『トラブル・マリッジ』をめぐるトラブルと意外な共演者たち
『トラブル・マリッジ』8記事め! 何と『アー・ユー・ヒア』の解説シリーズと同じ長さになりました。
今回は、
・『トラブル・マリッジ』公開前のちょっと不気味な事件
・本作に登場する見逃せない共演者たち
についてお話しし、シリーズを締めくくろうと思います。
🧸デュプリーの名を巡って脅迫される🧸
Photo by movienosuke
『トラブル・マリッジ』を脚本家とともにストーリーを練り上げたオーウェン。基本的には平和に進んだ映画製作でしたが、ちょっと気味の悪い出来事も起きました。
「デュプリーの名は俺たちの歌に出てくる」?! 真偽不明の主張
映画の公開間近になって、あるロックバンドからオーウェンに脅迫の手紙が舞い込みました。
「デュプリーという名前は元々俺たちが作った歌の中に出てくるんだ! 俺たちをプレミアに招待して、ちゃんと謝罪しろ!」
この手紙は、あるホテルのレターセットを使って書かれ、オーウェンの弟ルークを介して届けられたそうです。
このバンドの目的は何だったんでしょう? オーウェンから金品でも巻き上げるつもりだったんでしょうか。
ルークを通して手紙を送ったのも奇妙です。あるいは彼も何か一枚噛んでいたんでしょうか?
ルーク・ウィルソンのファンには申し訳ないのですが、どうも彼は信用ならないんですよね…。
理由は↓この記事をご覧ください。
オーウェンはあっさりと敵を一蹴
オーウェンはこの手紙を冷静に受け取り、返信を送りました。
「あなたたちの歌にデュプリーが出てくるのは聴いたことがありません。そんな歌が存在することは知りませんし、映画の名前はそのままにさせていただきます。」
脅しをあっさり払いのけ、無事に映画は公開できました。
オーウェンの返事は冷静でありながら、ピシャリとはねつける雰囲気があって痛快です。
しかしロックにものすごく詳しいオーウェンに対して、こんなデタラメの脅迫をするとは呆れます…。
🧸興味深い出演者たち🧸
『トラブル・マリッジ』にはカメオ出演も含めると、なかなか豪華な人材が揃っています。
『氷の微笑』で有名なマイケル・ダグラス
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
「えっ、あのマイケル・ダグラス?」。そう、あのマイケル・ダグラスです。
『氷の微笑』で主役の刑事を演じ、その他にもシリアスな役柄で知られていますね。
そんなダグラスのここでの役柄は、モリー(ケイト・ハドソン)の父親トンプソン氏。
ダグラス:私はあまりコメディを演じる機会はなくてね、このオファーは嬉しかったよ。私が演じるのは、妻を亡くして、娘を溺愛している男の役だ。娘は困ったことにカールと結婚してしまう。私が演じる父親は、義理の息子を重箱の隅をつつくようにチェックするんだ。演じるのはとても楽しかったよ。
ストーリーで面白いのは、トンプソン氏がカール(マット・ディロン)には冷たいのに、デュプリーには好意を見せるところ。
トンプソン氏は自分の気に入った人を釣りに誘うタイプ。カールを誘ったことは一度もありません。しかし、デュプリーに会うと初対面で「私の船で釣りに行かないか?」。
カールがデュプリーの首を絞めようとすると、カールを殴りつけ、モリーと一緒に付き添ってデュプリーを病院に連れて行ってやるほど親切。
カールとトンプソン氏の関係については、カールにも大いに問題があると思います。
氏はカールを気に入らないながらも、それなりに可愛がろうとしています。カールがいちいち反抗的なのが悪いんですよ。
ところで、デュプリーが天井から落ちてきた時、びっくりしたトンプソン氏が一瞬カンフーのポーズをとるのは謎。
リゾート開発社の社長のはずなのに、とっさに武術の構えをするって、よく考えると謎の人物でもあります。
セミナーで名乗るのはオーウェンの叔父さん
映画のラスト、デュプリーが自分らしさを大事にするようにと説くセミナーのシーン。
動画の1:22あたりで、
デュプリー:そこの白髪の紳士、あなたの名は?
紳士:ジョー。
デュプリー:違う! ジョーネス(ジョーらしさの意)だ!
この白髪の男性は何と、オーウェンのおじさん! 名前も本名です。
しかし、名前を聞いて「違う!」って反応するとは笑えます。
聞いているジョーもいかにも納得したように頷くので、ますます面白いです。
自転車のファンは必見! ランス・アームストロングも登場!
Photo by ©︎BBC
私はスポーツにはまったく疎いので、この映画で初めて知ったのですが、自転車レーサーのランス・アームストロングもカメオ出演しています。
映画のテレビで何度かアームストロングのレースシーンが映り、カールの妄想シーンではなぜかデュプリーの小人シャツを着て現れます。
エンドクレジットが終わったあとも数秒間登場し、デュプリーの本を読んで感銘を受けている様子が映ります。
彼のファンは映画が終わった後すぐにテレビを切らないように!
🧸『トラブル・マリッジ』解説シリーズまとめ🧸
今回で『トラブル・マリッジ』解説シリーズは完結となります。
2021年の春、まだブログに不慣れな頃に書いてそのままだったので、今回は大幅なリライトになりました。
内容自体はそのままですが、構成は大幅に変えています。
まとめに各記事の概要をさっと紹介しておきますね。
1.『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物(キャスト)
本作の概要を書いたものです。この映画をまったくご存じない方は、この記事から読むと楽しめると思います。
2.デュプリーとカールの設定があべこべ!
本作ではデュプリー(オーウェン・ウィルソン)とカール(マット・ディロン)の立場や言動が噛み合わず、ストーリーに齟齬をきたしている部分が見られます。
「どのシーンが不自然か?」を挙げながら、撮影上の混乱について解説しました。
3.意外に危険なコメディ
本作で主役を演じたオーウェン・ウィルソンにとっては一、二を争う危険な撮影でした。
4.映画に出てくるちょっと面白い風習
ドアノブにネクタイがかかっていたら、何の意味でしょう? 本作にはこの風習が原因で起こる騒ぎが出てきます。
5.主人公デュプリーのモデルは子犬
映画の製作過程を、オーウェンにスポットを当てて書きました。
6.デュプリーはお邪魔虫ではない
「史上最大のお邪魔虫」というキャッチコピーを信用してはいけません。根拠をこちらにまとめています。
7.デュプリーと演じたオーウェンの共通点
これはオーウェンのファン向けになるかもしれませんが、「演じた俳優の人柄がどの程度役柄に反映されているか?」を解説したものです。
最後に余談を1つ
オーウェンは『エネミー・ライン』と『ズーランダー』を並行したように、全く性質の異なる役柄を掛け持ちすることがあります。
実はこのデュプリーもある映画とほぼ同時に撮っています。それは『ナイト・ミュージアム』のジェデダイア!
Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.
キザな男性モデルのハンセルと敵地の追撃を生き延びるバーネット大尉を演じ分けたほどの違いはないにせよ、子供のように無邪気なデュプリーと西部の荒くれ男ジェデダイアを両立できるとは、やはり演技力を感じますね…。