでもしばしばオーウェンとなるべく近づこうとしている様子が見られます。
オーウェン自身はもともとヴィンスに気を許していない
2006年頃のインタビューで、オーウェンはこんなことを言っています。
オーウェン:よく「あなたとヴィンスは息がぴったり合っていますね。エディー・マーフィーとは全然だめでしたけど」なんて言われるんだ。でも、そんなことはない。エディーとはとてもいい仕事ができたし、僕たちは大笑いしてすごく楽しい時間を過ごしたんだ。
オーウェンの性格を知る者なら、この発言で「ヴィンスとは他人が思うほど仲が良くない」と分かります。
実際『ウェディング・クラッシャーズ』でも『インターンシップ』でも、オーウェンはヴィンスにあまり心を開いていません。思えば、『クラッシャーズ』の音声解説ではオーウェンはほとんど本音を言えず、萎縮したままでした。
逆に『アイ・スパイ』で組んだエディー・マーフィーとは非常にリラックスしていて、自然体のオーウェンを見ることができます。
エディ・マーフィーとオーウェン(『アイ・スパイ』より)
Photo by ©Sony Pictures Entertainment
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もしかしたら、オーウェンは『クラッシャーズ』の頃からヴィンスの恋愛感情にうすうす気づいていたのかもしれませんね。
オーウェンはヴィンスにはちょっと冷たい態度を取ったり、明らかに警戒心を見せることがありましたが、今となっては理由がわかる気がします。
🏡状況を元に事件の仮説を立てる🏡
さて、ここでいくつか仮説を立てて、事件を整理してみましょう。何だか探偵のマネごとをしているみたいですが、私は真剣です。
まず、ヴィンス・ヴォーンがオーウェンに同性愛的な感情を抱いていたと仮定します(もし違った場合は彼に深く謝罪しますが・・・)。
事件の前夜に見知らぬ男たちがオーウェンの家に忍び込んだ?
次に思い出されるのは、以下の2つの事実。
1.事件の前日、オーウェンはある男友達に激怒して家から叩き出した。
2.同じく前日の夜更け、オーウェンの隣人は「ガラの悪い2〜3人の男がオーウェンの家に入っていき、しばらく中にいた」と証言している。
オーウェンが腹を立てて追い出した友達が誰かは判明していません。しかし、2のほうはちょっと不気味に感じませんか?
※イメージ画像
オーウェンはもともと夜にパーティを開くことはないタイプで、そのことは近所の人がはっきり証言しています。
だからこそ、「夜更けにガラの悪い男たちがオーウェンの家に入っていく」のを見て、隣人は不審に思ったわけです。
なぜオーウェンはヴィンスに電話したのか?
ヴィンスとの電話までの流れを見ると、
❶オーウェン、事件前日にとある男友達と大げんかする⇒❷同じ日の夜更け、2~3人の男がオーウェンの家に入っていくのが目撃される⇒❸翌日26日の昼近く、オーウェンはヴィンスに怒りを込めた電話をかける
なぜ、オーウェンはヴィンスに電話をかけたのでしょうか?
※イメージ画像
自殺宣告ではありません。会話をみるかぎり、この時のオーウェンは「本当に死ぬつもりではなかった」と思います。
「自殺してやる!」は、悲しみと怒りに任せて怒鳴り散らした言葉。しかし、そうであっても軽々しく使うはずのない言葉ですから、この発言の裏にはそうとう深刻な事情があったと考えるべきです。
ズバリと核心を突くなら、オーウェンはヴィンスを何らかの加害者だと確信して電話したのではないでしょうか。
オーウェンの怒りは弟ルークにも向けられている
ヴィンスとの会話で、オーウェンは極度の興奮状態にはあっても冷静な判断をなくしてはいません。これも自殺説を否定する有力な証拠になるでしょう。
たくさんの出演作品をまくしたてる中に『アダルト♂スクール』を混ぜ込み、ルークの名前を出させるあたりは、しっかり計算(?)を感じます。
オーウェンがルークにも腹を立てているのは間違いありません。
あまり悪口を言いたくはないのですが、ルークは【本来オーウェンのための役】を何度も横取りした疑いがあります。
例えば、アンダーソン映画の
・『アンソニーのハッピーモーテル』のアンソニー
・『ロイヤルテネンバウムズ』のリッチー
は、どちらも本当ならオーウェンが演じるはずの役でした。
ルーク・ウィルソン
Photo by Steve Granitz - © WireImage.com
ウェス・アンダーソンもルークの度重なる割り込みには腹を立てたらしく、『テネンバウムズ』を最後にルークの起用を打ち切っています。
通話の中で『アダルト♂スクール』を出したのは、「この映画もルークに取られた」とほのめかしたうえで、ルークの自分に対する仕打ちを言いたかったからでしょう。
オーウェンが高校時代に教師のイジメを受けた時も、ルークはまったく庇ってやりませんでした。
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仮説を立てると【集団レイプ】の可能性が浮かび上がる
さて、ここまでの材料を集めてパーツを組み立ててみます。
ここまでに分かった事実を並べると、
❶オーウェンのセクシュアリティは完全なノーマル(=ゲイの気がない)
❷ヴィンス・ヴォーンはオーウェンに気があったかもしれない
❸オーウェンはヴィンスに警戒しているふしがある
❹弟ルークはオーウェンに親切とは言い難い
❺事件前日の25日、オーウェンは男友達と大げんかして、家から叩き出している
❻同じ日の夜更け、ガラの悪い男2~3人がオーウェンの家に入るのを目撃されている
❼翌日26日の午前中、オーウェンはヴィンスに怒りの電話をする
これら全てが矛盾なく収まる事件の性質を考えてみてください。同性愛者によるレイプ事件が浮かびませんか?
Photo by ©Meredith Corporation.
この仮説で組み立てると、事件は↓こんなふうに起きた可能性もあります。
❶25日、男友達Xが告白してオーウェンを激怒させる
❷腹を立てたXは仲間を連れ、夜中に忍び込んでオーウェンをレイプ
❸オーウェンはよく顔が見えなかったものの、忍び込んだ男たちの中にヴィンスとルークの面影を認めて電話する。
「突拍子もない!」と反対されそうですが、オーウェンの性格を考えれば自殺よりレイプ事件のほうがずっと現実的です。
🏡まとめ:オーウェンが運び出される前に起きた出来事に注意を向けるべし!🏡
今回はオーウェンが運び出される前に起きた出来事について整理してみました。
☑ オーウェンは救急車で運び出される前にヴィンス・ヴォーンに電話で怒りをぶつけた
☑ 事件前日の夜、オーウェンは同性愛者からレイプされた可能性がある
☑ オーウェンはヴィンスと弟ルークを、この事件の犯人と確信しているように見える
繰り返しますが、今回新しく通話の記録が見つかったことで、2007年の事件を自殺と考えるのは不可能になりました。
今回紹介したヴィンス・ヴォーンとの電話内容に加え、7分後にはオーウェン自ら救急車を呼んでいるのですから…。
救急隊員との通話内容とそこから見えてくるものに関しては次の記事でお話ししますね。
つづく→