『アイ・スパイ』お人好しアレックスの恋の顛末|オーウェンもエディも歌の告白シーンを嫌がった
テレビドラマのリメイクとして製作された映画『アイ・スパイ』。
ここでは本作のちょっと変わったロマンスシーンについて、自由にお話しします。
・歌で口説くシーンはオーウェンもエディも嫌がった
・オーウェンはお人好しだから、現実でもレイチェルに引っかかるかもしれない
あらすじと登場人物は↓こちらに載せてますので、よかったらご覧ください。
✈️オーウェンもエディも拒否! 歌を嫌がった理由は?✈️
Photo by ©︎Columbia Pictures Industries, Inc.
レイチェル(ファムケ・ヤンセン)に恋するアレックスを助けるため、プレイボーイのケリーがスパイ道具を利用して口説き方を指南するシーン。
ケリーが歌い、アレックスはそれを繰り返してレイチェルに想いを伝えて、何とも珍しい場面に仕上がっています。
このシーンでは、監督と主役2人の間に議論が持ち上がりました。オーウェンもエディも初めは歌を拒否したのです。
監督:二人を説得するのは骨が折れたわ 。午前中いっぱいせっせと頼み込んで、やっとエディが歌い、オーウェンはそれを歌わずに言葉で繰り返すことで話がついたの。
もちろん、嫌がった理由はそれぞれに違っていました。
エディ・マーフィーの言い分
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エディの拒絶理由は単純に、「この手の歌はしょっちゅう歌ってるから、もうたくさんだ!」。
俳優業としての傍ら、いつの間にか歌手としても活躍していたエディーにとっては、いいかげん歌うのに飽きが来ていたよう。
エディーが歌手として活躍していたのは初耳でしたが、5枚ほどアルバムを出しているようですね。
さて、説得されてしぶしぶ歌ったのが↓こちら。19秒あたりから歌いだします。
オーウェン・ウィルソンの言い分
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一方、オーウェンのほうはもう少し事情が混み入っています。
建前上は「僕は歌が下手だからダメだ」と断ったのですが、これは言い訳でしょう。
『アイ・スパイ』より後の制作とはいえ『スタスキー&ハッチ』や『ミート・ザ・ペアレンツ2』では歌声を披露しているのですから。
・『スタスキー&ハッチ』で歌うオーウェン
どう聴いても下手ではありません。それどころか、とても優しい声で、心地よい歌い方だと思いませんか?
彼が嫌がったのは、おそらく歌の内容。
『ミート・ザ・ペアレンツ2』での歌は結婚式の祈り、『スタスキー』は喧嘩した恋人と仲直りを求める歌。
ところが、この『アイ・スパイ』では歌詞がきわどく、かなり下品!
ケリーのイメージに合わせた選曲なのでしょうが、上品なオーウェンにとっては恥ずかしかったのでは…。実際、このシーンでのオーウェンは明らかにイライラしています。
ちなみに、求愛の言葉を受け入れたレイチェルがふざけ半分にアレックスをベッドに放り投げるのも監督のアイディア。
ちょっと、監督! オーウェンは肩を脱臼したことがあるんですよ!!! 乱暴にしたらまた肩の骨が外れるかもしれないのに・・・。
✈️お人好しなアレックスはオーウェンそっくり✈️
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真面目で頭がよく、権威に屈さない誇りを持つアレックスの性格は、オーウェンの中にも見いだされます。
そして恋愛における騙されやすさも*1。アレックスは夢中になると、ひたすらヒートアップして相手を崇め奉る傾向がありますが、これは現実のオーウェンも陥りやすいものです。
二重スパイのレイチェルに首ったけ
アレックスは二重スパイのレイチェルに想いを寄せた挙げ句、散々な目に遭わされます。
ちょっと見れば怪しいのは分かるでしょうに…と思ってしまいますが、気づかないのがオーウェンらしいです。
ブダペストの屋敷に潜入する時にレイチェルの運転を褒めるセリフや、気持ちが昂ぶってランプをソワソワと引っぱる仕草はオーウェンのアドリブで、彼らしい奥手な雰囲気がよく出ています。
悪人と分かってもまだ未練を残す
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ラストで逮捕されたレイチェルが、最後のなけなしの武器として放つ一言、
「アレックス、ギリシャで張り込みをしない?」
たいていの映画なら、ここで誘われた男は馬鹿にするか、腹を立てるか、いずれにしてもキッパリ断る展開になりますよね。
ところが、このアレックスときたら誘惑に負けそうになり、ボーッと彼女に見惚れてしまいます! 業を煮やしたケリーから叱られて、やっと目を覚ます有様。
しかも、断り文句もケリーに言わされてる状態ですから、苦笑せざる得ません。
何というか、映画でもなかなかレアな光景でした。
✈️まとめ✈️
よく考えると、あまりにもシャイで告白もできないという設定そのものがスパイものでは珍しい気もします。ジェームズ・ボンドなんか1作で何人も相手にしますから。
アレックスの告白を助けるためにスパイ道具を活用するのも、笑えますね。
でも何と言っても珍しいのは、やっぱりアレックスのお人好しぶり!
いくら好意を寄せていても、あれだけ拷問されて、何度も騙されたら気持ちが冷えそうなもの。なのに、最後の最後まであの調子ですからね…。
いろいろな意味でオーウェンらしい1作です。
・『アイ・スパイ』関連記事
*1:ここからの記述は21年の春、最初にアップした時と大きく変更しています。オーウェンの性格をさらによく知った結果、アレックスの騙されやすさも彼そのものと気づいたためです。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』vol.1とvol.2を鑑賞|アライグマのロケットが可愛い
5月3日に公開されて、SNSでも大絶賛中の新作マーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.3』。
実は私、映画ブログを運営していながら1度も映画館に入ったことがないんですよね…。でも、『ガーディアンズ』の3作目は、できれば観に行きたいと思っています。
ここでは3作目への期待を込めて、過去の2作の感想をまとめました。
🚀『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.3』の予備知識🚀
Photo by ©︎MARVEL STUDIOS
昨今は有名俳優の顔を使った悪質な新作が多く、『ロキ』の件もあって私は特にマーベルを嫌ってきました。
しかし今回は何と、マーベルから久しぶりに真実の映画が出ました! それが『ガーディアンズ』の3作目!
あちこち情報を見て、「これは久々のマトモな映画!」と、嬉しくなりました。
ロケットが主役になる?
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Twitterやマーベルの公式宣伝を見ると、3作目の主役はロケット(声:ブラッドリー・クーパー)だそう。
ブラッドリーが声を当てていることを知ってシリーズに興味を持った私としては、最高に嬉しいです!
シルヴェスター・スタローンも登場する
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2作目でラヴェンジャーズの上官スタカーを演じたシルヴェスター・スタローンが3作目でも同役で戻ってくるそう。彼も大好きな俳優さんなので、また観られるのは嬉しいです。
前作の出番はほんの少しだったけど、今度はどのくらいなのか…。
🚀『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』過去2作を鑑賞🚀
Photo by ©︎MARVEL STUDIOS
SNSでとても話題になっている、今回の3作目。1作目と2作目を調べてみると、それぞれ2014年・2017年に公開されていたんですね。
Amazon primeに両方ともレンタル配信されていたので、一気に観ました。
全体の感想
俗に言うアメコミ映画なので、いかにもゲームっぽい感じですね。人造人間や怪物がウヨウヨいるのはちょっと気持ち悪いところもありました。
でも、テンポ良く話が進むし、登場人物のギャグもカラッと明るくて楽しかったです。
物騒な雰囲気の時に急に楽しいロック音楽が流れたり、音楽を聞きながら戦ったりするのもギャップが笑えます。
私が過去に観たこの手の映画の中では、いちばん楽しめました。
クリス・プラットがちょっと…
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ファンの方には申し訳ないのですが、私にはクリス・プラットがちょっと地味に感じました。ピーターは主人公なんだし、もうちょっとインパクトある俳優のほうが…。
とは言っても、手抜きしているわけでもなし、適材適所の演技を見せてくれるのですから、文句を言っちゃいけませんね!
ブラッドリー・クーパーのロケットが最高!
Photo by ©︎MARVEL STUDIOS
このシリーズ最高の魅力は、やっぱりブラッドリーが声を当てたロケットです!
CGを駆使したフサフサの体毛に包まれた可愛いアライグマで、ブラッドリーの仕草を取り入れて描画されています。おかげで、「ブラッドリーがアライグマに変身したのか」と思うほど彼そっくり!
性格もブラッドリーに似せて作られているようです。
ロケットは口が悪いけど心根は優しく、マシンガンやトラップを手際よく使いこなします。グルート(木を擬人化したキャラクター)がバラバラになった時は小枝を集めて植木鉢に入れ、見事に再生させました。
何をしても愛らしくて、シリーズで最も好きなキャラクター!
シルヴェスター・スタローンの存在感
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2作目にラヴェンジャーズの上官スタカー役で登場するスタローンもよかったです。
出番はほんの僅かながら、画面に現れただけで漂う大物の存在感はさすが! 良識的で秩序を重んじるスタカーの性格も、スタローンにぴったりなところ。
エンドロールの途中に挟まれる、ラヴェンジャーズ再結成シーンで「じゃ、ひと暴れするか?」と、彼らしいユーモアを見せるのも好きです。
🚀『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』まとめ🚀
Photo by ©︎MARVEL STUDIOS
このシリーズを観ると、「以前はマーベルもちゃんとした作品を作っていたのよね」と痛感しました。
遡ると、話題になった『X-MEN』シリーズもマーベル製作だし、『アベンジャーズ』シリーズもかなりヒットしています。
今回の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.3』をきっかけに、マーベルがまた良い方向に戻ることを願ってやみません。
とにかく、今は新作のロケットちゃんをブラッドリーの声で鑑賞したいですね!
『アイ・スパイ』(2002)あらすじとキャスト
『アイ・スパイ』はテレビドラマをリメイクした映画。オーウェン・ウィルソンとエディ・マーフィーが主演を務め、ファムケ・ヤンセンが共演しました。
Photo by ©︎Columbia Pictures Industries, Inc.
・公開:2002年
・ジャンル:コメディ、アクション
・時間:96分
・出演:オーウェン・ウィルソン、エディ・マーフィー、ファムケ・ヤンセン他
なぜか異常に低い評価を受ける映画の1つ。映画評論サイトなどを見ると、呆れるほど口汚く罵られています。
もしかしたら、原因はジャンルが【アクション】となっていることかもしれません。
確かに、007や96時間シリーズのようなアクションを念頭に置いて鑑賞すると拍子抜けするでしょう。
下手なジャンル分けをすると、好みの違う客層を集めてしまうので、困りものですね…。
『アイ・スパイ』はアクションよりも友情コメディがテーマ。物語の主軸は、性格のまったく違うアレックスとケリーが大喧嘩を繰り返しながら仲良くなっていく過程です。
私は『アイ・スパイ』が大好き! 何を観ようか迷った時など、とっさに手に取って楽しむ映画です。
評論サイトの点数は脇において、皆さんもぜひ自分の目で観て、本作を楽しんでください。
スパイ要素と笑い、友情が融合した楽しめる映画ですよ!
✈️『アイ・スパイ』あらすじとキャスト✈️
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本作は2002年の公開。今では一般的なアメリカのステルス機能付の戦闘機も、この映画では試作段階として描かれています。
アメリカから盗まれた試作品のステルス機を、エージェントのアレックスと無敵ボクサーのケリーが取り戻すために奮闘する…というのが大筋です。
あらすじ
試作品のステルス機【スイッチブレード】がアメリカから盗まれた。エージェントのアレックス(オーウェン・ウィルソン)は、機械がロシアを経由してハンガリーのガンダース(マルコム・マクダウェル)の手に渡ったことを突き止める。
アレックスはエージェントとして有能にも関わらず、日常はツイてないことばかり。職場ではまともなスパイ道具ひとつもらえない陰湿なイジメをされ、どう見ても無能なエージェント・カルロス(ゲイリー・コール)が威張り散らすのにイライラを募らせる。
さらには、アレックスは同僚のタフな女性エージェント・レイチェル(ファムケ・ヤンセン)に恋をしているのに、内気な性格ゆえに告白できずにいるありさま。
上司はステルス機を取り戻すため、アレックスとレイチェルをブダペストに送り込むことにする。ガンダースの警備突破のため、上司は無敵ボクサーのケリー(エディ・マーフィー)も計画に引っぱり込んでいた。
アレックスとケリーは行動を共にすることになるが、アレックスはわがままなケリーに我慢ができず、初対面から2人はぶつかり合う。
しかし、協力するうちに2人はだんだん仲良くなり、気づけばアレックスはケリーに恋の悩みを相談するまでになる。
打ち解けた2人はステルス機を取り戻すべく奮闘するが、敵の動きに不審なことが多く、何とレイチェルが二重スパイであることが発覚して…
主な登場人物(キャスト)
ストーリーで重要なのは5人。主人公のエージェント・アレックスとボクサーのケリーのコンビ、アレックスの同僚のレイチェルとカルロス、そしてステルス機を盗んだ犯人ガンダースです。
アレックス(オーウェン・ウィルソン)
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主人公のエージェント。無邪気で真面目、有能なエージェントなのに職場ではイジメに近い扱いを受けている。
軟弱ではないので、使えないスパイ道具ばかり渡された時はカルロスの道具をくすねて鬱憤を晴らす。
仕事仲間になったケリーのわがままに負けじと言い返す意地もあり、時には強硬手段に訴えたり、なかなか強気なところも。
同僚のレイチェルに恋していて、彼女が悪者と判明した後も未練を残す。
ケリー(エディ・マーフィー)
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57戦全勝の無敵ボクサー。自惚れで女好き、いつも騒々しいワガママ男。ステルス機を取り戻す手伝いを頼まれてアレックスと組む。
はじめはアレックスを馬鹿にした態度を取るが、喧嘩を繰り返すうちに仲良くなり、いつの間にかアレックスの恋の相談役にもなる。
レイチェルの正体が判明し、彼女がアレックスを虐待した時には当人よりも腹を立てた。ラストでは、まだ彼女への未練を残すアレックスを守り、レイチェルを逮捕させる。
レイチェル(ファムケ・ヤンセン)
Photo by ©︎Columbia Pictures Industries, Inc.
アレックスの同僚のエージェント。実は二重スパイで、敵のガンダースに雇われている。
自分の利益のためなら他人を傷つけてもかまわない性格。アレックスのことは好ましく思っているが、終盤では情報を得るために彼を拷問する。
雇い主のガンダースと手下たちを撃ち殺し、ステルス機の代金を横取りしようとするも、アレックスとケリーに見つかって失敗。刑務所に送られた。
カルロス(ゲイリー・コール)
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アレックスの同僚エージェント。職場ではなぜか高待遇で、いつも威張りくさっている。髪をポニーテールにして、キザな態度を自慢にしているが、終盤で付け毛であることがバレる。
レイチェルとつるんでいる節があり、ステルス機のお金を狙っているような発言をしたり、かなりいかがわしい。
ガンダース(マルコム・マクダウェル)
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
違法なハンガリーの武器商人。ボクシング好きで、ケリーとハンガリーのボクサーの試合を企画する。
盗んだステルス機で金儲けしようとするが、自分で雇ったレイチェルに射殺される。
✈️『アイ・スパイ』概要まとめ✈️
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本作はスパイものとは言え、メインの物語はアレックスとケリーの友情物語。『アイ・スパイ』に、96時間シリーズのような本格スリラーを求めてはダメです。
これをアクションとしてジャンル分けしたのは罪だと思います。コメディとして売り出せば、『アイ・スパイ』ももっと高評価を得られたかもしれないのに。
この映画は友情コメディであり、アクションやスパイは物語に華を添える存在に過ぎません。
しかし、笑いとスパイ要素を融合したストーリーはオリジナリティに溢れ、他では味わえない独特の面白さがあります。
オーウェン・ウィルソンとエディ・マーフィーの2大スターが織りなすコメディを存分に楽しんでください!
映画そのものの考察は別記事にまとめていますので、併せてどうぞ。
・『アイ・スパイ』関連記事
マックイーンがクルーズにレースを譲るのはオーウェンのアイデア|『カーズ/クロスロード』の魅力
ついに、『カーズ/クロスロード』まで来ました。
最終回の内容は
☑『クロスロード』の印象的なシーン
☑ マックイーン歌うズンバの製作エピソード
☑ オーウェンが変更したラストシーン
言うまでもなく、オーウェンらしさが発揮された名作です。
🚦『カーズ/クロスロード』に見るオーウェンらしさ🚦
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『カーズ2』がスパイアクション系に傾いていたのに対し、『クロスロード』では再びマックイーン個人の物語。
結末は1作めと同様、オーウェンらしい優しさが描かれています。
ズンバを歌うのを嫌がった?
トレーナーのクルーズは準備運動にズンバを取り入れる現代人。
マックイーンはこの踊りを嫌い、クルーズのトレーナーとしての腕の悪さにもイライラして、ついには怒鳴りつけてしまいます。
しかし映画の中盤には、マックイーンがクルーズに詫びるためにズンバをしてみせるシーンが出てきます。
さて、このズンバシーンはオーウェンにとってかなり苦痛でした。彼はマックイーンと同じで、この手のダンスはとても苦手。
ズンバ収録時にはかなり縮こまってしまい、やっと投げ縄を投げるような仕草をしながら歌いました。
そばで見ていた製作者たちは、
「オーウェンは恥ずかしがったあげく、見えない投げ縄を操りながら歌うのが面白かった」
と、言っていました。
オーウェンは本当に「歌もダンスも下手」なのか
オーウェンはもともと自分で「歌やダンスが下手」と言っています。
でも、『スタスキー&ハッチ』などを聞いた感じでは、オーウェンの歌は決して下手ではありません。声は細めだけど、心地よい歌い方でチャーミング。
・関連記事➡『アイ・スパイ』で歌うのを嫌がったオーウェン
『ホールパス』
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一方ダンスは『ホールパス』や『スタスキー』にディスコシーンがありましたが、ちょっとぎこちない印象。
『スタスキー』ではベン・スティラーが華麗なダンスを披露し、圧倒的な差をつけられています。
『ウェディング・クラッシャーズ』でも、ステップの踏み方でヴィンス・ヴォーンに負けているので、「踊りが苦手」というのはオーウェンの自覚通りみたいですね。
オーウェンの人生を彷彿させるマックイーンのクラッシュシーン
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物語が始まってしばらくして、マックイーンが若手の車に負けまいとふんばった挙げ句にクラッシュするシーンがあります。
事故そのものも確かに衝撃的ですが、よけいショックなのは周囲を走りまわる若手のレースカーたち。何と、マックイーンが何度も横転して倒れたのに、彼らはゴールを目指してそのまま走り去っていくのです!
若い頃のマックイーンはキングが倒れた時、勝利を放棄して助けました(キングを助けるマックイーン
しかし、『クロスロード』でマックイーンが怪我をした時、心配してくれるレーサーはいないのです。
1作めでドックが語っていたレース界の冷たさがこのシーンの背景にそのまま描き出されていますね。
マックイーンもオーウェンも周囲から愛されているのが強み!
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いっぽうで、マックイーンがサリーや友人たちから温かく回復を見守ってもらえたように、オーウェンも多くの人から愛されているのは事実。
例えば2007年にオーウェンが自殺未遂(事件の真相はまだ不明なところも多いですが)を起こした時、ベン・スティラーやウェス・アンダーソンのような親友は心から同情を寄せ、力になろうとしました。
・関連記事
誰よりも理不尽な仕打ちを受け、誰よりも愛される。どんな人生にも矛盾はあるとはいえ、オーウェンの場合は両極端で波が激しいようです。
感動的なラストはオーウェンの提案
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『クロスロード』初期のストーリーボードには、マックイーンが訓練の末にパワーを取り戻し、ストームを相手に見事な勝利を手にする様が描かれていました。
しかし、オーウェンはこれを気に入らず、マックイーンが途中でレースをクルーズに譲ることを提案。
これが採用されて、映画は仕上げられたのです。
自分のプライドをかけた最後のレースであったにも関わらず、クルーズにレーサーになるチャンスを与える展開は、心優しいオーウェンらしいアイディア。
製作者:だから、マックイーンがピストンカップで優勝するシーンがシリーズに1つもないんだよ。
ピクサーのスタッフは苦笑していましたが、オーウェンの性質にはこの結末のほうが合います。
マックイーン:僕がきみにチャンスをあげられるチャンスはこれが最後なんだ。
代走を遠慮するクルーズを、マックイーンはこう言ってレースに連れていきます。クルーズはストームの執拗な妨害を受けながらも、マックイーンの的確な指示に従って走り続け、見事に優勝を飾ることに。
1作目のキングを救うシーンに匹敵する、オーウェンらしい心温まるラストです。
エンディングでマックイーンとクルーズが寄り添いながら走るのも微笑ましくていいですね。
🚦『カーズ』シリーズは大人におすすめの素晴らしいアニメ🚦
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アニメには珍しいほど深みのある物語に仕上がった『カーズ』シリーズ。子供ももちろん楽しめますが、内容の良さはむしろ大人になってからのほうが味わえる、奥行きのあるストーリーです。
数多いピクサーのアニメの中でも、『カーズ』は特に秀でているシリーズでしょう。
擬人化された車の世界というのはユニークで面白く、そこにオーウェンらしいアイデアがたっぷり込められて、近年最高のアニメに仕上がっています。
・『カーズ』シリーズ解説一覧
『カーズ2』マックイーンとサリーの関係はどうなる?
『カーズ』の1作めラストで交際を始めたマックイーン(声:オーウェン・ウィルソン)とサリー(声:ボニー・ハント)。
ただ、このカップルは実はあまり上手くいってないように見えます。マックイーンはサリーを大事にしているのに、サリーは浮ついて蓮っ葉。
この記事では、【マックイーンとサリーのロマンスの行方】についてまとめてみました。
サリー(左)とマックイーン
Photo by Pixar/Disney
2人(2車?)は『カーズ』で知り合い、『カーズ2』では交際中、そして『カーズ/クロスロード』では結婚…ではなく、既に関係がフェードアウトしている感じです。
彼らの関係において、危機となったように思えるのが『カーズ2』でのフランチェスコをめぐるエピソード。
Photo by Pixar/Disney
・公開年:2011年
・ジャンル:アニメ、スリラー
・時間:113分
・声の出演:オーウェン・ウィルソン、ラリー・ザ・ケーブルガイ、マイケル・ケイン、エミリー・モーティマー、他
『カーズ2』はシリーズでも異色です。
マックイーンよりも、彼の親友メーターの活躍が描かれていて、ストーリーもスパイアクション風。
感動の点では1や3に劣るものの、CGによる派手なアクションシーンは大いに楽しめます。
・『カーズ2』予告編
しかし、それほど多くない出番でもオーウェンらしさは充分に活きています。
この記事では
・『カーズ2』でマックイーンとサリーに起きたいざこざ
・恋と仕事両方のライバル、フランチェスコとマックイーンの面白いやりとり
をテーマに気楽なお話をしましょう。
記事の後半で、『カーズ』ファンが喜ぶグッズも紹介しました。興味があれば、ぜひ最後までどうぞ!
🚦マックイーンとフランチェスコの対立🚦
フランチェスコ(左)とマックイーン
Photo by Pixar/Disney
『カーズ2』で「オーウェンらしい」と思うのは、サリーを巡ってのフランチェスコとのライバル関係。
フランチェスコは新型スタイルのカーレーサーで、イタリア車。うぬぼれが強いキャラクターです。
フランチェスコの「むき出しのタイヤ」をサリーが褒めてしまう
事の発端は、サリーがマックイーンとの夕食中テレビに映ったフランチェスコを褒めたこと。
サリー:フランチェスコって素敵ね。あのむき出しのタイヤから何まで最高よ!
マックイーン:タイヤを覆って何が悪いんだよ? きみは僕の慎み深いタイヤが好きだと思ってたのに・・・。
マックイーンはこの会話ですっかりフランチェスコに敵意を抱いてしまいます。
ライバル意識を持つきっかけが「レーサーとしての能力」ではなく、「恋愛の嫉妬」というのがオーウェンらしく感じますね。
「むき出しのタイヤ」というのは、人間が腕の筋肉を見せびらかすのと同じです。マックイーンが「慎み深いタイヤ」がご自慢なのは、人間で言えばいつも袖がある服を着ているということ。
余談ですが、マックイーンの声を担当したオーウェン・ウィルソンは実際にかなり慎み深いタイプ。
映画でも私生活でも、公の場で肌を露出するのを非常に嫌います。
「ファンは大げさ」
Photo by Pixar/Disney
フランチェスコに会ってから言い争うのも、もっぱらサリーをめぐっての内容。
サリーが自分のファンと聞いて得意になるフランチェスコに、マックイーンは水を差すようなことを次々と言い始めます。
マックイーン:ファンは大げさ。(中略)テレビで見て、ちょっと気に入ったくらいのものだよ。
(中略)
フランチェスコ:サリーに我が勝利を捧げよう。
マックイーン:悪いけど、サリーには僕の勝利をすでに捧げてあるんだ。2人も捧げたら、安っぽくなってしまうよ。
言いたい放題です! でも、 こうした「負けん気の強さ」もオーウェンの素質のひとつ。
ただ1つ付け加えるなら、彼は物理的な勝利(賞の獲得など)には頓着しません。
エンディングでは仲の良いライバル
Photo by Pixar/Disney
フランチェスコは自意識過剰ですが、悪役ではありません。ラストではフランチェスコとマックイーンはお互いに挑発しながらも、仲良く走っています。
でも、マックイーンのご機嫌が直ったのはサリーの一言。
サリー:フランチェスコはぜんぜんカッコよくない。
マックイーン:そう言ってくれてありがとう。
サリー:いいえ、本音よ。
マックイーン:だから、僕はきみが大好きなんだ。勝つように祈ってて。
サリー:あなたには祈る必要なんてないわ。
実際の勝ち負けよりも「サリーからの評価」が重要なポイントになっているところが面白いです。
マックイーンはサリーと別れ、クルーズと親しくなる?
Photo by ©︎Pixar/Disney
さて、『カーズ2』のラストでは何とかまるく収まったかに見えるマックイーンとサリー。しかし、結局彼らの関係は終わったようです。
明確に描かれているわけではないものの、3作目での2人はすっかり冷めきった雰囲気。サリーのほうはともかく、マックイーンは彼女とはあまり話したがりません。
サリーとの関係が切れていき、マックイーンの目の前に現れるのが若いトレーナーのクルーズ(声:クリステラ・アロンゾ)。
途中経過やラストの雰囲気から見て、マックイーンとクルーズは単なる師弟関係を超えて、結婚に進みそうな感じです。
気まぐれで身勝手なサリーより、一見ミーハーだけど優しくて素直なクルーズのほうがマックイーンにはお似合いですね。
🚦『カーズ』の世界に飛び込めるかわいいおもちゃたち🚦
大ヒットした映画・アニメには付きもののキャラクターグッズ。しかし、カーズのグッズは群を抜いて大人気! 大人でも本格的なおもちゃにハマっている方がたくさんいらっしゃいます。
端役のキャラクターまでちゃんと売られているのを見ると、あらためてカーズの人気度を実感します。
マックイーン
サリー
メーター
フランチェスコ
クルーズ
スフィロ アルティメット
オーウェンの声が収録された、現在はとても希少価値のおもちゃ。表情豊かで、おしゃべりをし、部屋を走り回ります。英語版はオーウェンの声が入っています。
百聞は一見にしかず。カーズマニアのMontgomeryさんが公開されている動画をどうぞ。
ドイツ語🇩🇪から英語🇺🇸にチェンジしました🤗💖✨なんか個人的にアルティメットくんは英語がダントツで可愛い気がする。だんだん近づいてくるのびっくりしたw 可愛いw
— ᴍᴏɴᴛɢᴏᴍᴇʀʏ⁹⁵ 晃奈 78E912 (@FabulousLMQ95) 2021年8月10日
カメラは古いスマホ使ったから画質悪いのが残念ごめんよ😢 pic.twitter.com/VT8sR6wfGT
かわいいですね!言語も何ヵ国語にも対応しているみたいです。ただ、現在は中古で8万円以上もするので、私も含めて手が出ません。
🚦まとめ🚦
ちょっとバラバラな記事になってしまってごめんなさい。簡単にまとめると、
☑ シリーズ全体でマックイーンはサリーと交際を経て別れ、クルーズと親交を深めていく
☑ 『カーズ2』ではサリーがフランチェスコを褒めたことで、マックイーンがヤキモチを焼く
『カーズ2』はスパイアクション風のストーリーを楽しみつつ、合間に描かれるマックイーンとサリー、フランチェスコの関係にも目を向けてみてください。
・カーズ記事一覧
『カーズ』オーウェン・ウィルソンが生み出したマックイーンの魅力
日本でも子供から大人まで人気があるアニメ、『カーズ』シリーズ。オリジナル版ではオーウェン・ウィルソンが主役のマックイーンの声を当てました。
この記事では、
・オーウェンがマックイーンに抜擢された経緯
・マックイーンに反映されたオーウェンらしさ
について、お話ししましょう。
🚦オーウェン・ウィルソンがマックイーンを演じた経緯🚦
Photo by ©︎Ken Charnock/Getty Images
『カーズ』はオーウェンが初めて声優を務めた作品です。まろやかでディクションのハッキリした彼の声は声優にもぴったり。
インタビューで、声優活動について尋ねられたオーウェンは肯定的な返事をしています。
オーウェン:とてもおもしろいよ。自分のイメージだけで自由に遊べて、小さな子供にかえった気分になれる。(中略)ごちゃごちゃ問題が起こることなく、頭の中で演じる場面を思い浮かべることができるんだ。
『カーズ』を機にオーウェンは声優の活動もいくつか取り入れるようになり、現時点で『カーズ』シリーズ以外に、3作品に出演しています。
・『ファンタスティック・Mr.フォックス』(2009)− カワウソの体育教師スキップ
・『サーフィン・ドッグ』(2011) − マーマデューク
・『自由の鳥』(2013、日本未公開) − レジー
『自由の鳥』はなぜか日本では公開されていませんが、七面鳥が生きる権利を主張する物語です。
監督ジョン・ラセターから直接オファーされる
オーウェンが『カーズ』に出演したのは、アカデミー賞パーティーの時、ピクサーのアニメーター監督ジョン・ラセターから話しかけられたのがきっかけ。
オーウェンはラセターを知らなかったのですが、ラセターと彼の息子は『シャンハイ・ヌーン』を観て、すでにオーウェンの大ファン。
この時ラセターは車の映画を構想中であることを話して、さりげなくオーウェンの気を引こうとしました。
オーウェン:でも僕は、あの会話がオファーとは気づかなかったんだ。
後日、今度はピクサー社がオーウェンに連絡し、『カーズ』への出演を正式に依頼。アニメーションに出演したことのなかったオーウェンは興味を覚え、喜んでオファーを受けました。
「カチャウ」はオーウェン・ウィルソンのアドリブ
Photo by ©︎Pixar/Disney
マックイーンの決めセリフ「カチャウ!」。実はこれはオーウェンのアドリブです。
監督:私がオーウェンに、「子どもは想像力豊かで、いろいろな擬音を思いつくよね。稲妻の音って、きみはどんな感じだと思う?」と聞いたんだ。すると、オーウェンはちょっと考えてから「カチャウ! カッチャウ!カチャーウ!」。
あんまりおかしくて、私たちは大笑いだった。あわやせっかくのテイクをダメにしそうなほど笑い転げたんだ。
やっぱり天才は違いますね!「カチャウ!」なんて、どうしたら思い浮かぶんでしょう? マックイーンのイメージにピッタリです。
🚦『カーズ』のマックイーンに見るオーウェンらしさ🚦
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『カーズ』シリーズ最初の作品は、オーウェン好みの「真の自分が花開くまでのストーリー」。
ピクサーは先に音声を収録し、あとでそれに合う画をつけるので、オーウェンのような即興を得意とする俳優にはぴったりでした。
ラセター監督:オーウェンはアドリブでこの役を実に見事に自分のものにした。
監督の言うとおり、マックイーンのセリフ・仕草にはオーウェン自身の特徴がよく出ています。
1.「スピード、スピード」と繰り返す
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冒頭のセリフ。レース開始前、マックイーンはこう念じて気分を高めていきます。
マックイーン:スピード、スピード、僕はスピード。勝つのは朝メシ前。朝メシ?食べてくればよかったかも。いけない、集中しないと。スピード、スピード・・・。
この最初のシーンだけで、オーウェンらしさが2つも出てきます。
1つめは「単語の繰り返し」。オーウェンは時々ひとつの単語を何度もループすることがあります。『サーフィン・ドッグ』でマーマデュークの声を担当した時も「ワッフル」を連発し、愛らしさを表現していました。
・『サーフィン・ドッグ』
2つめは「間に挟まれるギャグ」。マックイーンのセリフで言えば、「朝メシ?食べてくれば、もっとパワーが湧いたかも」のところですね。
オーウェンはこうした連想的なギャグで、観客を自然な笑いに引き込むのが得意です。
2.マックイーンのキャラクターに感じる影
Photo by ©︎Pixar/Disney
自分の弱みを見せず、性格が悪いふりをする。オーウェンの負の一面です。
オーウェンはしばしば自己防衛のために、わざと自分らしくない振る舞いをしますが、これはマックイーンにもしっかりと刻印されています。
登場した時のマックイーンはハデで、勝つことにばかり関心を向け、誰にも気を許した態度を見せません。
でも実は、身勝手な態度はマックイーンの仮面。ラジエータースプリングスで花開いた明るさ・優しさこそが本当の姿です。
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オーウェンは小さい時に、継母から過酷ないじめを受けています。
これがトラウマになって、オーウェンは親しくない相手には「能天気なフリ」をしてしまう癖があるんですよね…。
『めざせ!チャンピオン』というアニメの補足的なストーリーが描かれた本によれば、マックイーンの自己防衛は親友から裏切られた過去が原因になっているようです。
3.考え事をして周囲が見えなくなる
ラジエーター・スプリングスから戻って決戦のレースを走りながら、マックイーンはサリー(声:ボニー・ハント)とドライブした時のことを思い出し、あわや壁に衝突しそうになります。
自分の思いに浸ると周囲を疎かにしてしまうのもオーウェンに似ています。
カーレーサーとしては危なっかしい気もしますが…。
4.勝利を放棄してキングを救う
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意地汚いチック(声:マイケル・キートン)はベテランレーサーのキング(声:リチャード・ペティ)にわざとぶつかり、クラッシュさせます。
マックイーンはチックを遥かに抜いてゴール寸前でしたが、スクリーンでキングの負傷を知りストップ。勝ち誇ったチックが優勝を喜ぶのを横目に、キングのそばに駆け寄ります。
キング:何をしてるんだね、ぼうや?
マックイーン:キングは最後まで走らなきゃ。(キングを後ろから押す。)
キング:おまえ、優勝カップを逃したじゃないか。
マックイーン:気難しい老レーサーいわく、ただの空っぽのカップに過ぎないよ。
「これぞオーウェン!」と言いたくなる名シーンです。映画もアニメも数あれど、こうした展開はなかなかお目にかかれません。
ハッとする偉大な行いをしながら、口にするセリフがさりげないのもオーウェンらしいところ。
ちなみに、オーウェンは『ズーランダー』でも「賞なんてくだらない」というアドリブをしていました。
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オーウェンは負けん気が強い性格ですが、賞を譲るのは平気なタイプ。彼は自分の存在価値を認めてほしいのであって、賞で飾り立てることには興味がないのです。
『カーズ』のラストには、オーウェンの優しく気高い精神が発揮されていて、最高!
🚦オーウェン・ウィルソンはどんな運転をする?🚦
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オーウェンは「安全運転」のタイプ。インタビューで、「あなたはどんな運転をなさいますか?」と聞かれたオーウェンはこう答えています。
オーウェン:僕は慎重なドライバーだよ。スピード違反なんかしたことないし、乱暴な運転もしたことない。(中略)僕はね、歩行者に優しいドライバーなんだよ。
ちょっと脱線しますが、『トラブル・マリッジ』でオーウェンと共演したマット・ディロンが「俺の運転はハチャメチャなんでね」と話していたのを思い出しました。
あの映画では配役もあべこべだったけど、運転の仕方もまるで反対なんですね。
オーウェンはカーレースについては、「観るのは楽しいよ」と答えています。
ここでは『カーズ』1作目に絞って、オーウェンらしさをお話ししました。
『カーズ2』や『カーズ/クロスロード』についても順次まとめていくつもりです。
・『カーズ』シリーズ解説一覧
『カーズ』シリーズのオリジナル声優たち|意外に有名な俳優もいてビックリ!
あなたは字幕派? それとも吹き替え派?
私は吹き替えはいっさい観ません。映画を楽しむ時は、演じた俳優の声も聞きたいので、字幕1択になるんです。
さて、映画なら字幕でも吹き替えでも、「誰がその役を演じたか」分かりますよね?
『ナイト・ミュージアム』のオーウェンみたいにノンクレジットでもないかぎり、俳優の名前と顔はすぐに一致します。
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しかしアニメの場合、吹き替え派の人がキャスト欄を見て、「あっ!」と驚くことがあります。
そうした作品の1つが、ピクサーの『カーズ』シリーズ。
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公開:2006年(『カーズ』)、2011年(『カーズ2』)、2017年(『カーズ/クロスロード』)
製作:ピクサー・アニメーション・スタジオ
声の出演:オーウェン・ウィルソン、ポール・ニューマン、他
あらすじ:登場するのは擬人化された車だけ。カーレースの競争心や華々しさをバックに、主人公マックイーンの心の成長や友情・恋を描く。
この記事では、
『カーズ』全3作の主な登場人物と声優たち
をご紹介しましょう。
各人物の下に、【その人が出演している主な映画】も記載したので、お気に入りの俳優さんを見つけたら参考にしてみてくださいね。
ただし、このブログはオーウェン・ウィルソンに特化しているので、オーウェンの出演作だけ他の俳優より多めに紹介&他記事へのリンクをつけています。
🚦あの人も出ていたの?! 興味深い声のキャストたち🚦
主役マックイーンの声を担当したのはオーウェン・ウィルソン! 意外と知らない人も多いようで、びっくりなさる人もいらっしゃいます。
他にも大物俳優ポール・ニューマンが出演していたり、『ベートーベン』のお母さん役で懐かしいボニー・ハントがいたり、『カーズ』シリーズには「えっ、あの人も?!」と驚く俳優さんが出演しています。
ライトニング・マックイーン(声:オーウェン・ウィルソン)
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シリーズ全体の主役。赤い車体と95のナンバーがトレードマーク。
最初のうちは一匹狼で、誰にも心を許そうとしないが、ラジエーター・スプリングスに迷い込んだことをきっかけに、内に秘めた心優しい性格が現れてくる。
1では新人レーサー、2では若き世界レースの王者、3で中年になり、苦悩しながらも地位を守り抜いて、レースの指導者ともなる。
弁護車サリーに恋をするが、3では破局した雰囲気であり、若い女性トレーナーのクルーズと親しくなっていく。
『ナイト・ミュージアム』、『ウェディング・クラッシャーズ』、『アー・ユー・ヒア』、『エネミー・ライン』、『シャンハイ・ヌーン』、『シャンハイ・ナイト』、『ライフ・アクアティック』他
サリー(声:ボニー・ハント)
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田舎村ラジエーター・スプリングスに住む女性弁護車。本人の弁によれば、以前は都会で活躍していたものの、忙しさに疲れてこの村で暮らすようになったという。
初めはマックイーンに批判的だが、彼の努力と優しさに気づいて交際するように。
しかし、サリー自身はかなり蓮っ葉で、2ではイタリアのレースカーに色目を使ったりもし、3作目では友人の立場にフェードアウトしている様子。
『ベートーベン』、『ベートーベン2』、『ジュマンジ』他
メーター(声:ラリー・ザ・ケーブル・ガイ)
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ラジエーター・スプリングスのレッカー車。楽天的でいたずら好きなので、騒ぎを起こすこともしばしば。マックイーンの最初の友だち。
2では国際的陰謀を解決するスパイの役割を果たし、女性スパイのホリーと恋仲になる。
なし。コメディアン。
ドック・ハドソン(声:ポール・ニューマン)
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ラジエーター・スプリングスの裁判官兼医者。元は有名カーレーサーだったが、大事故で引退を余儀なくされた経験がある。
レース界から冷たい扱いを受けたのがトラウマになっていて、レーシングカーには敵意を持っている。
マックイーンにも冷たくするが、彼の優しさを知ってからは、熱烈な後援者となる。
2では死亡しており、3では回想シーンに登場*1
『明日に向かって撃て』、『タワーリングインフェルノ』、『トワイライト 葬られた過去』他
ルイジ(声:トニー・シャルーブ)とグイド(声:グイド・カローニ)
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トニー・シャルーブ(左)、グイド・カローニ
Photo by ©︎Mirek Towski/FilmMagic(left),
Photo by ©︎Kinonews
ラジエーター・スプリングスでタイヤ専門店を経営するイタリア車コンビで、フェラーリの大ファン。初めはマックイーンを「ピストンカップのレーサーでしかない」と軽んじていたが、いつの間にか彼の専属クルーとなる。
『幸せの始まりは』、『スパイキッズ』、『メン・イン・ブラック2』他
なし。ピクサーの技術監督。
フランチェスコ(声:ジョン・タトゥーロ)
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『カーズ2』のみに登場。うぬぼれの強いイタリアのカーレーサーで、マックイーンのライバル。
実際にレースに出てみると実力は大したことはない。サリーが彼を褒めたことで、マックイーンの嫉妬の的にもなる。
かなり意地悪なことも言うが、バカっぽいキャラクターなので、マックイーンにも一定以上の悪意を持っている様子はない。
『キング・オブ・ニューヨーク』、『N・Y式ハッピーセラピー』、『フィアー・エックス』他
フィン・マックミサイル(声:マイケル・ケイン)
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2作目で大活躍する腕利きスパイ。石油をめぐる大陰謀の黒幕を追って、華麗なるアクションを見せる。
『キングスマン』、『バットマン ビギンズ』、『ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ』他
ホリー・シフトウェル(声:エミリー・モーティマー)
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2のみに登場。日本の東京を拠点に活動する女スパイ。大陰謀の黒幕を追うフィンの協力者で、メーターをスパイと勘違い。
事件解決後、メーターの求愛を受けて交際を始める。
『ピンクパンサー』、『ピンクパンサー2』、『狼たちの処刑台』他
クルーズ・ラミレス(声:クリステラ・アロンゾ)
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3作目に登場する若い女性トレーナー。衰え始めたマックイーンのトレーニングを受け持つものの、実践の経験がないためにかえって足をひっぱることに。
最後には立場が逆転し、マックイーンは彼女をレースカーとしてデビューさせる。
ミーハーながら素直で可愛らしい性格が魅力で、マックイーンと親交を深めていく。
ショートフィルムを除き、一般公開映画はなし。コメディアン。
ジャクソン・ストーム(声:アーミー・ハマー)
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3作目に登場する尊大な若手レーサー。勝つためなら手段を選ばない。レースでクルーズに抜かれそうになった時は嫌味を言い、ついには反則まで犯して押しのけようとする。
『パニック・エレベーター』、『コードネーム U.N.C.L.E.』、『ソーシャル・ネットワーク』他
🚦たまには『カーズ』を英語版で観るのはいかが?🚦
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ピクサーのアニメは、まず最初に声を収録します。そうすることで、声優たち本人の経験や性格をキャラクターに映し出し、物語を発展させるのですね。
さらに、アニメーターたちは収録時の俳優たちの表情や仕草もしっかり観察して、それを画に反映させます。
例えば、マックイーンの表情や仕草はオーウェンにそっくりですし、クルーズの境遇はクリステラ・アロンゾの経験を元に構成されています。
『カーズ』シリーズの場合、車たちの目の色までそれぞれの声優と合わせてあります。マックイーンはオーウェンの目が青いのでブルーで描かれていますね。
アニメは吹き替えで観る人も多いと思いますが、たまには音声をオリジナル英語にしてみるのはどうでしょう?
『カーズ』シリーズの物語は、声を吹き込んだ声優たちのアドリブや経験によって作られたもの。
オリジナルの言語で観たほうが、よりニュアンスや物語に入り込めると思いますよ。
・『カーズ』シリーズ関連記事
*1:これはポール・ニューマンが1作目の収録後に死亡したことによる設定。3作目では、1作目で未使用だった録音テープを使用している。
『トラブル・マリッジ』をめぐるトラブルと意外な共演者たち
『トラブル・マリッジ』8記事め! 何と『アー・ユー・ヒア』の解説シリーズと同じ長さになりました。
今回は、
・『トラブル・マリッジ』公開前のちょっと不気味な事件
・本作に登場する見逃せない共演者たち
についてお話しし、シリーズを締めくくろうと思います。
🧸デュプリーの名を巡って脅迫される🧸
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『トラブル・マリッジ』を脚本家とともにストーリーを練り上げたオーウェン。基本的には平和に進んだ映画製作でしたが、ちょっと気味の悪い出来事も起きました。
「デュプリーの名は俺たちの歌に出てくる」?! 真偽不明の主張
映画の公開間近になって、あるロックバンドからオーウェンに脅迫の手紙が舞い込みました。
「デュプリーという名前は元々俺たちが作った歌の中に出てくるんだ! 俺たちをプレミアに招待して、ちゃんと謝罪しろ!」
この手紙は、あるホテルのレターセットを使って書かれ、オーウェンの弟ルークを介して届けられたそうです。
このバンドの目的は何だったんでしょう? オーウェンから金品でも巻き上げるつもりだったんでしょうか。
ルークを通して手紙を送ったのも奇妙です。あるいは彼も何か一枚噛んでいたんでしょうか?
ルーク・ウィルソンのファンには申し訳ないのですが、どうも彼は信用ならないんですよね…。
理由は↓この記事をご覧ください。
オーウェンはあっさりと敵を一蹴
オーウェンはこの手紙を冷静に受け取り、返信を送りました。
「あなたたちの歌にデュプリーが出てくるのは聴いたことがありません。そんな歌が存在することは知りませんし、映画の名前はそのままにさせていただきます。」
脅しをあっさり払いのけ、無事に映画は公開できました。
オーウェンの返事は冷静でありながら、ピシャリとはねつける雰囲気があって痛快です。
しかしロックにものすごく詳しいオーウェンに対して、こんなデタラメの脅迫をするとは呆れます…。
🧸興味深い出演者たち🧸
『トラブル・マリッジ』にはカメオ出演も含めると、なかなか豪華な人材が揃っています。
『氷の微笑』で有名なマイケル・ダグラス
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「えっ、あのマイケル・ダグラス?」。そう、あのマイケル・ダグラスです。
『氷の微笑』で主役の刑事を演じ、その他にもシリアスな役柄で知られていますね。
そんなダグラスのここでの役柄は、モリー(ケイト・ハドソン)の父親トンプソン氏。
ダグラス:私はあまりコメディを演じる機会はなくてね、このオファーは嬉しかったよ。私が演じるのは、妻を亡くして、娘を溺愛している男の役だ。娘は困ったことにカールと結婚してしまう。私が演じる父親は、義理の息子を重箱の隅をつつくようにチェックするんだ。演じるのはとても楽しかったよ。
ストーリーで面白いのは、トンプソン氏がカール(マット・ディロン)には冷たいのに、デュプリーには好意を見せるところ。
トンプソン氏は自分の気に入った人を釣りに誘うタイプ。カールを誘ったことは一度もありません。しかし、デュプリーに会うと初対面で「私の船で釣りに行かないか?」。
カールがデュプリーの首を絞めようとすると、カールを殴りつけ、モリーと一緒に付き添ってデュプリーを病院に連れて行ってやるほど親切。
カールとトンプソン氏の関係については、カールにも大いに問題があると思います。
氏はカールを気に入らないながらも、それなりに可愛がろうとしています。カールがいちいち反抗的なのが悪いんですよ。
ところで、デュプリーが天井から落ちてきた時、びっくりしたトンプソン氏が一瞬カンフーのポーズをとるのは謎。
リゾート開発社の社長のはずなのに、とっさに武術の構えをするって、よく考えると謎の人物でもあります。
セミナーで名乗るのはオーウェンの叔父さん
映画のラスト、デュプリーが自分らしさを大事にするようにと説くセミナーのシーン。
動画の1:22あたりで、
デュプリー:そこの白髪の紳士、あなたの名は?
紳士:ジョー。
デュプリー:違う! ジョーネス(ジョーらしさの意)だ!
この白髪の男性は何と、オーウェンのおじさん! 名前も本名です。
しかし、名前を聞いて「違う!」って反応するとは笑えます。
聞いているジョーもいかにも納得したように頷くので、ますます面白いです。
自転車のファンは必見! ランス・アームストロングも登場!
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私はスポーツにはまったく疎いので、この映画で初めて知ったのですが、自転車レーサーのランス・アームストロングもカメオ出演しています。
映画のテレビで何度かアームストロングのレースシーンが映り、カールの妄想シーンではなぜかデュプリーの小人シャツを着て現れます。
エンドクレジットが終わったあとも数秒間登場し、デュプリーの本を読んで感銘を受けている様子が映ります。
彼のファンは映画が終わった後すぐにテレビを切らないように!
🧸『トラブル・マリッジ』解説シリーズまとめ🧸
今回で『トラブル・マリッジ』解説シリーズは完結となります。
2021年の春、まだブログに不慣れな頃に書いてそのままだったので、今回は大幅なリライトになりました。
内容自体はそのままですが、構成は大幅に変えています。
まとめに各記事の概要をさっと紹介しておきますね。
1.『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物(キャスト)
本作の概要を書いたものです。この映画をまったくご存じない方は、この記事から読むと楽しめると思います。
2.デュプリーとカールの設定があべこべ!
本作ではデュプリー(オーウェン・ウィルソン)とカール(マット・ディロン)の立場や言動が噛み合わず、ストーリーに齟齬をきたしている部分が見られます。
「どのシーンが不自然か?」を挙げながら、撮影上の混乱について解説しました。
3.意外に危険なコメディ
本作で主役を演じたオーウェン・ウィルソンにとっては一、二を争う危険な撮影でした。
4.映画に出てくるちょっと面白い風習
ドアノブにネクタイがかかっていたら、何の意味でしょう? 本作にはこの風習が原因で起こる騒ぎが出てきます。
5.主人公デュプリーのモデルは子犬
映画の製作過程を、オーウェンにスポットを当てて書きました。
6.デュプリーはお邪魔虫ではない
「史上最大のお邪魔虫」というキャッチコピーを信用してはいけません。根拠をこちらにまとめています。
7.デュプリーと演じたオーウェンの共通点
これはオーウェンのファン向けになるかもしれませんが、「演じた俳優の人柄がどの程度役柄に反映されているか?」を解説したものです。
最後に余談を1つ
オーウェンは『エネミー・ライン』と『ズーランダー』を並行したように、全く性質の異なる役柄を掛け持ちすることがあります。
実はこのデュプリーもある映画とほぼ同時に撮っています。それは『ナイト・ミュージアム』のジェデダイア!
Photo by ©︎20th Century Studios, Inc.
キザな男性モデルのハンセルと敵地の追撃を生き延びるバーネット大尉を演じ分けたほどの違いはないにせよ、子供のように無邪気なデュプリーと西部の荒くれ男ジェデダイアを両立できるとは、やはり演技力を感じますね…。
オーウェンと『トラブル・マリッジ』の主人公デュプリーの共通点3選
『トラブル・マリッジ』の記事もテーマごとにリライトし直していたら、いつの間にか7記事めになっています。
コメディのわりに考察するところがたくさんある映画なんですよね…。
この記事はこれまでより少しだけマニアックかもしれません。と言っても、何も知らない読者も楽しめると思うのですが…。
今回のテーマは、
・オーウェン・ウィルソンとランドルフ・デュプリーの性格的な共通点
ランドルフ・デュプリーは主人公のフルネームです。
『デュプリーは子犬がモデル?』の記事でも書いたように、主人公デュプリーには演じたオーウェン・ウィルソンの個性もたくさん込められています。
具体的にどんな言動が似ているのか、ちょっと見てみましょう。
本作をまったくご存じない方は、先に『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物をどうぞ。
🧸オーウェンとデュプリーの似ているところは?🧸
これまでも何度も書いたように、デュプリーはとにかく可愛い性格。何の邪心もなく、純真で幼子のような雰囲気です。
それでいて人生に対するアプローチは意外にも真剣で、まじめ。
傍若無人で社交的な点を除けば、デュプリーはかなりオーウェンに似ています。
1.家事がとても上手
Photo by ©︎Universal City Studios LLC
家事が上手なことは、オーウェンの最大の特徴の一つです。
『ズーランダー』ではパンを焼いてみんなに振る舞い、『スタスキー&ハッチ』では二日酔いのスタスキーのためにドリンクと朝食を作ってやります。『幸せの始まりは』では、落ち込むリサのためにヨーグルト風のデザートを出してやるシーンが出てきました。
デュプリーも、オーウェンの家事上手の流れを汲む役柄。むしろ台所仕事の回数は他の作品よりも多いほどです。
デュプリーの家事シーンを拾ってみると、
①モリーとカールに朝食を作る。
②カールが仲間とどんちゃん騒ぎをしている時、給仕をする。
③火事でボロボロになった居間を1人で掃除・修復する。
④仕事に疲れたカールのために豪華なディナーを料理する。
⑤台所の戸棚を綺麗に整理している。
モリーはデュプリーの家事能力を高く評価していると見え、いつも安心して任せている様子がうかがえます。
夕食を作るシーンでは、女性のモリーも顔負けにテキパキしていて、アドバイスまでするほど。
モリー:どこで料理を覚えたの?
デュプリー:『トスカーナの宝』って料理番組が6週間のシリーズで放送されてたんだ。ほとんどはそれで覚えたよ。ニンニクの切り方は『グッドフェローズ』の映画で見た。
この習得能力の速さもオーウェンの特徴です。
他にもカールが書ききれないお礼状を代筆したり、カールがすっぽかした学校の特別授業を代行したり、家事以外の雑務もいろいろ引き受けています。
この映画はオーウェンの働き者ぶりがフルに発揮されている作品とも言えますね。これも設定があべこべのせいかもしれませんが…。
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2.とても真面目な恋愛をする
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デュプリーは恋愛をする時もとても真剣なタイプ。この性質もオーウェンによく似ています。
映画の中盤、デュプリーはモリーから紹介された学校の司書マンディー(画面に登場はなし)に恋をします。
ところが、マンディーは一夜限りの付き合いで相手を捨てるとんでもないアバズレ女。後でマンディーの性格を知ったモリーは紹介したことを深く後悔しています。
マンディーに捨てられて絶望したデュプリーが雨の中で泣いているシーンは、モリーでなくとも可哀想になります。
通りすがりの車が水を跳ねかけても動きもせず、ため息をつきながら、口から水を吹き出す有様。
モリー:デュプリー! 何してるの? 土砂降りよ!
デュプリー:もう何がどうでもかまわないよ。
かわいそうに…。でも、この場面のデュプリーは可愛くもあります。心を傷つけられた、無防備な子犬みたい。
ちなみにこの時デュプリーがヘッドフォンで聴いているのは、バリー・マニロウの《悲しみのマンディー》。
失った恋人マンディーを思って、雨の中で苦しむシチュエーションがデュプリーと重なっています。この歌に合わせて場面を作ったのだと思いますが…。
しかし、こんなに純真でいじらしい人を捨てるなんて、マンディーの気が知れませんね…。
余談ながら、オーウェンもデュプリーに似た経験をしたことがあるようです。
インタビュアー:あなたもデュプリーみたいに恋人を取り戻そうとしたことが?
オーウェン:あるよ。ほんとに必死になったこともある。お花を送ってみたり、周りにはアンティークショップに出かけると嘘をついて、彼女の後を追ってみたり…。でも、たいていこういう関係は続かないものだね。無駄にご機嫌とりするだけで、結局何にもならないんだ。
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モリーからマンディーのアバズレぶりを聞いたデュプリーは愕然とし、自分も弄ばれただけだったことを知って、さらに絶望します。
雨のシーンと同じで、このショックの受け方もかわいそうで可愛い。苦悶しながらも通り過ぎる男たちを観察し、すがるようにモリーに目で尋ねるのが、オーウェンらしい演技ですね。不安に怯える子供のような仕草です。
3.寛容で心優しい
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これもオーウェンの特徴。
デュプリーは、カールから不当にモリーとの仲を疑われ、夕食中に首を絞められてしまいます。
しかし、カールがそのまま家を飛び出し、翌朝になっても戻らないのを見ると、デュプリーは仲の良い子どもたちと協力して、街中を探し始めるのです。
やっとバーで飲んだくれているカールを見つけた時も、少し腹を立てても、決して相手を責めず、むしろ励ましてやります。
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しかも、これで終わりではなく・・・。デュプリーはさらに犠牲を払ってカールを助けます。
カールが義父のトンプソン氏(マイケル・ダグラス)と話をつけに会社に行く時には囮になって大柄な警備員と戦い、ついには天井から落下してまで守り抜くほどの献身ぶり。
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これこそ、まさに仇を恩で返す行為です!
普通だったら激怒して、「カールの顔なんか見たくもない!」と言っても不思議ない状況なのに。
本当に心優しい、気高い精神だと思います。
オーウェンのこうした優しさは『ライフ・アクアティック』でも描かれていました。
でも、ひと言添えると…。オーウェンは心優しい反面、ある一定のラインを越すと今度は根深く恨むようになることも忘れてはいけません。
ですから…『ロキ』や『ブリス』や、あるいは『マリー・ミー』をでっちあげた犯人の皆様、いまから十分に覚悟しておいたほうがいいですよ。
🧸まとめ:オーウェンとデュプリーは90%似ている🧸
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後半でデュプリーが着ているシャツ、とても可愛いと思いませんか? 小人ちゃんが描いてあって、
「僕のちいちゃなお友達にあいさつしてね!」
とメッセージが書いてあります。
性格に子供っぽいあどけなさを残すデュプリーを表すイメージです。誰でも似合うわけではないと思いますが、オーウェンが着るとよく馴染んで可愛く見えます。
ちなみに、このシャツのメッセージは『ナイト・ミュージアム』にもパロディとして出てきますよ。
さて、こうして見ると、デュプリーという役柄にはオーウェンの性格が90%ほど反映されています。
☑ 家事が上手で、料理も掃除もまめまめしくこなす。
☑ とても真面目で真剣な恋愛をする。
☑ 心優しく、仇(あだ)を恩(おん)で返す。
やはり、オーウェンはどんな役を演じる時も、彼自身の性格があちこちに散りばめられていますね。
・『トラブル・マリッジ』記事一覧
デュプリーはお邪魔虫…ではない!『トラブル・マリッジ』を考察
「史上最大のお邪魔虫!」、あるいは「史上最大のトラブルメーカー」。キャッチコピーにはそう書いてあります。
しかし、いざ映画を観てみると、デュプリーはどう見てもお邪魔虫には見えません。
ここでは映画のデュプリーの言動を振り返り、本当にお邪魔虫なのか判断しようと思います。
本作をまったくご存じない方は、先に『トラブル・マリッジ』あらすじと登場人物をどうぞ。
🧸デュプリーは本当にお邪魔虫?🧸
デュプリーは間違いなく、純粋無垢で心の優しい青年です。迷惑行為といっても子犬がじゃれるような無邪気さに満ちているだけで、大したことはありません。
1.親友の家に住み込む
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写真はデュプリー(オーウェン・ウィルソン)がカール(マット・ディロン)とモリー(ケイト・ハドソン)の家に到着したシーン。大事そうにムースの頭を持ってくるのが可愛い…。ぬいぐるみ感覚のようです。
さて、すべての出来事はこれが発端ですね。でも、彼は安易には他人に頼らない性格。
最初にカールから一緒に住むように誘われた時は「まだ自力で何とかなるよ」と、断っています。
泊まっていたバーのベッドを片付けられてしまわなければ、決して言葉に甘えることはなかったでしょう。
結局泊めてもらうことになっても、カールとモリーに丁重に感謝し、さっそく就職活動に入っています。
結果的に長く泊まっているのは、仕事が見つからないせい。これは責められません。
2.裸でソファに寝る
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家に泊めてもらった最初の夜、裸で寝ているシーンがありますよね? あれは確かにちょっとびっくりですが、アメリカ人には時々いるようです。
撮影当時ミュージシャンと結婚していたケイト・ハドソンは、
「夫の友達が二人遊びに来ることがあるんだけど、丸裸になるなんて序の口よ」
と、インタビューで答えています。
でも、デュプリーは同じ服のまま何日もバーで寝泊まりしていたようだし、パジャマは持ってなかったようですから、裸で寝る以外どうしようもなかったとも言えます。
次の日からはカールに貸してもらったパジャマを着て、何の問題も起こしていません。
ちなみに、このシーンもオーウェンはあまり好きではなかったようです。
オーウェン曰く、
「とても恥ずかしかった。こんなはずじゃなかったんだよ。僕がもともと考えていたのは、ほとんど裸の状態ですっぽり枕にくるまれている恰好だったのに。」
結局オーウェンはここで全裸になるのは断固拒否したらしく、このシーンでうつ伏せで寝ているのは別人。ジミー・ロバーツというスタントで、『エネミー・ライン』でも急斜面を落ちていくシーンを担当しています。
3.トイレを詰まらせる
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これが迷惑行為? 腑に落ちません。お腹が痛くなることは誰でもあること。デュプリーのせいにするのはあんまりです!
あの状況ですぐ詰まるなら、トイレの配管が悪いのでは? デュプリーがいなくても、夫婦のどちらかがいずれ詰まらせただろうと思いますね。
オーウェンはこのシーンも好きではなかったでしょう。『シャンハイ・ヌーン』ではトイレネタをめぐって監督と大論争を繰り広げたくらいですから。
オーウェンはとても上品なんです。
4.留守番電話の吹き替え
デュプリーが同居を始めた翌日、モリーは留守電のメッセージが吹き替えられていることに気づいてびっくり。
デュプリー:先に言っておくつもりだった。職探しに必要なものだから、メッセージを録音し直したんだ。
まあ、確かに夫婦の立場からすれば確かにムッとするのも無理はありません。これは確かに断ってほしいと思いますよね。
しかし、デュプリーは急いで仕事を見つけて一刻も早く夫妻の家を出ようと必死。根底の気持ちとしては悪くないでしょう。
5.ケーブルテレビを勝手に契約
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留守番電話が発覚した直後、テレビをつけると有料放送が映り、モリーは呆れてしまいます。
デュプリー:気に入った? アップグレードした費用は半分僕が払うよ。僕も好きだしね。二階では女性向けの犯罪番組も見られるよ。
確かに断りなく何かを勝手にされては迷惑ですよね。ただ、これに関してもデュプリーばかりを責めるわけにもいかないと思います。
日本に比べ、アメリカでの有料放送契約率は遥かに高く、約90%の家庭が加入しています。
こうしたアメリカの背景を考えれば、新居に移ったばかりのモリーとカールも、いずれ契約する可能性が高いですよね。実際、カールはデュプリーが契約した放送を楽しんでいますし、モリーもテレビの事ではあまり文句を言いません。
デュプリーとしては、ごく普通の親切心のつもりだったと思います。
6.火事
この火事はどう見てもデュプリーのせいではありません。この事件に関しては↓こちらの記事で解説したので、よかったらご覧ください。
🧸結論:デュプリーは決してトラブルメーカーではない!🧸
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どうでしたか? 個人的には公平に見てデュプリーがトラブルメーカーとは言えない気がします。
唯一、留守電の吹き替えは先に断っておいたほうがいいと感じますが、それでも大したことはありません。
それに、デュプリーは注意を受けたら二度と同じことを繰り返しません。これは特筆すべき長所だと思います。
おまけにデュプリーは決して居候するつもりはないし、怠け者でもありません。『あべこべの設定が玉に瑕?』の記事でも書いたように、むしろとても働き者。
よって結論、デュプリーはトラブルメーカーでもなければ、お邪魔虫でもありません。
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